○三股町景観条例
(令和2年9月30日条例第23号)
三股町には、まちの歴史や風格が感じられる集落景観や豊かな田園と美しい川、峡谷美や雄大な高千穂峰が織りなす自然景観、城跡や石橋などの文化財、低層でゆったりとした住宅地など町民や地域に愛されている景観を多数有している。
 また、夏の風物詩である六月灯、盆まつりなどの地域が主体となった行事や郷土芸能も継承され、地域の生業や暮らしと一体となって息づいている。
 現在あたり前のように身近にある町民や地域に愛されている魅力が本町の景観の心地よさを形成していることに気づき、町民と地域が次の世代にも引き継いでいく景観として、動き出す契機とするために、この条例を制定する。
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、景観法(平成16年法律第110号。以下「法」という。)の規定に基づく手続き等について必要な事項を定めることにより、町民、事業者及び町が景観に対する意識を高め、暮らしとともにある豊かな自然、歴史文化、まちなみ及び眺めにより形成されている本町ならではの良好な景観をまちづくりとして保全、育成及び創出することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において使用する用語は、次項に定めるもののほか、法において使用する用語の例による。
2 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。
(1) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
(2) 工作物 土地又は建築物に定着し、又は継続して設置されるもののうち前号に掲げる以外のもので三股町景観条例施行規則(令和2年三股町規則第21号。以下「規則」という。)に定めるものをいう。
(3) 町民 町内に住所を有する者及び町内の土地又は建築物及び工作物(以下「建築物等」という。)に関する権利を有する者をいう。
(4) 事業者 第1号及び第2号に掲げるものの新築、新設、増改築その他これらに類する行為を行う者及び土地の形質の変更を行う者並びにこれらの行為に係る設計を行う者をいう。
(5) 公共施設 道路、河川、公園、広場その他景観法施行令(平成16年政令第398号)で定める公共の用に供する施設をいう。
(基本理念)
第3条 町民や地域に愛されている良好な景観は、町民と地域が次の世代にも引き継いでいくために、町民、事業者及び町が一体となり保全、育成及び創出を図らなければならない。
(町の責務)
第4条 町は、良好な景観の形成を図るため、前条に定める基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、総合的な施策を策定し、これを実施しなければならない。
2 町は、前項の規定による施策の策定及び実施に当たっては、国及び他の地方公共団体と相互連携を図り必要な措置を講ずることはもとより、町民及び事業者の意見が十分に反映されるよう努めなければならない。
3 町は、先導的役割を果たすため、公共施設の整備に当たっては、良好な景観形成に努めなければならない。
4 町は、町民及び事業者の景観形成に関する意識を高めるために、良好な景観形成に関する情報の提供その他支援に努めなければならない。
(町民の責務)
第5条 町民は、自らが良好な景観を形成する主体であることを認識し、積極的にその役割を果たすよう努めなければならない。
2 町民は、基本理念にのっとり良好な景観形成の妨げになる行為を行わないよう努めなければならない。
3 町民は、この条例の目的を達成するため、町が実施する良好な景観形成に関する施策に協力しなければならない。
(事業者の責務)
第6条 事業者は、自らが行う事業活動が景観形成に影響を与えるものであることを認識し、良好な景観形成に努めなければならない。
2 事業者は、基本理念にのっとり良好な景観形成の妨げになる行為を行わないよう努めなければならない。
3 事業者は、この条例の目的を達成するため、町が実施する良好な景観形成に関する施策に協力しなければならない。
第2章 景観まちづくり計画
(景観まちづくり計画の策定)
第7条 町は、景観の形成を総合的かつ計画的にまちづくりとして進めるため、その基本となるべき計画として、法第8条第1項に基づく景観まちづくり計画を定めるものとする。
2 町は、景観まちづくり計画において、法第8条第2項各号に掲げる事項のほか、景観の形成に関し必要な事項を定めるものとする。
3 町は、景観まちづくり計画を定め、又は変更しようとするときは、町民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。
4 町は、景観まちづくり計画を変更しようとするときは、あらかじめ、第27条第1項に規定する審議会の意見を聴かなければならない。
(重点地区の指定)
第8条 町は、景観まちづくり計画において、法第8条第2項第1号の規定による景観計画区域のうち、特に景観の形成を図る必要があると認める区域を景観形成重点地区として定めるものとする。
2 町は、景観形成重点地区を定めようとするときは、景観まちづくり計画において、当該景観形成重点地区ごとに、法第8条第2項第1号及び第2号に掲げる事項を定めるものとする。
(景観まちづくり計画への適合)
第9条 景観計画区域内において、法第16条第1項各号に掲げる行為をしようとする者は、当該行為が景観まちづくり計画に適合するよう努めなければならない。
第3章 景観法の施行に関する事項
(事前協議)
第10条 法第16条第1項の規定による届出を行おうとする者は、あらかじめ規則で定めるところにより、町長と協議しなければならない。
2 町長は、前項の規定による協議があった場合において、当該協議の内容が景観まちづくり計画に適合しないと認めるときは、助言又は指導をすることができる。
(行為の届出)
第11条 法第16条第1項の届出は、規則で定めるところにより行うものとする。
(届出が必要な行為)
第12条 法第16条第1項第4号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 土地の開墾及びその他の土地の形質の変更
(2) 木竹の伐採
(3) 土砂の採取及び鉱物の採掘
(届出及び勧告等の適用除外)
第13条 法第16条第7項第11号の条例で定める行為は、次に掲げる行為とする。
(1) 法第16条第1項第1号から第3号までに掲げる行為であって別表に掲げるものに該当しないもの
(2) 前条第1項各号に掲げる行為であって別表に掲げるものに該当しないもの
(特定届出対象行為)
第14条 法第17条第1項の条例で定める行為は、法第16条第1項第1号及び第2号に掲げる行為とする。
(行為着手の制限期間の短縮の通知)
第15条 町長は、法第18条第2項の規定により同条第1項本文の期間を短縮したときは、規則で定めるところにより、法第16条第1項又は第2項の規定による届出をした者に通知するものとする。
(完了届)
第16条 法第16条第1項又は第2項の規定による届出をした者は、当該届出に係る行為を完了したときは、規則で定めるところにより、速やかに、その旨を町長に届け出なければならない。
(助言又は指導)
第17条 町長は、法第16条第1項又は第2項の規定により届出があった場合において、その届出に係る行為が景観計画に適合しないと認めるときは、その届出をした者に対し、景観の形成を図るため必要な助言又は指導をすることができる。
(勧告、命令等に係る手続)
第18条 町長は、法第16条第3項の規定による勧告、法第17条第1項若しくは第5項の規定による命令又は前条の規定による助言若しくは指導を行う場合において、必要があると認めるときは、第27条第1項に規定する審議会の意見を聴くものとする。
第4章 景観重要建造物等
(景観重要建造物等の指定等の手続)
第19条 町長は、法第19条第1項の規定による景観重要建造物の指定(次項において「景観重要建造物の指定」という。)又は法第28条第1項の規定による景観重要樹木の指定(次項において「景観重要樹木の指定」という。)をしようとするときは、あらかじめ、第27条第1項に規定する審議会の意見を聴かなければならない。
2 町長は、景観重要建造物の指定又は景観重要樹木の指定をしたときは、その旨を告示しなければならない。
3 前2項の規定は、法第27条第1項若しくは第2項の規定による景観重要建造物の指定の解除又は法第35条第1項若しくは第2項の規定による景観重要樹木の指定の解除について準用する。
(現状変更等の申請)
第20条 前条第1項の規定による指定を受けた景観重要建造物等の所有者等は、当該景観重要建造物等の現状変更又は所有権その他の権利を移転しようとするときは、あらかじめ、その旨を町長に申請し許可を受けなければならない。ただし、法第22条第1項ただし書及び法第31条第1項ただし書に規定された行為については、この限りでない。
(原状回復命令等に係る手続)
第21条 町長は、法第23条第1項(法第32条第1項において準用する場合を含む。)の規定により原状回復又はこれに代わるべき必要な措置を命じようとする場合において、必要があると認めるときは、第27条第1項に規定する審議会の意見を聴くものとする。
(景観重要建造物の管理の基準)
第22条 法第25条第2項の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 消火器の設置その他の防災上の措置を講ずること。
(2) 景観重要建造物の滅失を防ぐため、その敷地、構造及び建築設備の状況を定期的に点検すること。
(3) 前2号に定めるもののほか、景観重要建造物の良好な景観の保全のために必要な措置を講ずること。
(景観重要樹木の管理の基準)
第23条 法第33条第2項の管理の方法の基準は、次のとおりとする。
(1) 景観重要樹木の良好な景観を保全するため、せん定その他の管理を行うこと。
(2) 病害虫の駆除その他の景観重要樹木の滅失、枯死等を防ぐために必要な措置を講ずること。
(3) 前2号に定めるもののほか、景観重要樹木の良好な景観の保全のために必要な措置を講ずること。
(管理に関する命令又は勧告の手続)
第24条 町長は、法第26条又は第34条の規定により必要な措置を命じ、又は勧告しようとする場合において必要があると認めるときは、第27条第1項に規定する審議会の意見を聴くものとする。
第5章 表彰、助成等
(表彰)
第25条 町長は、良好な景観形成に著しく寄与していると認められる建築物、工作物その他の物件について、その所有者、設計者、施工者等を表彰することができる。
2 町長は、景観の形成に関する活動を推進している個人及び団体を表彰することができる。
(景観の形成に係る助成等)
第26条 町長は、景観の形成のために必要と認める場合は、技術的援助を行い、又はその費用の一部を予算の範囲内において助成することができる。
第6章 景観審議会
(設置等)
第27条 この条例に定める事項のほか、町長の諮問に応じ、景観の形成に関する事項について調査審議するため、三股町景観審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、委員6名以内をもって組織する。
3 委員の任期は2年とし、再任を妨げない。ただし、委員に欠員が生じた場合における補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
第7章 雑則
(委任)
第28条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、町長が別に定める。
附 則
この条例は、令和2年10月1日から施行する。
別表(第13条関係)
種別届出対象行為届出を要する行為の規模
建築物新築、増築、改築若しくは移転延床面積が500平方メートルを超えるもの又は高さが10メートルを超えるもの
外観を変更する修繕若しくは模様替え又は色彩変更前記の規模で外観を変更することとなる見付面積の合計が全体の2分の1以上となるもの
工作物新築、増築、改築若しくは移転、外観を変更する修繕若しくは模様替え又は色彩変更塔状工作物高さ10メートル以上(電柱類を除く)
垣、柵、塀、擁壁等高さ2メートル以上のもの
太陽光発電施設等太陽電池モジュールの合計が500平方メートル以上のもの
開発行為 開発面積が1,000平方メートル以上のもの
土地の形質の変更土地の開墾及びその土地の形状の変更行為に係る土地の面積の合計が500平方メートル以上のもの。ただし、農林業を営むためのもの(土地の開墾、水面埋立、宅地造成を除く)及び土地改良法による土地改良事業は除く
木竹の伐採 伐採面積1,000平方メートル以上のもので伐採後に林地の開発を行うもの。ただし、天然更新及び植林を行うものは除く
土砂の採取及び鉱物の採掘 行為に係る土地の面積の合計が500平方メートル以上のもの