○北海道国立大学機構における研究データの保存等に関するガイドライン
(令和6年5月9日北海道国立大学機構コンプライアンス推進委員会)
1 目的
このガイドラインは、北海道国立大学機構における研究活動の不正行為防止に関する規程(令和4年度機構規程第87号。以下「規程」という。)第36条に基づき、規程第29条から第32条までにおいて定めるもののほか、理事長が定める保存又は開示する研究データの内容、保存方法及び開示方法等についての指針を示し、適正な研究活動を推進することを目的とする。
2 定義
このガイドラインにおいて、研究データとは、論文及び研究成果等(以下「研究成果」という。)を導出するために必要とした以下に掲げるもの(その意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。)とする。
(1) 資料 文書類(実験・観察記録ノートを含む。)、プログラム及び入出力データ、インタビューデータ、実験データ、数値等のデータ及び画像等をいう。
(2) 試料及び装置等 実験試料及び標本等並びに実験装置及びデータベース装置等の有体物をいう。
3 保存方法
規程第2条第4項に定める構成員は、規程第30条に基づき、研究活動の正当性の証明手段並びに第三者の検証可能性を確保するとともに、不正が指摘された際に対応できるよう、以下に掲げる保存方法に従って適切に研究データを保存するものとする。
なお、報告書等として研究成果発表に使われなかった研究データ及び使う予定のない研究データにまで保存を義務づけるものではない。
(1) 研究データは、後日の利用・検証に堪えるよう適切な形で保存するものとする。
保存に際しては、メタデータの整備や検索可能性・追跡可能性を担保するものとする。
(2) プログラム及び入出力データは、データの取得日や環境・種類等、インタビューデータはインタビューを行った日時や場所等、検証に十分な情報を適切な形で保存するものとする。
(3) 実験・観察による研究活動においては、その過程を実験ノートなどの形で記録に残すものとする。実験ノートには、実験等の操作のログやデータ取得の条件等を、後日の利用・検証に役立つよう十分な情報を記載し、かつ事後の改変を許さない形で作成するものとする。実験ノートは研究活動の一次情報源記録として適切に保管するものとする。
(4) 電子媒体の研究データは、適切なバックアップの作成により再利用可能な形で保存するものとする。
(5) 紙媒体の研究データは、可能なものは電子化するなどして保存コストの低減に努めるものとする。
(6) 学生の研究成果発表に使われた研究データについては、(1)から(5)に準じて指導教員の責任のもと保存するものとする。
4 保存期間の特例
研究データの保存期間については、研究成果の発表時点から、資料においては原則10年とし、試料及び装置等の有体物においては原則5年とするが、以下に掲げるやむを得ない事情がある場合には、必要に応じて、規程第5条に定めるコンプライアンス推進責任者と協議の上、合理的な説明ができる範囲で廃棄することができる。
(1) 資料 保管スペースの制約や保存に多大なコストが必要となる場合
(2) 試料及び装置等の有体物 保存・保管が本質的に困難な場合(例:不安定物質、実験自体で消費されてしまう試料)や、保存に多大なコストや膨大なスペースが必要となる場合
5 研究者の転出・退職時の研究データの取扱い
構成員のうち研究責任者は、自らのグループの研究者の転出・退職に際して、当該研究者の研究活動に関わる資料のうち保存すべきものに係る対象論文名、研究データの保存場所及び後日確認が必要となった場合の連絡方法等について、当該研究者と確認した内容を記載したものを保管し、追跡可能としておくとともに、必要に応じ、研究データ等のバックアップを保管するなどの措置を講じておかなければならない。
なお、研究責任者の転出・退職に際して、当該研究責任者が所属する規程第2条第7項に定める部局等の長は、これに準じた取扱いをするものとする。
6 開示等
構成員は、規程第32条に基づき、発表した研究成果について、第三者からの問い合わせがあった場合には誠実に対応し、研究活動の適正性について科学的根拠をもって説明するとともに、必要に応じ、研究データを開示しなければならない。
なお、転出・退職後その責を負うものとする。
7 実地調査
コンプライアンス推進責任者は、規程及びこのガイドラインで定めた内容に基づき、適切に研究データの保存等がされているかを確認するため、機構本部及び当該大学を対象とした実地調査を定期的に実施する。
8 その他
個人データ等、その取扱いに法的規制があるもの(個人情報保護法等)や倫理上の配慮を必要とするものについては、それらの規制に従うものとする。
また、特定の研究プロジェクトに関して成果物の取扱いについて資金提供機関との取り決め等がある場合にはそれに従うものとする。
9 実施
このガイドラインは、令和6年5月9日から実施する。