○新潟大学特定病原体等安全管理規程
(令和3年9月10日規程第57号)
改正
令和5年3月28日規程第64号
新潟大学特定病原体等安全管理規程(平成22年規程第32号)の全部を改正する。
目次

第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 安全管理体制(第3条-第11条)
第3章 特定病原体等の取扱い(第12条-第16条)
第4章 健康管理(第17条・第18条)
第5章 異常事態発生時の対応(第19条・第20条)
第6章 雑則(第21条)
附則

第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は,新潟大学(以下「本学」という。) において取り扱う特定病原体等の安全管理に関し必要な事項を定め,本学における特定病原体等による感染症の発生を予防し,及びそのまん延の防止を図ることを目的とする。
2 本学における特定病原体等の取扱いに関しては,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)によるものとし,この規程を感染症法第56条の18第1項に規定する感染症発生予防規程として取り扱うものとする。
(定義)
第2条 この規程において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 病原体等 ヒト又は動物の生体内で何らかの機構により危害を及ぼすものであって,原核生物,真菌,ウイルス,ウイロイド,原虫,寄生虫,プリオン及び毒素をいう。
(2) 特定病原体等 感染症法第6条に規定する一種病原体等,二種病原体等,三種病原体等及び四種病原体等をいう。
(3) 安全管理 病原体等への非意図的ばく露又は漏出事故を防止すること及び病原体等の紛失,盗難,不正流用,意図的放出,濫用等を防止することをいう。
(4) バイオセーフティレベル(以下「BSL」という。) 病原体等を用いた実験において,ヒト又は実験動物への病原性及び伝播性の程度並びに疾患の予防法を考慮し,ヒト又は実験動物への危害を及ぼす危険性の程度に応じて定める病原体等の危険度評価の分類をいい,1から4までに分類されるものをいう。
(5) 特定病原体等取扱従事者 実際に特定病原体等の取扱いに従事する者をいう。
(6) 特定病原体等取扱責任者 特定病原体等取扱従事者のうち,個々の病原体等の取扱いについて責任を負う者をいう。
(7) 病原体等取扱主任者 前号に定める特定病原体等取扱責任者のうち,二種特定病原体等を取り扱う者で,感染症法に基づき学長が選任した者をいう。
(8) 実験室 病原体等の取扱いを行う実験室をいい,学長が認定したものをいう。
(9) 特定実験室 前号に定める実験室のうち,特定病原体等の取扱いを行う実験室をいう。
(10) 管理区域 病原体等を取り扱う実験室,前室,保管室,滅菌室等の病原体等を用いた検査,実験等の実施に必要な室又は施設が設置された区域であって,病原体等の安全な管理が必要な区域をいう。
(11) 実験室管理者 実験室を含む管理区域の維持管理等について責任を負う者をいう。
(12) 部局等 病原体等の取扱いを行う各学系,各学部,各機構,各センター,医歯学総合病院及び各附置研究所をいう。
(13) 委員会 新潟大学病原体等安全管理委員会をいう。
第2章 安全管理体制
(学長の責務)
第3条 学長は,特定病原体等の取扱いについて包括的に責任を負うものであり,次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 特定病原体等所持者として法令等に基づく必要な手続を行うこと
(2) 病原体等取扱主任者を選任すること
(3) 部局等の長から申請があった事項について委員会に諮問し,審議結果を受けて可否を決定すること
(4) 特定病原体等の取扱いについて,改善の勧告,変更,一時停止及び承認の取消しを行うこと
(5) 特定病原体等取扱従事者の健康診断に関すること
(6) 特定病原体等取扱従事者に病原体等による感染が疑われる場合の措置等に関すること
(7) その他特定病原体等の取扱いに係る安全管理に関して必要な事項を実施すること
(部局の長の責務)
第4条 特定病原体等を取り扱う部局等の長は,当該部局における特定病原体等の取扱いについて責任を負うものであり,次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 特定病原体等取扱責任者から,特定病原体等の取扱いの申請があった場合にこれを受理し,学長に申請を行うこと
(2) 二種病原体等の取扱責任者を病原体等取扱主任者として学長に推薦すること
(3) 特定実験室の設置について学長に申請を行うこと
(4) 特定病原体等の取扱いについて,改善の勧告,変更,一時停止及び承認の取消しを学長に申し出ること
(5) 特定病原体等取扱従事者の健康管理に関すること
(6) その他特定病原体等の取扱いに係る安全管理に関して必要な事項を実施すること
(安全管理委員会)
第5条 本学における特定病原体等の安全管理に関する事項を調査審議するため,新潟大学病原体等安全管理委員会(以下「委員会」という。) を置く。
2 委員会に関し必要な事項は,別に定める。
(特定病原体等取扱責任者)
第6条 特定病原体等取扱責任者は,特定病原体等の取扱いに際して,法令等,この規程及び新潟大学病原体等安全管理マニュアル(以下「マニュアル」という。) を十分に遵守し,特定病原体等の適切な管理・監督にあたるものとする。
2 特定病原体等取扱責任者は,次の各号に掲げる任務を果たすものとする。
(1) 特定病原体等の保管,使用及び滅菌等について,第13条に従い適切に実施すること
(2) 特定病原体等取扱従事者に対して,実験の安全管理に関する適切な指導及び助言を行うこと
(3) 特定病原体等取扱従事者に対して,委員会が実施する教育訓練を受講させ,その記録を5年間保存すること
(4) 特定病原体等に係る帳簿を備え,第15条に定める事項に関して記録し,その記録を5年間保存すること
(5) 特定病原体等の運搬について,法令等及びマニュアルに従い行うこと
(6) 厚生労働大臣又は関係機関が実施する立ち入り検査における立会に関すること
(7) 特定病原体等の取扱いにかかる情報セキュリティ管理を適切に行うこと
(8) その他特定病原体等の取扱いに係る安全管理に関して,必要な事項を実施すること
(病原体等取扱主任者)
第7条 学長は,二種病原体等を所持する部局に,病原体等取扱主任者を置く。
2 病原体等取扱主任者は,感染症法及びこの規程を熟知するとともに,病原体等の取扱いの知識経験に関する要件として厚生労働省令で定めるものを備える者でなければならない。
(特定病原体等取扱従事者)
第8条 特定病原体等取扱従事者が管理区域において特定病原体等を取り扱うときは,法令等に定めるもののほか,この規程の定めるところによる。
2 特定病原体等取扱従事者は,第16条に規定する教育訓練を受講しなければならない。
3 特定病原体等取扱従事者は,第17条に規定する健康診断を受診しなければならない。
4 特定病原体等取扱従事者は,特定病原体等の取扱いにかかる情報セキュリティ管理を適切に行わなければならない。
5 その他特定病原体等の取扱いに係る安全確保に関して,必要な事項を実施すること。
(管理区域等の施設管理)
第9条 実験室管理者は,本学における管理区域の施設及び設備を,別表第1に定める基準に従い,安全に管理しなければならない。
2 特定実験室及び保管施設の出入口には,厚生労働大臣が指定する国際バイオハザード標識を表示しなければならない。
3 実験室管理者は,1年に1回以上,管理区域内の施設ならびに関連機器の点検を実施し,その内容を記録し,これを5年間保存しなければならない。
4 実験室管理者は,前項の点検の結果,是正措置等が必要と認めた場合は,必要な対策を講じ,その内容を記録し,これを5年間保存しなければならない。
(管理区域への立入り)
第10条 管理区域に立ち入る者は,あらかじめ実験室管理者の許可を得なければならない。
2 実験室管理者は,この規程又は法令等に違反した者について,管理区域への立入りを禁止又は制限することができる。
3 特定病原体等取扱者以外の者が,保守点検等のために管理区域へ立ち入る場合は,身分を証明するものを携帯しなければならない。
4 実験室管理者は,特定病原体等取扱従事者以外の者が保守点検等により管理区域に立ち入る場合は,立入者に対して,遵守事項の説明及び適切な指示をしなければならない。
5 特定病原体等取扱責任者と実験室管理者が異なる場合は,当該特定病原体等取扱責任者は,第2項の禁止又は制限及び前項の説明及び指示を行うことができる。
(情報セキュリティ管理)
第11条 特定病原体等取扱責任者及び特定病原体等取扱従事者は,特定病原体等の取扱いにかかる情報セキュリティを管理し,委員会は提出された特定病原体等の情報セキュリティ管理を適切に行わなければならない。
第3章 特定病原体等の取扱い
(特定病原体等の所持,輸入)
第12条 特定病原体等取扱責任者は,特定病原体等を新たに所持又は輸入しようとするときは,有体物管理システムにより申請し,所属部局等の長を経由して学長の許可を得なければならない。
2 特定病原体等取扱責任者は,二種病原体等,三種病原体等を所持又は輸入する場合は,前項の許可を得るとともに,特定病原体等所持者である学長を通じて法令等に定める必要な手続きを行わなければならない。
3 本学においては,一種病原体等は所持又は輸入してはならない。
(特定病原体等の保管,使用,滅菌等)
第13条 特定病原体等取扱責任者は,特定病原体等の保管,使用及び滅菌等について,別表第2に定める基準及びマニュアルに定める方法に従って行わなければならない。
2 特定病原体等取扱責任者は,感染症法第56条の22第1項各号のいずれかに該当することとなった場合は,当該二種病原体等を滅菌若しくは無害化(以下「滅菌等」という。) 又は譲渡しなければならない。
3 特定病原体等取扱責任者は,前項の規定により二種病原体等を滅菌等又は譲渡(以下「滅菌譲渡」という。)することになった場合は,有体物管理システムにより申請し,所属部局等の長を経由して学長に許可を得るとともに,法令等で定める事項について,特定病原体等所持者である学長を通じて,厚生労働大臣に届け出なければならない。
4 前項の許可を受けた者は,二種病原体等を滅菌等する場合は許可を受けた日から3日以内に,譲渡する場合は遅滞なく,これを実施しなければならない。
5 特定病原体等取扱責任者は,三種病原体等,四種病原体等を滅菌等する場合は,有体物管理システムにより,所属部局等の長を経由して学長に届け出なければならない。
(特定病原体等の譲渡,分与,運搬)
第14条 特定病原体等取扱責任者は,特定病原体等を譲渡又は分与しようとするときは,有体物管理システムにより申請し,所属部局等の長を経由して学長の許可を得なければならない。ただし,前条第2項の定めに従い特定病原体等取扱責任者が二種病原体等の滅菌譲渡を行う場合は,前条第3項及び第4項の手続きによる。
2 特定病原体等の運搬については,法令等及び厚生労働省の定める特定病原体等の安全運搬マニュアルに定める運搬の基準に従わなければならない。
3 特定病原体等取扱責任者は,二種病原体等及び三種病原体等を学外へ運搬する場合は,特定病原体等所持者である学長を通じて,都道府県公安委員会への届出を行い,運搬証明書の交付を受けなければならない。
4 特定病原体等の学内の運搬については,外部の不審者等による特定病原体等の奪取並びに漏えい等による汚染及び感染を防止するため,複数の者で,かつ,専用の容器を用いて運搬しなければならない。
(記帳義務)
第15条 特定病原体等取扱責任者は,特定病原体等の所持に関する帳簿を整え,次に掲げる事項について記載しなければならない。
(1) 特定病原体等の保管に関すること
(2) 特定病原体等の使用及び滅菌等に関すること
(3) 特定実験室への立入り及び退出に関すること
(4) 管理区域の施設の点検に関すること
(5) 教育訓練の実施に関すること
(6) その他特定病原体等の所持及び管理に関すること
2 帳簿は1年ごとに閉鎖し,これを5年間保存しなければならない。
(教育訓練)
第16条 特定病原体等取扱責任者は,特定病原体等取扱従事者に,特定病原体等の安全管理に必要な知識及び技術の向上を図るため,委員会が実施する次に掲げる事項に関する講習会等の教育訓練を,当該特定病原体等取扱従事者が初めて管理区域に立ち入る場合にあってはその前に,その後は1年を超えない期間ごとに実施しなければならない。
(1) 特定病原体等の性質に関すること
(2) 特定病原体等の管理に関すること
(3) この規程及び法令等に関すること
第4章 健康管理
(健康診断)
第17条 学長は,特定病原体等取扱従事者の健康管理について,教職員においては労働安全衛生規則,学生においては学校保健安全法施行規則の定めるところにより,少なくとも年1回,定期に健康診断を受けさせなければならない。
2 学長は,前項の健康診断の結果,特定病原体等取扱従事者への特定病原体等の感染を認めたときは,必要に応じて調査委員会を設置し,原因究明及び再発防止の措置を行う。
(病気等の報告等)
第18条 特定病原体等取扱従事者は,自己に特定病原体等による感染が疑われる場合は,直ちに所属部局等の長及び特定病原体等取扱責任者に報告しなければならない。
2 所属部局等の長は,前項の報告を受けたときは,直ちに当該特定病原体等取扱従事者の感染の有無について検査しなければならない。
3 所属部局等の長は,第1項の報告を受けた場合において,前項の検査の結果,当該特定病原体等取扱従事者が特定病原体等に感染したと認められるとき,又は医学的に不明瞭であるときは,直ちに学長及び委員会に報告しなければならない。
第5章 異常事態発生時の対応
(ばく露の対応)
第19条 次に掲げる事態が発生した場合は,これをばく露として取り扱う。
(1) 外傷,吸入,粘膜ばく露等により,特定病原体等が病原体等取扱従事者の体内に入った可能性がある場合
(2) 管理区域内の安全設備の機能に重大な異常が発見された場合
(3) 特定病原体等により,管理区域内が広範に汚染された場合
(4) 第17条第2項に規定する事案が認められた場合
(5) 前条第1項に規定する報告があった場合
2 前項第1号から3号のばく露があった場合は,部局等の長は委員会及び病原体等取扱責任者と協力して必要な応急処置を講じ,学長に報告しなければならない。
3 第1項第4号及び第5号のばく露があった場合は,それぞれ第17条及び第18条の定めるところによる。
(事故及び災害時の対応)
第20条 特定病原体等を紛失した場合,又は管理区域において火災,地震その他の災害が発生した場合,若しくは発生するおそれがある場合は,発見者は直ちに特定病原体等取扱責任者に通報しなければならない。
2 特定病原体等取扱責任者は,前項の通報を受けたときは,直ちに必要な措置を講じ,速やかに部局等の長へ通報しなければならない。
3 前項の通報を受けた部局等の長は,委員会へ通報し,直ちに必要な措置を講ずるとともに,速やかに異常事態発生の状況及び応急措置等について,学長に報告しなければならない。
4 前項の報告を受けた学長は,直ちに必要な措置を講ずるとともに,速やかに異常事態発生の状況及び応急措置等について厚生労働大臣並びに関係する機関に報告しなければならない。
第6章 雑則
(雑則)
第21条 この規程に定めるもののほか,特定病原体等の安全管理に関し必要な事項は,委員会が別に定める。
附 則
この規程は,令和3年10月1日から施行する。
附 則(令和5年3月28日規程第64号)
この規程は,令和5年4月1日から施行する。
別表第1(第9条関係)

別表第2(第13条関係)