○粕屋町議会基本条例
(平成24年3月26日条例第11号)
改正
令和6年3月22日条例第20号
目次
  前文
  第1章 総則(第1条-第3条)
  第2章 議会の運営原則及び議員の活動原則(第4条-第6条)
  第3章 町民と議会との関係(第7条-第9条)
  第4章 議会と行政との関係(第10条-第13条)
  第5章 議会と議員との関係(第14条)
  第6章 委員会の活動(第15条)
  第7章 議会及び議会事務局の体制整備(第16条-第18条)
  第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇(第19条-第21条)
  第9章 条例の検証及び見直し手続(第22条)
  第10章 補則(第23条)
  附則
前文
 この条例は、主権在民を基調とする民主主義の原理に基づき制定するものである。
 粕屋町の町政は、粕屋町の住民(以下「町民」という。)の負託に応えるものであって、その権利の源は町民にある。その権能は、選挙によって選ばれた町民の代表者である町長と議員によって構成される粕屋町議会(以下「議会」という。)が、町民福祉の向上や実現のため、町民の要望等を十分把握して行使する。
 町政の運営は、日本国憲法に基づく二元代表制の下で、町長と議会は町民の負託を更に重く受け止めて活動し、町長は執行機関として執行権、議会は合議制の議事機関として議決権、それぞれの異なる特性を生かしながら、独断専行を抑制しつつ競い合い、協力し合わなければならない。そして、町長と議会には、緊張関係の下で、論点及び争点を明確にし、粕屋町にとって最良の意思を決定することで、町民全体の福祉向上と地域社会の活力ある発展を目指していく使命が課せられている。
 新しい地方主体の時代を迎え、地方自治の範囲が拡大した今日、町民に最も身近で基礎的な自治体である粕屋町の自治権を拡充し、これを生活者の視点に立った「地方政府」に近づけていくことが求められている。
 よって議会には、これまで以上に監視、調査、政策立案及び立法の機能強化を図らなければならない。
 さらに、積極的な情報公開を率先して行い、より一層町民に開かれた議会を実現しなければならない。また、議会は町民の多様な意見を的確に把握することに日々努力し、常に町民との対話を行い、町民の声をくみ取りながら、議員間による自由かっ達な討議を重ね、町民に信頼される議会運営に取り組まなければならない。
 議会は、この崇高な理念と目的を達成することを誓い、ここに粕屋町議会基本条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、地方自治の本旨に基づき、議会運営及び議員に係る規範的事項を定めることにより、町民との共創による開かれた議会の実現を図り、町勢の伸展及び民主政治の健全な発展に寄与することを目的とする。
(最高規範性)
第2条 この条例は、議会における最高規範であって、議会はこの条例の趣旨に反する議会の条例、規則等を制定してはならない。
(議会の役割と責務)
第3条 議会は、町民に選ばれた議員全員によって組織された、言論の府であり、合議制の議決機関である特性と責任を認識し、総合的視点と長期的展望に立ち重要政策の意思決定及び議会活動に努めなければならない。
第2章 議会の運営原則及び議員の活動原則
(議会の運営原則)
第4条 議会は、次に掲げる原則に基づき運営を行うものとする。
(1) 公正性、透明性及び信頼性を確保し、町民に開かれた議会運営を目指すこと。
(2) 町民を代表する議事機関であることを常に自覚し、町長その他の執行機関(以下「町長等」という。)の町政運営状況の監視に努めること。
(3) 議員相互間の討議を十分に尽くして、合意形成に努めること。
(4) 粕屋町議会会議規則(昭和62年粕屋町議会規則第1号。以下「会議規則」という。)、粕屋町議会委員会条例(昭和62年粕屋町条例第15号。以下「委員会条例」という。)及び議会における先例(申し合わせ)事項は、継続して精査するものとし、必要があれば見直しを行うこと。
(5) 町民が傍聴の意欲を高める議会運営に努めること。
(6) 町民にとって分かりやすい言葉、表現を用いる等の議会運営に努めること。
(議員の活動原則)
第5条 議員は、次に掲げる原則に基づき活動を行うものとする。
(1) 議会が言論の場であること及び合議制機関であることを十分認識し、議員相互間の自由な討議を重んじること。
(2) 町民の多様な意見を的確に把握することに努め、町民全体としての福祉向上を目指すこと。
(3) 議員立法による積極的な条例提案を行うよう努めること。
(議長及び副議長の権限と役割)
第6条 議長及び副議長の権限については、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)に定めるところによるものとし、その役割については、会議規則で定めるものとする。
第3章 町民と議会との関係
(町民参加及び町民との連携)
第7条 議会は、議会活動に関する情報公開を徹底するとともに、町民に対する説明責任を十分に果たさなければならない。
2 議会は、本会議を始め、全ての会議を原則公開とする。
3 議会は、町民との意見交換の場を多様に設け、議員の政策立案能力を強化するとともに、政策提案の拡大に努めるものとする。
(意見交換会等)
第8条 議会は、町民への報告と町民との意見交換の場として、意見交換会等を行うものとする。
2 意見交換会等に関することは、別に定める。
(議会広報の充実)
第9条 議会は、町議会ホームページ等の情報通信技術の発達を踏まえた多様な広報手段を活用し、多くの町民が議会及び町政への関心を高めるための体制整備並びに議会広報活動の充実強化に努めるものとする。
2 議会は、町政に係る重要な情報及び議案に対する各議員の対応を議会広報で公表する等、情報の提供に努めるものとする。
第4章 議会と行政との関係
(議会と執行機関)
第10条 議会審議における議員と町長等との関係については、緊張関係の保持に努めなければならない。
2 会議における議員と町長等の質疑応答は、広く町政上の論点及び争点を明確にするため、一問一答の方式で行う。
3 会議において質問を受けた者は、議長の許可を得て、質問の趣旨をただし、又は反問することができる。
4 会議における質問及び発言は、要点のみを分かりやすく述べ、品位ある発言に努めること。
(町長による政策形成過程の説明)
第11条 議会は、町長が提案する重要な計画、政策及び事業等(以下「政策等」という。)について、議会審議における論点情報を整理し、その政策等の水準を高めるため、次の各号に掲げる事項の説明を行うよう求めるものとする。
(1) 政策等を必要とする背景
(2) 提案に至るまでの経緯
(3) 町民参加の実施の有無及びその内容
(4) 他の自治体の類似する政策との比較検討
(5) 総合計画における根拠又は位置付け
(6) 政策等の実施に係る財源措置
(7) 将来にわたる政策等の効果及びコスト計算(収入見込みを含む。)
(町長による予算及び決算における説明)
第12条 議会は、予算案及び決算の審議に当たっては、前条の規定に準じて、分かりやすい施策別又は事業別の説明を行うよう求めるものとする。
(法第96条第2項の議決事項)
第13条 法第96条第2項に基づく議会の議決事項は、町政における重要な計画等の決定に参画する観点と町長の政策執行上の必要性を比較考量のうえ、別に条例で定める。
第5章 議会と議員との関係
(自由討議の保障及び拡大)
第14条 議会は、言論の場であることを十分に認識し、議員相互間の自由討議を中心とした運営に努めるものとする。
2 議会は、前項の議員相互間の自由討議を拡大し、条例、意見書等の議案提出を積極的に行えるよう努めるものとする。
3 議会は、前2項の自由討議を行う場合、町長その他の説明員を必要に応じて退席させることができるものとする。
第6章 委員会の活動
(委員会の適切な運営)
第15条 議会は、町政の諸課題を適正に判断し、委員会の専門性と特性を生かした適切な運営に努めなければならない。
2 議会は、常任委員会、特別委員会等の運営に当たり、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用するものとする。
3 委員会審査に当たっては、資料等を積極的に公開し、町民に分かりやすい議論を行うよう努めなければならない。
4 委員会は、原則、公開しなければならない。
第7章 議会及び議会局の体制整備
(議員研修の充実強化)
第16条 議会は、この条例の理念を議員相互間で共有するため、一般選挙を経た任期開始後、速やかに、この条例に関する研修を議員全員で行わなければならない。
2 議会は、議員の政策形成及び立案能力の向上を図るため、議員研修の充実強化を図るものとする。
3 議会は、議員研修の充実強化に当たり、広く各分野から専門的知識を取り入れるよう努めるものとする。
(専門的知見の活用)
第17条 議会は、町政の直面する現状と重要課題に対応するため、法第100条の2の規定により、大学等研究機関との連携又は専門的な知識及び経験を有する者による積極的な活用を図ることができる。
(議会局の体制整備)
第18条 議会は、法第138条第2項の規定により、議会に事務局として議会局を置く。なお、議会局に関し必要な事項は、別に定める。
2 議会局は、議長の管理に属し、粕屋町議会に関する事務を処理し、自らも研鑽に努める。
3 議会は、政策立案機能及び政策立案提言機能を高めるため、議会局の機能強化及び組織体制の充実に努めるものとする。
4 議会局は、議会の円滑かつ効果的な運営及び活動の充実を図るパートナーとして、議会に対し提案を行うことができる。
第8章 議員の政治倫理、身分及び待遇
(議員の政治倫理)
第19条 議員は、町民の代表として名誉と品位を損なう行為を慎み、また、その地位を利用して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないなど、議員としての責務を正しく認識し、議会の一員として、その使命の達成に努めなければならない。
2 議員は、粕屋町政治倫理条例(平成11年粕屋町条例第22号)を規範とし、遵守しなければならない。
(議員定数)
第20条 議員定数は、粕屋町議会議員の定数を定める条例(平成14年粕屋町条例第21号)で定めるものとする。
2 議会は、議員定数の改正に当たっては、民主主義の原理を踏まえ、附属機関、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用することにより、町民の意向を把握し、本町の実情にあった定数を検討するものとする。
3 議員が議員定数を改正する議案を提出するに当たっては、法第74条第1項の規定に基づく町民の直接請求による場合及び町長が提出する場合を除き、改正理由の説明を付して、議長に提出するものとする。
(議員報酬)
第21条 議員報酬は、粕屋町議会議員の議員報酬及び費用弁償等に関する条例(昭和41年粕屋町条例第5号)で定める。
2 議会は、議員報酬の改正に当たっては法第74条第1項の規定に基づく町民の直接請求による場合を除き、附属機関、参考人制度及び公聴会制度を十分に活用することにより、町民の意向を把握することができる。
3 議会は、前項の規定により把握した結果について、町長に提出することができるものとする。
第9章 条例の検証及び見直し手続
(条例の検証及び見直し手続)
第22条 議会は、別に期間を定め、この条例の目的が達成されているかを議会運営委員会等において検証し、その結果を町民に積極的に公表するものとする。
2 議会は、前項の規定による検証の結果、制度の改善が必要な場合は、この条例の改正を含めて適切な措置を講ずるものとする。
3 条例の検証及び見直しについては、別に定める。
第10章 補則
(委任)
第23条 この条例に定めるもののほか、この条例を実施するため必要な事項は、別に定める。
附 則
この条例は、平成24年4月1日から施行する。
附 則(令和6年3月22日条例第20号)
この条例は、令和6年4月1日から施行する。