○三股町空家等の適正管理及び有効活用に関する条例
(平成27年10月1日条例第29号)
(目的)
第1条 この条例は、空家等の適正管理及び有効活用を図るため、町及び所有者等の責務を明らかにするとともに、空家等対策の推進に関する特別措置法(平成26年法律第127号。以下「法」という。)第4条の規定に基づく空家等に関する対策の実施その他の空家等に関する措置について、必要な事項を定めることにより、空家等が周辺の生活環境を害すること及び倒壊等の事故、犯罪、火災等を防止し、もって町民等の良好な生活環境の保全及び安全で安心な魅力ある地域社会の実現に寄与することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 空家等 町内に所在する建築物及びこれに附属する工作物並びにこれらの敷地(立木その他の土地に定着する物を含む。)であって、常に人が使用していないもの又はこれに類する状態にあるものをいう。ただし、国又は地方公共団体が所有し、又は管理するものを除く。
(2) 特定空家等 そのまま放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれのある状態又は著しく衛生上有害となるおそれのある状態、適切な管理が行われていないことにより著しく景観を損なっている状態その他周辺の生活環境の保全を図るために放置することが不適切である状態にあると認められる空家等をいう。
(3) 所有者等 空家等を所有し、又は管理する者をいう。
(4) 町民等 町内に居住し、滞在し、勤務し、又は在学する者及び町内に所在する法人その他の団体をいう。
(5) 管理不全な状態 空家等が次の各号のいずれかに該当する場合であって、当該空家等の周辺の生活環境を害するおそれがある状態をいう。
ア 外壁、屋根その他の建築材の一部が剥落し、又は破損している状態
イ 窓又は扉が破損し、不特定の者が侵入することができる状態
ウ 雑草が繁茂している状態
エ 樹木の枝葉又は雑草が、隣地にはみ出している状態又は道路上にはみ出し安全な通行を確保する上での妨げとなっている状態
オ ねずみ、はえ、蚊その他の衛生動物又は悪臭が発生している状態
カ 廃棄物が投棄されている状態
キ アからカに掲げるもののほか町長が認める状態
(6) 危険な状態 空家等が次の各号のいずれかに該当する場合であって、町民等の生命、身体又は財産に被害を及ぼすおそれがある状態をいう。
ア 老朽化その他の事由により倒壊するおそれがある状態
イ 風雨、地震その他の自然現象により建築材が飛散し、又は崩落するおそれがある状態
ウ ア又はイに掲げるもののほか、管理不全な状態であって周辺の生活環境を著しく害するおそれがあると町長が認める状態
(基本理念)
第3条 空家等の適正管理及び有効活用は、町、所有者等及び町民等が、管理不全な状態又は危険な状態(以下「管理不全な状態等」という。)となった空家等が町民等の良好な生活環境並びに地域社会の安全及び安心を脅かす重大な問題であることを認識し、協働又は協力して取り組むことを基本として行わなければならない。
(所有者等の責務)
第4条 所有者等は、その社会的責任を自覚し、前条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、自らの責任及び負担において空家等が管理不全な状態等にならないよう、常に適正にこれを管理しなければならない。
2 所有者等は、空家等の適正管理又は有効活用に関する町又は町民等の取組に協力しなければならない。
(町の責務)
第5条 町は、基本理念にのっとり、空家等の適正管理及び有効活用に関し、必要な施策を適切に講ずるよう努めなければならない。
2 町は、空家等の適正管理又は有効活用に関する所有者等又は町民等の取組に協力し、必要な支援に努めなければならない。
(町民等の役割)
第6条 町民等は、基本理念にのっとり、町民等同士の協力又は連携により、空家等の適正管理又は有効活用に関する必要な取組の実施に努めるものとする。
2 町民等は、管理不全な状態等である空家等があると認めるときは、町にその情報を提供するよう努めるものとする。
(当事者間における解決の原則)
第7条 管理不全な状態にある空家等に関し生ずる紛争は、原則として当該紛争の当事者間において解決を図るものとする。
(空家等対策計画)
第8条 町長は、空家等に関する対策を総合的かつ計画的に実施するため、法第6条第1項に規定する空家対策計画を定めることができる。
(空家等対策協議会)
第9条 町長は、空家等対策計画の作成及び変更並びに実施に関する協議を行うため、法第7条第1項に規定する協議会を組織することができる。
(空家等の有効活用)
第10条 町及び所有者等は、空家等が所有者等により使用されること、第三者の居住その他の活動のために貸与されること等により、地域の資源として、居住の促進、良好な生活環境の形成等、まちづくりに寄与するものとして有効活用されるよう努めるものとする。
(情報の利用等)
第11条 町長は、固定資産税の課税その他の事務のために利用する目的で保有する情報であって氏名その他の空家等の所有者等に関するものについては、法第10条第1項の規定により、その保有に当たって特定された利用の目的以外の目的のために内部で利用することができる。
2 町長は、法第10条第3項の規定により、関係する地方公共団体の長その他の者に対して、空家等の所有者等の把握に関し必要な情報の提供を求めることができる。
(立入調査等)
第12条 町長は、空家等を発見したとき又は町民等から第6条第2項の規定による情報提供を受けたときは、法第9条に基づきこの条例の施行のために当該空家等の状態及び所有者等の把握について必要な調査をすることができる。
2 町長は、第13条、第14条及び第15条第1項の規定の施行に必要な限度において、当該職員又はその委任した者に、空家等と認められる場所に立ち入って調査をさせることができる。
3 町長は、法第9条第3項の規定により当該職員又はその委任した者を空家等と認められる場所に立ち入らせようとするときは、その5日前までに、当該空家等の所有者等にその旨を通知しなければならない。ただし、当該所有者等に対し通知することが困難であるときはこの限りでない。
4 町長は、第2項の規定により立入調査又は質問をする職員を必要な場所に立ち入ろうとする場合で必要があると認めるときは、専門的な知識を有する者その他必要な者を同行させ、意見を求めることができる。
5 第2項の規定により立入調査又は質問をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
6 第2項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
(助言又は指導)
第13条 町長は、空家等が管理不全な状態等であると認めるときは、当該空家等の所有者等に対し、管理不全な状態等を解消するために必要な措置を講ずるよう助言又は指導することができる。
(勧告)
第14条 町長は、前条の規定による助言又は指導を受けた者が、その助言又は指導に係る措置を講じない場合において、当該空家等がなお管理不全な状態等にあると認めるときは、当該助言又は指導を受けた者に対し、相当の期限を定めて、管理不全な状態等を解消するために必要な措置を講ずるよう勧告することができる。
2 町長は、前項の規定による勧告をする場合は、あらかじめ、第20条に規定する三股町空家等対策審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
(命令)
第15条 町長は、前条の規定による勧告を受けた者が、正当な理由なく当該勧告に係る措置を講じない場合において、当該空家等が危険な状態であると認めるときは、当該勧告を受けた者に対し、相当の期限を定めて、危険な状態を解消するために必要な措置を講ずるよう命ずることができる。
2 町長は、前項の規定による命令をする場合は、あらかじめ、第20条に規定する三股町空家等対策審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
(公表)
第16条 町長は、前条第1項の規定による命令を受けた者が、正当な理由なく当該命令に係る措置を講じない場合は、次に掲げる事項を公表することができる。
(1) 所有者等の氏名及び住所(法人にあっては、主たる事業所の所在地、名称及び代表者の氏名)
(2) 空家等の所在地
(3) 命令の内容
(4) その他町長が必要と認める事項
2 町長は、前項の規定により公表をしようとするときは、あらかじめ、当該公表に係る所有者等に対し、弁明の機会を付与しなければならない。
(行政代執行法の適用)
第17条 町長は、第15条第1項の規定による命令を受けた者が、当該命令に係る措置を講じない場合における当該措置の履行の確保については、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の定めるところにより代執行を行うことができる。
2 町長は、前項の規定による代執行をする場合は、あらかじめ、第20条に規定する三股町空家等対策審議会の意見を聴かなければならない。ただし、緊急を要する場合は、この限りでない。
(緊急安全措置)
第18条 町長は、空家等が危険な状態にあり、かつ、これを放置することにより町民等の生命、身体又は財産に被害を及ぼすことが明らかである場合であって、所有者等に指導等を行う時間的余裕がないと認めるときに限り、当該空家等の危険な状態を緊急に回避するために必要な最低限度の措置(以下「緊急措置」という。)を自ら講ずることができる。
2 町長は、前項の緊急措置を講じたときは、当該緊急措置に要した費用を所有者等から徴収することができる。
(空家等に関するデータベースの整備等)
第19条 町は、法第11条に基づき空家等(建築物を販売し、又は賃貸する事業を行う者が販売し、又は賃貸するために所有し、又は管理するもの(周辺の生活環境に悪影響を及ぼさないよう適切に管理されているものに限る。)を除く。)に関するデータベースの整備その他空家等に関する正確な情報を把握するために必要な措置を講ずるよう努めるものとする。
(空家等対策審議会)
第20条 町に、三股町空家等対策審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、町長の諮問に応じ、次に掲げる事項を所掌する。
(1) 第14条第1項、第15条第1項及び第17条第1項に規定する勧告、命令及び代執行について、第14条第2項、第15条第2項及び第17条第2項の規定に基づき意見を述べること。
(2) 前号に掲げるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項を調査審議すること。
3 審議会は、委員7人以内をもって組織する。
4 前項に定めるもののほか、審議会の組織及び運営について必要な事項は、町長が定める。
(専門的知識を有する者からの意見)
第21条 町長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、専門的知識を有する者の意見を聴くことができる。
(警察その他の関係機関との連携)
第22条 町長は、この条例の施行に関し必要があると認めるときは、町の区域を管轄する警察その他の関係機関に必要な措置について協力を要請することができる。
(関係法令の適用)
第23条 町長は、空家等の適正管理のために必要があると認めるときは、関係法令を適用し、必要な措置を講ずるものとする。
(委任)
第24条 この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
この条例は、公布の日から施行する。