○広島大学人を対象とする生命科学・医学系研究に関する規則
(令和3年6月23日規則第37号)
改正
令和6年3月6日規則第11号
広島大学人を対象とする生命科学・医学系研究に関する規則
目次

第1章 総則(第1条-第3条)
第2章 疫学研究(第4条-第31条)
第3章 臨床研究(第32条-第59条)
附則

第1章 総則
(趣旨)
第1条 この規則は,広島大学医の倫理に関する規則(平成27年4月28日規則第99号。以下「医の倫理規則」という。)第6条の規定に基づき,広島大学における人を対象とする生命科学・医学系研究に関し必要な事項を定めるものとする。
(基本原則)
第2条 医の倫理規則第2条の規定に基づき,人を対象とする生命科学・医学系研究に携わるすべての関係者は,人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号。以下「指針」という。)をその基本原則として遵守しなければならない。
(定義)
第3条 この規則において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 疫学研究 人を対象とする生命科学・医学系研究のうち次号に規定する臨床研究を除く研究
(2) 臨床研究 人を対象とする生命科学・医学系研究のうち介入を行う研究及び侵襲(侵襲の程度が大きいものに限る。)を伴う研究
2 前項に定めるもののほか,この規則において使用する用語は,指針で使用する用語の例による。
第2章 疫学研究
(疫学研究倫理審査委員会)
第4条 医の倫理規則第4条第3項に規定する疫学研究倫理審査委員会(以下「疫学委員会」という。)は,次の各号に掲げる委員で組織し,男女両性により構成するものとする。
(1) 大学院医系科学研究科,原爆放射線医科学研究所又は病院(以下「研究科等」という。)の教授(医学部,歯学部,薬学部又は研究科等の長である者を除く。),准教授又は講師
(2) 倫理学,法律学その他の人文・社会科学に関する有識者
(3) 一般の立場の者
(4) 第11条に規定する予備審査部会の長
(5) その他学長が必要と認めた者
2 委員は,5人以上とする。
3 前項第2号及び第3号の委員のうち複数人は,学外者とする。
4 委員は,学長が任命又は委嘱する。
5 委員の任期は,2年とし,4月1日に任命又は委嘱することを常例とする。ただし,4月2日以降に任命又は委嘱された場合の任期は,その任命又は委嘱の日から起算して1年を経過した日の属する年度の末日までとする。
6 委員の再任は,妨げない。
(疫学委員会の業務)
第5条 疫学委員会は,次の各号に掲げる業務を行う。
(1) 研究責任者から申請のあった疫学研究の実施の適否その他の事項について,倫理的観点及び科学的観点から審査し,研究責任者に意見を述べること。
(2) 許可された疫学研究について倫理的観点及び科学的観点から必要な調査を行い,研究計画の変更,疫学研究の中止その他当該疫学研究に関し必要な意見を研究責任者に述べること。
(3) 研究責任者その他の疫学研究に携わるすべての関係者に対して指導すること。
(4) 審査経過及び審査結果を記録し,当該疫学研究の終了が報告された日から 5年を経過した日の属する年度の末日まで保存すること。
2 前項の規定にかかわらず,疫学委員会は,本学以外の研究機関の研究責任者から疫学研究に相当する研究の実施に関する審査の依頼があったときは,これを審査することができる。
3 前項の審査に関し必要な事項は,別に定める。
(会議)
第6条 疫学委員会に,委員長及び副委員長を置く。
2 委員長及び副委員長は,第4条第1項第1号の委員のうちから学長が任命する。
第7条 疫学委員会は,原則として毎月開催するものとする。
2 委員長は,疫学委員会を招集し,その議長となる。
3 委員長に事故等があるときは,副委員長がその職務を代行する。
第8条 疫学委員会は,次の各号のいずれかに該当するときは,開催することができない。
(1) 第4条第1項第1号から第3号までの委員の出席がないとき。
(2) 学外者の委員2人以上の出席がないとき。
(3) 男女両性の出席がないとき。
(4) 5人以上の出席がないとき。
2 疫学委員会の議事は,原則として,全会一致をもって決する。ただし,全会一致が困難なときは,出席委員の3分の2以上の同意により決する。
3 委員は,審査対象となる疫学研究の研究責任者又は当該疫学研究に関係する者であるときは,当該疫学研究に係る審議及び採決に参加することができない。ただし,疫学委員会の求めに応じて会議に出席し,説明することができる。
第9条 疫学委員会は,必要と認めたときは,委員以外の者の出席を求め,その意見を聴くことができる。
(委員の責務)
第10条 委員は,第5条第1項第1号の審査の向上を図るため,審査その他の委員会の業務に必要な知識に関する教育・研修を継続的に受けなければならない。
2 委員は,職務上知ることのできた秘密及び個人情報を正当な理由なく漏らしてはならない。委員を退いた後も同様とする。
3 第1項の教育・研修に関し必要な事項は,理事(霞地区・教員人事・広報担当)(以下「理事」という。)が定める。
(予備審査部会)
第11条 疫学委員会の審査の円滑化を図るため,疫学委員会に予備審査部会を置く。
2 予備審査部会に関し必要な事項は,疫学委員会が定める。
(研究の申請)
第12条 研究責任者は,新たに疫学研究を実施し,又は許可された疫学研究の計画を変更しようとするときは,疫学委員会が定める様式により,疫学委員会に申請しなければならない。ただし,次の各号のいずれかに該当するときは,この限りでない。
(1) 研究責任者が,他の研究機関に置かれる倫理審査委員会に審査を求めたとき。
(2) 一の研究計画に基づき複数の研究機関において実施される疫学研究(以下「多機関共同疫学研究」という。)に係るものであって,本学以外の研究機関の研究責任者が,一の倫理審査委員会に一括した審査を求めたとき。
(手数料)
第13条 疫学委員会の運営に資するため,疫学委員会の審査業務に係る手数料を徴収する。
2 手数料の額は,研究課題 1 件につき次の表のとおりとする。
区分金額
申請した年度の手数料10,000円
翌年度以降の手数料(研究終了まで毎年度発生)10,000円
3 手数料は,所定の手続きを経て,疫学委員会が定める日までに納付しなければならない。
4 既納の手数料は,返還しない。
(審査)
第14条 疫学委員会は,第12条の申請があったときは,次の各号に掲げる事項に留意の上,審査しなければならない。
(1) 研究対象者の個人の尊厳及び人権への十分な配慮
(2) 個人情報の保護の方法
(3) 研究対象者に理解を求め,同意を得る方法
(4) 疫学研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険並びに不快な状態の排除方法
(5) 研究結果の公表を通じた公明性の確保
2 委員長は,十分な審査が可能と判断するときは,書面による審議を行うことができる。
(判定の区分)
第15条 疫学委員会の審査の判定は,次の各号に掲げる区分により行う。
(1) 承認
(2) 不承認
(3) 継続審査
(4) 停止(研究の継続には更なる説明が必要)
(5) 中止(研究の継続は適当ではない)
(6) 審査対象外
(迅速審査等)
第16条 疫学委員会は,審査が次の各号のいずれかに該当すると委員長(委員長が審査対象となる疫学研究の研究責任者又は当該疫学研究に関係する者であるときにあっては副委員長)が判断するときは,迅速審査による審査を行うことができる。
(1) 多機関共同疫学研究であって,既に当該疫学研究の全体について個別の倫理審査委員会の審査を受け,その実施について適当である旨の意見を得ているときの審査
(2) 研究計画の軽微な変更に関する審査
(3) 侵襲を伴わない疫学研究であって介入を行わないものに関する審査
(4) 軽微な侵襲を伴う疫学研究であって介入を行わないものに関する審査
2 迅速審査は,疫学委員会が申請の内容を客観的に審査できる者として指名する委員により行うものとする。
3 迅速審査の判定は,前条の区分により行う。この場合において,当該判定をもって疫学委員会の判定とする。
4 委員長は,申請の内容及び前項の判定を委員に報告する。
(審査結果通知)
第17条 疫学委員会は,第15条又は前条第3項の判定を行ったときは,審査結果を研究責任者に通知する。
(許可の申請)
第18条 研究責任者は,前条の通知を受けた後,その結果及び疫学委員会に提出した書類,その他理事が求める書類を理事に提出し,疫学研究の実施について,許可申請を行わなければならない。
(決定)
第19条 理事は,前条に規定する申請に基づき,疫学研究の実施の可否を決定するものとする。
2 理事は,疫学委員会の判定が第15条第2号から第5号までのいずれかに該当するときは,疫学研究を許可しない。
(決定の例外)
第20条 第12条から前条までの規定にかかわらず,公衆衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急に疫学研究を実施する必要があると判断するときは,理事は,研究責任者が倫理審査委員会の意見を聴く前に許可を決定することができる。ただし,許可後遅滞なく,研究責任者は,倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。
2 前項ただし書の場合において,倫理審査委員会が当該疫学研究に係る計画の停止,変更又は中止の意見を述べたときは,理事は,研究責任者に対し疫学研究に係る計画の停止,変更又は中止を命令しなければならない。
(結果通知)
第21条 理事は,第19条第1項及び前条第1項に規定する決定内容について,所定の様式により,研究責任者に通知するものとする。
2 理事は,疫学委員会の判定が第15条第2号から第5号までのいずれかに該当するときは,不許可の理由等を前項の様式に記載するものとする。ただし,前条第1項の規定により許可した場合を除く。
(研究責任者が他の研究機関に置かれる倫理審査委員会の審査を受けた場合等の疫学研究の実施の可否)
第22条 第12条ただし書きに規定する審査を受けた研究責任者は,倫理審査委員会の審査結果及び倫理審査委員会に提出された書類,その他理事が求める書類を理事に提出し,疫学研究の実施について,許可申請を行わなければならない。
2 理事は,前項に規定する申請に基づき,疫学研究の実施の可否を決定するものとする。
3 理事は,前項に規定する決定内容について,所定の様式により,研究責任者に通知するものとする。
(状況報告)
第23条 研究責任者は,研究計画に定めるところにより,疫学研究の進捗状況及び研究の実施に伴う有害事象の発生状況を疫学委員会及び理事に報告しなければならない。
2 研究者等は,疫学研究の倫理的妥当性又は科学的合理性を損なう又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得た場合には,速やかに研究責任者に報告しなければならない。
3 研究責任者は,前項の報告を受けた場合であって,当該疫学研究の継続に影響を与えると考えられるものを得た場合には,遅滞なく,理事に報告し,必要に応じて当該疫学研究を停止し,若しくは中止し,又は研究計画を変更しなければならない。
4 研究者等は,疫学研究の実施の適正性又は研究結果の信頼を損なう又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得た場合には,速やかに,研究責任者又は理事に報告しなければならない。
5 研究者等は,疫学研究に関連する情報の漏えい等,研究対象者等の人権を尊重する観点又は疫学研究の実施上の観点から重大な懸念を把握したときは,速やかに,理事及び研究責任者に報告しなければならない。
6 研究責任者は,前2項の報告を受けた場合には,速やかに,理事に報告し,必要に応じて当該疫学研究を停止し,若しくは中止し,又は研究計画を変更しなければならない。
7 理事は,第3項から前項までの報告を受けたときは,必要に応じて疫学委員会に意見を聴き,速やかに必要な措置を講じなければならない。
(重篤な有害事象の報告)
第24条 研究責任者は,侵襲を伴う疫学研究の実施において重篤な有害事象の発生を知ったときは,速やかに疫学委員会の意見を聴いた上で,その旨を理事に報告するとともに,適切な対応をしなければならない。
(勧告及び中止命令)
第25条 疫学委員会は,許可された疫学研究に係る重大な倫理上の問題がある又は侵襲を伴う疫学研究の実施において重篤な有害事象が発生したと判断したときは,必要に応じて研究責任者に当該疫学研究の是正を勧告し,又は理事に当該疫学研究の中止を意見することができる。
2 理事は,前項に規定する中止意見を受けたときは,研究責任者に対して疫学研究の中止を命令する。
(終了等の報告)
第26条 研究責任者は,疫学研究を終了したとき又は中止したときは,疫学委員会が定める様式により,遅滞なく疫学委員会及び理事に報告しなければならない。
(大臣への報告等)
第27条 学長は,本学において実施している又は過去に実施した疫学研究について,指針に適合していないことを知ったときは,速やかに疫学委員会の意見を聴き,必要な対応を行うとともに,不適合の程度が重大であるときは,その対応の状況及び結果を文部科学大臣及び厚生労働大臣(以下「大臣」という。)に報告し,及び公表しなければならない。
2 学長は,大臣又はその委託を受けた者が実施する調査に協力しなければならない。
(研究責任者が他の研究機関に置かれる倫理審査委員会の審査を受けた場合等の疫学研究の状況報告等)
第28条 第12条ただし書きに規定する審査を受けた疫学研究に関し,第23条第1項及び第26条に規定する疫学委員会への報告並びに第23条第7項,第24条及び前条第1項に規定する疫学委員会に聴く意見は,審査を行った倫理審査委員会に報告する,又は意見を聴くものとする。
(情報公開)
第29条 理事は,疫学研究に係る情報のうち,個人情報等であり公開することが不適当であると認められるものを除き,その情報を公開するものとする。
(事務)
第30条 疫学研究に関する事務及び疫学委員会に関する事務は,医療政策室において処理する。
(雑則)
第31条 この規則に定めるもののほか,疫学研究に関し必要な事項は理事が,疫学委員会に関し必要な事項は,疫学委員会が定める。
第3章 臨床研究
(臨床研究倫理審査委員会)
第32条 医の倫理規則第4条第3項に規定する臨床研究倫理審査委員会(以下「臨床委員会」という。)は,次の各号に掲げる委員で組織し,男女両性により構成するものとする。
(1) 研究科等の教授(医学部,歯学部,薬学部又は研究科等の長である者を除く。),准教授又は講師
(2) 倫理学,法律学その他の人文・社会科学に関する有識者
(3) 一般の立場の者
(4) その他学長が必要と認めた者
2 委員は,5人以上とする。
3 前項第2号及び第3号の委員のうち複数人は,学外者とする。
4 委員は,学長が任命又は委嘱する。
5 委員の任期は,2年とし,4月1日に任命又は委嘱することを常例とする。ただし,4月2日以降に任命又は委嘱された場合の任期は,その任命又は委嘱の日から起算して1年を経過した日の属する年度の末日までとする。
6 委員の再任は,妨げない。
(臨床委員会の業務)
第33条 臨床委員会は,次の各号に掲げる業務を行う。
(1) 研究責任者から申請のあった臨床研究の実施の適否その他の事項について,倫理的観点及び科学的観点から審査し,研究責任者に意見を述べること。
(2) 許可された臨床研究について倫理的観点及び科学的観点から必要な調査を行い,研究計画の変更,臨床研究の中止その他当該臨床研究に関し必要な意見を研究責任者に述べること。
(3) 許可された臨床研究のうち侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものについて,当該臨床研究の実施の適正性及び研究結果の信頼性を確保するために必要な調査を行い,研究計画書の変更,研究の中止その他当該臨床研究に関し必要な意見を述べること。
(4) 研究責任者その他の臨床研究に携わるすべての関係者に対して指導すること。
(5) 審査経過及び審査結果を記録し,当該臨床研究の終了が報告された日から 5 年を経過した日の属する年度の末日まで保存すること。
2 前項の規定にかかわらず,臨床委員会は,本学以外の研究機関の研究責任者から臨床研究に相当する研究の実施に関する審査の依頼があったときは,これを審査することができる。
3 前項の審査に関し必要な事項は,別に定める。
(会議)
第34条 臨床委員会に,委員長及び副委員長を置く。
2 委員長及び副委員長は,第32条第1項第1号の委員のうちから学長が任命する。
第35条 臨床委員会は,原則として毎月開催するものとする。
2 委員長は,臨床委員会を招集し,その議長となる。
3 委員長に事故等があるときは,副委員長がその職務を代行する。
第36条 臨床委員会は,次の各号のいずれかに該当するときは,開催することができない。
(1) 第32条第1項第1号から第3号までの委員の出席がないとき。
(2) 学外者の委員2人以上の出席がないとき。
(3) 男女両性の出席がないとき。
(4) 5人以上の出席がないとき。
2 臨床委員会の議事は,原則として,全会一致をもって決する。ただし,全会一致が困難なときは,出席委員の3分の2以上の同意により決する。
3 委員は,審査対象となる臨床研究の研究責任者又は当該臨床研究に関係する者であるときは,当該臨床研究に係る審議及び採決に参加することができない。ただし,臨床委員会の求めに応じて会議に出席し,説明することができる。
第37条 臨床委員会は,必要と認めたときは,委員以外の者の出席を求め,その意見を聴くことができる。
(委員の責務)
第38条 委員は,第33条第1項第1号の審査の向上を図るため,審査その他の委員会の業務に必要な知識に関する教育・研修を継続的に受けなければならない。
2 委員は,職務上知ることのできた秘密及び個人情報を正当な理由なく漏らしてはならない。委員を退いた後も同様とする。
3 第1項の教育・研修に関し必要な事項は,病院長が定める。
(小委員会)
第39条 臨床委員会の審査の効率化を図るため,臨床委員会に小委員会を置くことができる。
2 小委員会に関し必要な事項は,臨床委員会が定める。
(研究の申請)
第40条 研究責任者は,新たに臨床研究を実施し,又は許可された臨床研究の計画を変更しようとするときは,臨床委員会が定める様式により,臨床委員会へ申請しなければならない。ただし,次の各号のいずれかに該当するときは,この限りでない。
(1) 研究責任者が,他の研究機関に置かれる倫理審査委員会に審査を求めたとき。
(2) 一の研究計画に基づき複数の研究機関において実施される臨床研究(以下「多機関共同臨床研究」という。)に係るものであって,本学以外の研究機関の研究責任者が,一の倫理審査委員会に一括した審査を求めたとき。
(手数料)
第41条 臨床委員会の運営に資するため,臨床委員会の審査業務に係る手数料を徴収する。
2 手数料の額は,研究課題 1 件につき次の表のとおりとする。
区分金額
申請した年度の手数料10,000円
翌年度以降の手数料(研究終了まで毎年度発生)10,000円
3 手数料は,所定の手続きを経て,臨床委員会が定める日までに納付しなければならない。
4 既納の手数料は,返還しない。
(審査)
第42条 臨床委員会は,第40条の申請があったときは,次の各号に掲げる事項に留意の上,審査しなければならない。
(1) 研究対象者の個人の尊厳及び人権への十分な配慮
(2) 個人情報の保護の方法
(3) 研究対象者に理解を求め,同意を得る方法
(4) 臨床研究に参加することにより期待される利益及び起こりうる危険並びに不快な状態の排除方法
(5) 研究結果の公表を通じた公明性の確保
2 委員長は,十分な審査が可能と判断するときは,書面による審議を行うことができる。
(判定の区分)
第43条 臨床委員会の審査の判定は,次の各号に掲げる区分により行う。
(1) 承認
(2) 不承認
(3) 継続審査
(4) 停止(研究の継続には更なる説明が必要)
(5) 中止(研究の継続は適当ではない)
(6) 審査対象外
(迅速審査等)
第44条 臨床委員会は,審査が次の各号のいずれかに該当すると委員長(委員長が審査対象となる臨床研究の研究責任者又は当該臨床研究に関係する者であるときにあっては副委員長)が判断するときは,迅速審査による審査を行うことができる。
(1) 多機関共同臨床研究であって,既に当該臨床研究の全体について個別の倫理審査委員会の審査を受け,その実施について適当である旨の意見を得ているときの審査
(2) 研究計画の軽微な変更に関する審査
2 迅速審査は,臨床委員会が申請の内容を客観的に審査できる者として指名する委員により行うものとする。
3 迅速審査の判定は,前条の区分により行う。この場合において,当該判定をもって臨床委員会の判定とする。
4 委員長は,申請の内容及び前項の判定を委員に報告する。
(審査結果通知)
第45条 臨床委員会は,第43条又は前条第3項の判定を行ったときは,審査結果を研究責任者に通知する。
(許可の申請)
第46条 研究責任者は,前条の通知を受けた後,その結果及び臨床委員会に提出した書類,その他病院長が求める書類を病院長に提出し,臨床研究の実施について,許可申請を行わなければならない。
(決定)
第47条 病院長は,前条に規定する申請に基づき,臨床研究の実施の可否を決定するものとする。
2 病院長は,臨床委員会の判定が第43条第2号から第5号までのいずれかに該当するときは,臨床研究を許可しない。
(決定の例外)
第48条 第40条から前条までの規定にかかわらず,公衆衛生上の危害の発生又は拡大を防止するため緊急に臨床研究を実施する必要があると判断するときは,病院長は,研究責任者が倫理審査委員会の意見を聴く前に許可を決定することができる。ただし,許可後遅滞なく,研究責任者は,倫理審査委員会の意見を聴かなければならない。
2 前項ただし書の場合において,倫理審査委員会が当該臨床研究に係る計画の停止,変更又は中止の意見を述べたときは,病院長は,研究責任者に対し臨床研究に係る計画の停止,変更又は中止を命令しなければならない。
(結果通知)
第49条 病院長は,第47条第1項及び前条第1項に規定する決定内容について,所定の様式により,研究責任者に通知するものとする。
2 病院長は,臨床委員会の判定が第43条第2号から第5号までのいずれかに該当するときは,不許可の理由等を前項の様式に記載するものとする。ただし,前条第1項の規定により許可した場合を除く。
(研究責任者が他の研究機関に置かれる倫理審査委員会の審査を受けた場合等の臨床研究の実施の可否)
第50条 第40条ただし書きに規定する審査を受けた研究責任者は,倫理審査委員会の審査結果及び倫理審査委員会に提出された書類,その他病院長が求める書類を病院長に提出し,当該研究の実施について,許可申請を行わなければならない。
2 病院長は,前項に規定する申請に基づき,臨床研究の実施の可否を決定するものとする。
3 病院長は,前項に規定する決定内容について,所定の様式により,研究責任者に通知するものとする。
(状況報告)
第51条 研究責任者は,研究計画に定めるところにより,臨床研究の進捗状況及び研究の実施に伴う有害事象の発生状況を臨床委員会及び病院長に報告しなければならない。
2 研究者等は,臨床研究の倫理的妥当性又は科学的合理性を損なう又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得た場合には,速やかに研究責任者に報告しなければならない。
3 研究責任者は,前項の報告を受けた場合であって,当該臨床研究の継続に影響を与えると考えられるものを得た場合には,遅滞なく,病院長に報告し,必要に応じて当該臨床研究を停止し,若しくは中止し,又は研究計画を変更しなければならない。
4 研究者等は,臨床研究の実施の適正性又は研究結果の信頼を損なう又はそのおそれがある事実を知り,又は情報を得た場合には,速やかに,研究責任者又は病院長に報告しなければならない。
5 研究者等は,臨床研究に関連する情報の漏えい等,研究対象者等の人権を尊重する観点又は臨床研究の実施上の観点から重大な懸念を把握したときは,速やかに,病院長及び研究責任者に報告しなければならない。
6 研究責任者は,前2項の報告を受けた場合には,速やかに,病院長に報告し,必要に応じて当該臨床研究を停止し,若しくは中止し,又は研究計画を変更しなければならない。
7 病院長は,第3項から前項までの報告を受けたときは,必要に応じて臨床委員会に意見を聴き,速やかに必要な措置を講じなければならない。
(重篤な有害事象の報告)
第52条 研究責任者は,侵襲を伴う臨床研究の実施において,重篤な有害事象の発生を知ったときは,速やかに臨床委員会の意見を聴いた上で,その旨を病院長に報告するとともに,適切な対応をしなければならない。
2 侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものの実施において予測できない重篤な有害事象が発生し,当該研究との直接の因果関係が否定できない場合には,研究責任者は,病院長に報告した上で,速やかに,対応の状況及び結果を厚生労働大臣に報告し,公表しなければならない。
(勧告及び中止命令)
第53条 臨床委員会は,許可された臨床研究に係る重大な倫理上の問題又は侵襲を伴う臨床研究の実施において重篤な有害事象が発生したと判断したときは,必要に応じて研究責任者に当該臨床研究の是正を勧告し,又は病院長に当該臨床研究の中止を意見することができる。
2 病院長は,前項に規定する中止意見を受けたときは,研究責任者に対して臨床研究の中止を命令する。
(終了等の報告)
第54条 研究責任者は,臨床研究を終了したとき又は中止したときは,臨床委員会が定める様式により,遅滞なく臨床委員会及び病院長に報告しなければならない。
2 研究責任者は,臨床研究を終了したときは,遅滞なく,研究対象者等及びその関係者の人権又は研究者等及びその関係者の権利利益の保護のために必要な措置を講じた上で,当該臨床研究の結果を公表しなければならない。また、侵襲(軽微な侵襲を除く。)を伴う研究であって介入を行うものについて,結果の最終の公表を行ったときは,遅滞なく病院長へ報告しなければならない。
(大臣への報告等)
第55条 学長は,本学において実施している又は過去に実施した臨床研究について,指針に適合していないことを知ったときは,速やかに臨床委員会の意見を聴き,必要な対応を行うとともに,不適合の程度が重大であるときは,その対応の状況及び結果を大臣に報告し,及び公表しなければならない。
2 学長は,大臣又はその委託を受けた者が実施する調査に協力しなければならない。
(研究責任者が他の研究機関に置かれる倫理審査委員会の審査を受けた場合等の臨床研究の状況報告等)
第56条 第40条ただし書きに規定する審査を受けた臨床研究に関し,第51条第1項及び第54条第1項に規定する臨床委員会への報告並びに第51条第7項,第52条第1項及び前条第1項に規定する臨床委員会に聴く意見は,審査を行った倫理審査委員会に報告する,又は意見を聴くものとする。
(情報公開)
第57条 病院長は,臨床研究に係る情報のうち,個人情報等であり公開することが不適当であると認められるものを除き,その情報を公開するものとする。
(事務)
第58条 臨床研究に関する事務及び臨床委員会に関する事務は,医療政策室において処理する。
(雑則)
第59条 この規則に定めるもののほか,臨床研究に関し必要な事項は病院長が,臨床委員会に関し必要な事項は臨床委員会が定める。
附 則
この規則は,令和3年6月30日から施行する。
附 則(令和6年3月6日規則第11号)
この規則は,令和6年4月1日から施行する。