○新潟大学動物実験規則
(平成19年3月20日規則第1号) |
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新潟大学動物実験規則(平成16年規則第26号)の全部を改正する。
(趣旨)
第1条 新潟大学(以下「本学」という。)において行われる動物実験については,動物の愛護及び管理に関する法律(昭和48年法律第105号),実験動物の飼養及び保管並びに苦痛の軽減に関する基準(平成18年環境省告示第88号。以下「飼養保管基準」という。),研究機関等における動物実験等の実施に関する基本指針(平成18年文部科学省告示第71号)及び動物の殺処分方法に関する指針(平成7年総理府告示第40号)(以下これらを「法律等」という。)に定めるもののほか,この規則の定めるところによる。
(定義)
第2条 この規則において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 動物実験等 実験動物を教育,試験研究又は生物学的製剤の製造の用その他の科学上の利用に供することをいう。
(2) 実験動物 動物実験等の利用に供する哺乳類,鳥類又は爬虫類に属する動物をいう。
(3) 飼養保管施設 実験動物を恒常的に飼養若しくは保管又は動物実験等を行う施設・設備をいう。
(4) 実験室 実験動物に実験操作(48時間以内の一時的保管を含む。)を行う動物実験室をいう。
(5) 施設等 飼養保管施設及び実験室をいう。
(6) 施設管理者 実験動物及び施設等の管理を総括する者で,各学系長,脳研究所長及び各機構長をいう。
(7) 実験従事者 動物実験等を行う者をいう。
(8) 実験責任者 動物実験計画(計画の変更を含む。以下同じ。)ごとに,当該動物実験計画の遂行について責任を負う実験従事者をいう。
(9) 実験動物管理者 施設管理者を補佐し,実験動物に関する知識及び経験を有する実験動物の管理を行う者をいう。
(10) 飼養者 実験責任者の下で実験動物の飼養・保管を行う者をいう。
(基本原則)
第3条 動物実験等の実施に当たっては,科学上の利用の目的を達することができる範囲において,代替法の利用(できる限り動物を供する方法に代わり得るものを利用することをいう。),使用数の削減(できる限りその利用に供される動物の数を少なくすることをいう。)及び苦痛の軽減(その利用に必要な限度において,その動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないことをいう。)の3R(Replacement,Reduction,Refinement)に基づき,適正に実施しなければならない。
(適用範囲)
第4条 この規則は,本学で行われる実験動物の生体を用いる全ての動物実験等に適用する。
2 実験責任者は,動物実験等の実施を本学以外の機関に委託等する場合は,委託先においても法律等又は他省庁の定める動物実験等に関する基本指針に基づき,動物実験等が実施されることを確認するものとする。
(学長の責務)
第5条 学長は,最終的な責任者として本学における動物実験等の適正な実施並びに実験動物の飼養及び保管を統轄する。
2 学長は,動物実験計画の承認,実施状況及び結果の把握とその結果に基づく改善措置,飼養保管施設の整備並びに飼養保管施設及び実験室の承認,動物実験等に係る安全管理,教育訓練,自己点検・評価,外部の専門家による検証,情報公開その他動物実験等の適正な実施に必要な措置に関して責務を負う。
3 学長は,前項の責務を遂行するために報告又は助言を行う組織として,動物実験倫理委員会(以下「委員会」という。)を置く。
(動物実験倫理委員会)
第6条 委員会は,学長の諮問を受け,次の事項を審査又は調査し,学長に報告又は助言する。
(1) 動物実験計画が法律等及びこの規則に適合していることの審査
(2) 動物実験計画の実施状況及び結果に関すること。
(3) 施設等及び実験動物の飼養保管状況に関すること。
(4) 動物実験等及び実験動物の適正な取扱い並びに法律等に関する教育訓練の内容又は体制に関すること。
(5) 自己点検・評価,外部の専門家による検証及び情報公開に関すること。
(6) その他動物実験等の適正な実施のために必要な事項
2 委員会は,必要に応じて安全管理に注意を要する動物実験に関連する委員会等と相互に必要な情報の提供等を行うよう努めるものとする。
第7条 委員会は,次に掲げる委員をもって組織する。
(1) 動物実験等に関して優れた識見を有する者 7人以内
(2) 実験動物に関して優れた識見を有する者 7人以内
(3) その他学識経験を有する者 1人
第8条 前条に規定する委員の任期は,2年とする。ただし,補欠の委員の任期は,前任者の残任期間とする。
2 前項の委員は,再任されることができる。
第9条 委員会に委員長を置き,第7条に規定する委員のうち学長が指名した者をもって充てる。
[第7条]
2 委員長は,委員会を招集し,その議長となる。
3 委員長に事故があるときは,委員長があらかじめ指名する委員が,その職務を代理する。
第10条 委員会は,委員の過半数の出席により成立する。
2 議事は,出席委員の過半数をもって決し,可否同数のときは,議長の決するところによる。
第11条 委員長が必要と認めたときは,委員会に委員以外の者の出席を求め,説明又は意見を聴くことができる。
第12条 委員会に,必要に応じて専門委員会を置くことができる。
2 専門委員会に関し必要な事項は,委員会が別に定める。
第13条 委員会の事務は,研究企画推進部において処理する。
(動物実験計画の立案等)
第14条 実験責任者は,動物実験等により取得されるデータの信頼性を確保する観点から,次に掲げる事項を踏まえて動物実験計画を立案し,所定の様式により,学長に申請しなければならない。
(1) 研究の目的,意義及び必要性
(2) 代替法の利用
(3) 実験動物の使用数の削減のため,動物実験等の目的に適した実験動物種の選定,動物実験成績の精度と再現性を左右する実験動物の数,遺伝学的及び微生物学的品質並びに飼養条件
(4) 苦痛の軽減となる実験方法の選択
(5) 苦痛度の高い動物実験等を行う場合における計画段階からの人道的エンドポイントの設定
2 学長は,動物実験等の開始前に前項を申請させ,委員会の審査を経て承認又は非承認を決定し,その結果を当該実験責任者に通知するものとする。
3 実験責任者は,動物実験計画について学長の承認を得た後でなければ,動物実験等を行うことができない。
(実験操作)
第15条 実験従事者は,動物実験等の実施に当たって,法律等に則するとともに,適切に維持管理された施設等において,動物実験等を行わなければならない。
2 実験従事者は,動物実験計画書に記載された事項及び次に掲げる事項を遵守しなければならない。
(1) 適切な麻酔薬,鎮痛薬等の利用
(2) 実験の終了の時期(人道的エンドポイントを含む。)の配慮
(3) 適切な術後管理
(4) 適切な安楽死の選択
3 実験従事者は,物理的,化学的に危険な材料,病原体,遺伝子組換え動物等を用いる実験を行う場合は,当該関係法令等及び本学における関連する規則等に従わなければならない。
4 実験従事者は,実験実施に先立ち必要な実験手技等の習得に努めるものとする。
5 実験従事者は,侵襲性の高い大規模な存命手術に当たっては,経験等を有する者の指導下で行うものとする。
6 実験責任者は,動物実験計画を実施した後,「自己点検・実験結果報告書」により使用動物数,計画からの変更の有無,成果等の動物実験計画の実施の結果等について学長に提出しなければならない。
7 学長は,前項の報告を受けた後,必要な場合は委員会の助言を受けて適正な動物実験等の実施のための改善措置を講ずるものとする。
(飼養保管施設)
第16条 施設管理者は,実験動物の飼養保管施設を設置し,又は変更する場合は,「実験室設置申請書」等の申請書類を学長に提出し,承認を得なければならない。
2 飼養保管施設は,次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
(1) 適切な温度,湿度,換気,明るさ等を保つことができる構造であること。
(2) 動物種や飼養保管数等に応じた飼育設備を有すること。
(3) 床や内壁等が清掃,消毒等が容易な構造で,器材の洗浄や消毒等を行う衛生設備を有すること。
(4) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有すること。
(5) 臭気,騒音,廃棄物等による周辺環境への影響を防止する措置がとられていること。
(6) 実験動物管理者がおかれていること。
3 学長は,申請された飼養保管施設を委員会に調査させ,その助言により,承認又は非承認を決定し,その結果を当該管理者に通知する。
4 実験動物を恒常的に飼養保管施設で飼養若しくは保管又は動物実験を行う場合は,学長の承認を得た飼養保管施設で行わなければならない。
5 施設管理者は,設置した飼養保管施設について「飼養保管施設の自己点検・飼養保管状況報告書」により実験動物の飼養及び保管の状況等を学長に報告しなければならない。
6 学長は,前項の報告を受けた後,必要な場合は委員会の助言を受け適正な動物実験等の実施のための改善措置を講ずるものとする。
(実験室)
第17条 施設管理者は,実験動物の実験室を設置し,又は変更する場合は,「実験室設置申請書」等の申請書類を学長に提出し,承認を得なければならない。
2 実験室は,次に掲げる要件を満たすものでなければならない。
(1) 実験動物が逸走しない構造及び強度を有するとともに,実験動物が室内で逸走しても捕獲しやすい環境が維持されていること。
(2) 排泄物や血液等による汚染に対して清掃,消毒が容易な構造であること。
(3) 臭気,騒音,廃棄物等による周辺環境への影響を防止する措置がとられていること。
3 学長は,申請された実験室を委員会に調査させ,その助言により,承認又は非承認を決定し,その結果を当該管理者に通知する。
4 実験動物に実験操作(48時間以内の一時的保管を含む。)を行う場合は,学長の承認を得た実験室で行わなければならない。
(施設等の維持管理及び改善)
第18条 施設管理者は,実験動物の適正な管理並びに動物実験等の遂行に必要な施設等の維持管理及び改善に努めなければならない。
2 施設管理者は,実験動物の種類,習性等を考慮した飼養又は保管を行うための環境の確保を行わなければならない。
(施設等の廃止)
第19条 施設管理者は,飼養保管施設又は実験室を廃止する場合は,「実験室廃止届」を学長に提出しなければならない。
2 施設管理者は,施設等を廃止するときは,必要に応じて,実験責任者と協力し,飼養保管中の実験動物を他の飼養保管施設に譲り渡すよう努めるものとする。
(実験動物の飼養及び保管)
第20条 施設管理者は,実験動物の飼養保管の標準操作手順を定め,実験従事者及び飼養者に周知し遵守させなければならない。
(実験動物の健康及び安全の保持)
第21条 実験動物管理者,実験従事者及び飼養者は,飼養保管基準を遵守し,実験動物の健康管理及び安全保持に当たっては,実験動物が動物実験等の目的と無関係に傷害を負い,又は疾病にかかることを予防するため必要な健康管理を行うものとする。
2 実験動物管理者,実験従事者及び飼養者は,実験動物が前項の傷害を負い,又は疾病にかかった場合は,施設管理者と協議の上,他の動物や人への感染等の防止,当該実験動物の苦痛の軽減等のために必要な措置をとるものとする。
(実験動物の導入)
第22条 実験責任者は,実験動物の導入に当たっては,合法的に入手しなければならない。
2 実験責任者は,実験動物の規格,外見上の異常の有無を確認し,動物種及び施設等の状況に応じた方法で検疫・馴化を行うものとする。
(給餌・給水)
第23条 実験従事者及び飼養者は,実験動物の生理,生態,習性等に応じて,適切に給餌・給水を行うものとする。
(異種又は複数動物の飼育)
第24条 実験従事者及び飼養者は,異種又は複数の実験動物を同一施設内で飼養保管する場合は,その組み合わせを考慮するものとする。
(記録の保存及び報告)
第25条 実験責任者は,実験動物の入手先,飼育履歴,病歴等に関する記録を整備保存するものとする。
2 施設管理者は,年度ごとに管理下にある飼養保管施設で飼養又は保管した実験動物の種類と数等について,学長に報告しなければならない。
(譲渡等の際の情報提供)
第26条 実験責任者は,実験動物を譲渡するときは,その特性,飼養保管の方法,感染性疾病等に関する情報を提供するものとする。
(輸送)
第27条 実験責任者は,実験動物を輸送するときは,飼養保管基準を遵守し,実験動物の健康及び安全の確保,人への危害防止に努めるものとする。
(危害防止)
第28条 施設管理者は,実験動物が逸走した場合の捕獲方法等をあらかじめ定めるものとする。
2 施設管理者は,人に危害を加える等の恐れのある実験動物が施設等外に逸走した場合には,速やかに関係機関及び学長へ連絡しなければならない。
3 施設管理者は,実験責任者,実験従事者及び飼養者に対して,実験動物由来の感染症への感染,実験動物による咬傷,実験動物に対するアレルギー等に対しての予防及び発生時の必要な措置を講じなければならない。
4 施設管理者は,毒へび等の有毒動物を飼養又は保管する場合は,人への危害防止のため,飼養保管基準に基づき必要な事項を別に定めるものとする。
5 施設管理者は,人に危害を加える等のおそれがある実験動物について,技術的に可能な範囲で個体識別措置を講じるよう努めなければならない。
6 施設管理者は,実験動物の飼養や動物実験等の実施に関係のない者が実験動物に接触しないよう,必要な措置を講じるものとする。
(緊急時の対応)
第29条 施設管理者は,地震,火災等の緊急時に執るべき措置の計画をあらかじめ作成し,関係者に対して周知するものとする。
2 施設管理者は,緊急事態発生時における,実験動物の保護及び実験動物の逸走による危害防止に努めるものとする。
(人と動物の共通感染症の対応)
第30条 実験動物管理者,実験従事者及び飼養者は,人と動物の共通感染症に関する十分な知識の習得及び情報の収集に努めなければならない。
2 施設管理者,実験動物管理者,実験従事者及び飼養者は,人と動物の共通感染症の発生時において必要な措置を迅速に講じることができるよう,公衆衛生機関等との連絡体制の整備に努めなければならない。
(教育訓練)
第31条 学長は,委員会に,実験責任者,実験従事者及び飼養者に対する,次に掲げる事項について,教育訓練を行わせるものとする。
(1) 法律等及び本学の定める規定等
(2) 動物実験等の方法に関する基本的事項
(3) 実験動物の飼養保管に関する基本的事項
(4) 安全確保及び安全管理に関する事項
(5) その他適切な動物実験等の実施に関する事項
2 委員会は,教育訓練の実施日,教育内容,講師及び受講者名の記録を保存するものとする。
(自己点検・評価及び検証)
第32条 学長は,委員会に,法律等への適合性に関し,自己点検・評価を行わせるものとする。
2 委員会は,本学で行われる動物実験等の実施状況等に関する自己点検・評価を行い,その結果を学長に報告しなければならない。
3 委員会は,施設管理者及び実験責任者に,自己点検・評価のための資料を提出させることができる。
4 学長は,自己点検・評価の結果について,学外の者による検証を受けるよう努めるものとする。
5 自己点検・評価の実施方法等に関し必要な事項は,委員会が別に定める。
(情報公開)
第33条 学長は,本学における動物実験等に関する情報(動物実験等に関する規定,実験動物の飼養保管状況,自己点検・評価及び検証の結果,委員会の構成等の情報)を毎年1回程度公表するものとする。
(準用)
第34条 第2条第2号に定める実験動物以外の動物を使用する実験等を行う者は,飼養保管基準の趣旨に沿って行うよう努めなければならない。
[第2条第2号]
(雑則)
第35条 この規則に定めるもののほか,動物実験等に関し必要な事項は,委員会の議を経て,学長が別に定める。
附 則
この規則は,平成19年4月1日から施行する。
附 則(平成23年3月30日規則第2号)
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この規則は,平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成26年3月31日規則第8号)
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この規則は,平成26年4月1日から施行する。
附 則(平成28年7月14日規則第19号)
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この規則は,平成28年8月1日から施行する。
附 則(平成29年1月30日規則第3号)
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この規則は,平成29年2月1日から施行する。
附 則(平成30年4月27日規則第12号)
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この規則は,平成30年4月27日から施行する。
附 則(令和5年3月28日規則第19号)
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この規則は,令和5年4月1日から施行する。