○新潟大学病原体等安全管理規程
(令和3年9月10日規程第58号)
改正
令和5年3月28日規程第63号
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は,新潟大学(以下「本学」という。)において取り扱う病原体等の所持,保管,使用,譲渡,輸入,分与,運搬,滅菌等(以下「取扱い」という。)を行う場合の安全管理を適切に行うことを目的とする。
(定義)
第2条 この規程において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 病原体等 ヒト又は動物の生体内で何らかの機構により危害を及ぼすものであって,原核生物,真菌,ウイルス,ウイロイド,原虫,寄生虫,プリオン及び毒素をいう。
(2) 安全管理 病原体等への非意図的ばく露又は漏出事故を防止すること及び病原体等の紛失,盗難,不正流用,意図的放出,濫用等を防止することをいう。
(3) バイオセーフティレベル(以下「BSL」という。) 病原体等を用いた実験において,ヒト又は実験動物への病原性及び伝播性の程度並びに疾患の予防法を考慮し,ヒト又は実験動物への危害を及ぼす危険性の程度に応じて定める病原体等の危険度評価の分類をいい,1から4までに分類されるものをいう。
(4) 病原体等取扱従事者 実際に病原体等の取扱いに従事する者をいう。
(5) 病原体等取扱責任者 病原体等取扱従事者のうち,個々の病原体等の取扱いについて責任を負う者をいう。
(6) 実験室 病原体等の取扱いを行う実験室をいい,学長が認定したものをいう。
(7) 管理区域 病原体等を取り扱う実験室,前室,保管室,滅菌室等の病原体等を用いた実験等の実施に必要な室又は施設が設置された区域であって,病原体等の安全な管理が必要な区域をいう。
(8) 実験室管理者 実験室を含む管理区域の維持管理等について責任を負う者をいう。
(9) 部局等 病原体等の取扱いを行う各学系,各学部,各機構,各センター,医歯学総合病院及び各附置研究所をいう。
(10) 委員会 新潟大学病原体等安全管理委員会をいう。
(対象)
第3条 この規程は,本学において取り扱う病原体等を対象とする。ただし,医歯学総合病院又は病原体等の検査業務等を行っている部局等において,検査業務等に伴い病原体等を取り扱う場合は,この規程を適用しない。
2 本学で取扱いができる病原体等は,BSL1から3までとする。
3 病原体等のうち,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114 号)に定める特定病原体等の取扱いについては,別に定める。
4 病原体等のうち,家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号)に定める病原体の取扱いについては,別に定める。
第2章 安全管理体制
(学長の責務)
第4条 学長は,病原体等の取扱いについて包括的に責任を負うものであり,次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 部局等の長から申請があった事項について委員会に諮問し,審議結果を受け可否を決定すること
(2) 病原体等の取扱いについて,改善の勧告,変更,一時停止及び承認の取消しを行うこと
(3) 病原体等取扱従事者に病原体等による感染が疑われる場合の措置等に関すること
(4) 病原体等取扱従事者の健康診断に関すること
(5) その他病原体等の取扱いに係る安全管理に関して必要な事項を実施すること
(部局等の長の責務)
第5条 部局等の長は,当該部局等における病原体等の取扱いについて責任を負うものであり,次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 病原体等取扱責任者から,病原体等の取扱いの申請があった場合にこれを受理し,学長に申請を行うこと
(2) 実験室の設置について学長に申請を行うこと
(3) 病原体等の取扱いについて,改善の勧告,変更,一時停止及び承認の取消しの判断を学長に申し出ること
(4) 病原体等取扱従事者の健康管理に関すること
(5) その他病原体等の取扱いに係る安全管理に関して必要な事項を実施すること
(安全管理委員会)
第6条 本学における病原体等の安全管理に関する事項を調査審議するため,新潟大学病原体等安全管理委員会(以下「委員会」という。) を置く。
2 委員会に関し必要な事項は,別に定める。
(病原体等取扱責任者)
第7条 病原体等取扱責任者は,病原体等の取扱いに際して,関連法令等,この規程及び新潟大学病原体等安全管理マニュアル(以下「マニュアル」という。) を十分に遵守し,病原体等の適切な管理・監督にあたるものとする。
2 病原体等取扱責任者は,次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 病原体等の保管,使用及び滅菌等について,第12条に従い適切に実施すること
(2) 病原体等取扱従事者に対して,実験の安全管理に関する適切な指導及び助言を行うこと
(3) 病原体等取扱従事者に対して,委員会が実施する教育訓練を受講させ,その記録を5年間保存すること
(4) 病原体等に係る帳簿を備え,第14条に定める事項に関して記録し,その記録を5年間保存すること
(5) 病原体等の運搬について,マニュアルに従い行うこと
(6) その他病原体等の取扱いに係る安全管理に関して,必要な事項を実施すること
(病原体等取扱従事者)
第8条 病原体等取扱従事者は,病原体等取扱責任者の指示に従うとともに,この規程及びマニュアルを遵守し,実験の安全確保に努めるものとする。
2 病原体等取扱従事者は,第15条に規定する教育訓練を受講しなければならない。
3 病原体等取扱従事者は,第16条に規定する健康診断を受診しなければならない。
(管理区域の施設管理)
第9条 実験室管理者は,本学における管理区域の施設及び設備を,別表第1に定める基準等に従い,安全に管理しなければならない。
2 病原体等を取り扱う実験室及び保管施設の出入口には,厚生労働大臣が指定する国際バイオハザード標識を表示しなければならない。
3 実験室管理者は,年1回以上,管理区域内の施設並びに関連機器の点検を実施し,その内容を記録し,これを5年間保存しなければならない。
4 実験室管理者は,前項の点検の結果,是正措置が必要と認めた場合は,必要な対策を講じ,その内容を記録し,これを5年間保存しなければならない。
(管理区域への立入り)
第10条 管理区域に立ち入る者は,あらかじめ実験室管理者の許可を得なければならない。
2 実験室管理者は,この規程又は関連法令等に違反した者について,管理区域への立入りを禁止又は制限することができる。
3 病原体等取扱従事者以外の者が,保守点検等のために管理区域へ立ち入る場合は,身分を証明するものを携帯しなければならない。
4 実験室管理者は,病原体等取扱従事者以外の者が保守点検等により管理区域に立ち入る場合は,立入者に対して,遵守事項の説明及び適切な指示をしなければならない。
5 病原体等取扱責任者と実験室管理者が異なる場合は,当該病原体等取扱責任者は,第2項の禁止又は制限及び前項の説明及び指示を行うことができる。
第3章 病原体等の取扱い
(病原体等の取扱いに係る手続き)
第11条 病原体等取扱責任者は,BSL2の病原体等を新たに所持しようとするとき,若しくは学内他部局等及び本学以外の機関へ譲渡又は分与しようとするときは,有体物管理システムにより,委員会に申請し,許可を受けなければならない。
2 病原体等取扱責任者は,BSL3の病原体等を新たに所持しようとするとき,若しくは学内他部局等及び本学以外の機関へ譲渡又は分与しようとするときは,有体物管理システムにより,委員会に申請し,許可を受けなければならない。
3 病原体等取扱責任者は,前2項に係る所持が終了したときは,有体物管理システムにより,その旨を届出なければならない。
(病原体等の保管,使用,滅菌等)
第12条 病原体等取扱従事者は,病原体等の保管,使用及び滅菌等について,別表第2に定める基準及びマニュアルに定める方法に従って行わなければならない。
(病原体等の運搬)
第13条 病原体等の運搬は,マニュアルに定める方法に従って行わなければならない。
(記帳義務)
第14条 病原体等取扱責任者は,病原体等の取扱いに関する帳簿を備え、マニュアルに定める事項について記載しなければならない。
(1) 病原体等の受入・保管に関すること
(2) 病原体等の使用及び滅菌等に関すること
(3) 実験室への立入りについて
(4) 管理区域の施設の点検に関すること
(5) 教育訓練の実施に関すること
(6) その他病原体等の所持及び管理に関すること
2 帳簿は1年ごとに閉鎖し,これを5年間保存しなければならない。
第4章 教育訓練
(教育訓練)
第15条 病原体等取扱責任者は,病原体等取扱従事者に,病原体等の安全管理に必要な知識及び技術の向上を図るため,委員会が実施する次に掲げる事項に関する教育訓練を,当該病原体等取扱従事者が初めて管理区域に立ち入る場合にあってはその前に,その後は3年を超えない期間ごとに受けさせなければならない。
(1) 病原体等の性質に関すること
(2) 病原体等の管理に関すること
(3) この規程及び法令等に関すること
第5章 健康管理
(健康診断)
第16条 学長は,病原体等取扱従事者の健康管理について,教職員においては労働安全衛生規則,学生においては学校保健安全法施行規則の定めるところにより,少なくとも年1回,定期に健康診断を受けさせなければならない。
2 学長は,前項の健康診断の結果,病原体等取扱従事者への病原体等の感染を認めたときは,必要に応じて調査委員会を設置し,原因究明及び再発防止の措置を行う。
(病気等の報告等)
第17条 病原体等取扱従事者は,自己に病原体等による感染が疑われる場合は,直ちに所属部局等の長及び病原体等取扱責任者に報告しなければならない。
2 所属部局等の長は,前項の報告を受けたときは,直ちに当該病原体等取扱従事者の感染の有無について検査しなければならない。
3 所属部局等の長は,第1項の報告を受けた場合において,前項の検査の結果,当該病原体等取扱従事者が病原体等に感染したと認められるとき,又は医学的に不明瞭であるときは,直ちに学長及び委員会に報告しなければならない。
第6章 異常事態発生時の対応
(ばく露の対応)
第18条 次に掲げる事態が発生した場合は,これをばく露として取り扱う。
(1) 外傷,吸入,粘膜ばく露等により,病原体等が病原体等取扱従事者の体内に入った可能性がある場合
(2) 管理区域内の安全設備の機能に重大な異常が発見された場合
(3) 病原体等により,管理区域内が広範に汚染された場合
(4) 第16条第2項に規定する事案が認められた場合
(5) 前条第1項に規定する報告があった場合
2 前項第1号から3号のばく露があった場合は,部局等の長は委員会及び病原体等取扱責任者と協力して必要な応急処置を講じ,学長に報告しなければならない。
3 第1項第4号及び第5号のばく露があった場合は,それぞれ第16条及び第17条の定めるところによる。
(事故及び災害時の対応)
第19条 病原体等を紛失した場合,又は実験室管理区域 において火災,地震その他の災害が発生した場合,若しくは発生するおそれがある場合には,発見者は直ちに病原体等取扱責任者に通報しなければならない。
2 病原体等取扱責任者は,前項の通報を受けたときは,直ちに必要な措置を講じ,速やかに部局等の長へ通報しなければならない。
3 前項の通報を受けた部局等の長は,委員会へ通報し直ちに必要な措置を講ずるとともに,速やかに緊急異常事態発生の状況及び応急措置等について,学長に報告しなければならない。
4 前項の報告を受けた学長は,直ちに必要な措置を講ずるとともに,速やかに緊急異常事態発生の状況及び応急措置等について関係する機関に報告しなければならない。
第7章 雑則
(雑則)
第20条 この規程に定めるもののほか,病原体等の安全管理に関し必要な事項は,委員会が別に定める。
附 則
この規程は,令和3年10月1日から施行する。
附 則(令和5年3月28日規程第63号)
この規程は,令和5年4月1日から施行する。
別表第1(第9条関係)

別表第2(第12条関係)