○新潟大学における研究活動の不正行為に関する取扱規程
(平成19年1月26日規程第2号)
改正
平成24年3月30日規程第8号
平成26年3月31日規程第16号
平成27年3月31日規程第8号
平成29年3月6日規程第16号
平成30年8月3日規程第55号
令和元年7月30日規程第119号
令和2年2月26日規程第18号
令和3年4月22日規程第41号
令和5年6月30日規程第91号
(趣旨)
第1条 この規程は,新潟大学(以下「本学」という。)において,新潟大学の科学者行動規範・科学者の行動指針(以下「行動規範」という。)に反した研究活動の不正行為事案が生じた場合等の取り扱いに関し,研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(平成26年8月26日文部科学大臣決定)に基づき,必要な事項を定めるものとする。
(定義)
第2条 この規程において,次の各号に掲げる用語の意義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 不正行為 故意又は研究者としてわきまえるべき基本的な注意義務を著しく怠ったことによる,研究成果の発表又はその取りまとめの過程において行われた研究データ,調査データその他研究結果の捏造,改ざん,盗用及び二重投稿並びにその行為の証拠隠滅又は立証妨害(追試又は再現を行うために不可欠な実験記録等の資料の隠蔽,廃棄等を含む。)をいう。ただし,悪意のない誤り,意見の相違及び当該研究分野の一般的慣行によるデータ又は実験記録の取り扱いである場合を除く。
(2) 捏造 存在しないデータ,研究結果等を作成することをいう。
(3) 改ざん 研究資料・機器・過程を変更する操作を行い,データ,研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工することをいう。
(4) 盗用 他の研究者のアイデア,分析・解析方法,データ,研究結果,論文又は用語を当該研究者の了解若しくは適切な表示なく流用することをいう。
(5) 二重投稿(二重出版) 著者自身によって既に公表されていることを開示することなく,同一の情報を投稿し,発表することをいう。
(6) 部局 新潟大学学則(平成16年学則第1号)第4条から第18条までに規定する組織並びに新潟大学大学院学則(平成16年大学院学則第1号)第5条及び第8条に規定する組織をいう。
(7) 職員等 本学の職員,学生等で研究活動を行っている者及び本学以外の機関等に所属し,本学の施設設備を利用して研究活動を行っている者をいう。
(8) 告発者 国立大学法人新潟大学コンプライアンス規則(平成26年規則第10号。以下「規則」という。)第10条第1項に規定する報告又は国立大学法人新潟大学公益通報者保護規程(平成19年規程第1号。以下「公益通報規程」という。)第5条に規定する通報を行った者をいう。
(9) 被告発者 前号に規定する報告及び通報の対象となった者をいう。
(不正行為に関する告発)
第3条 不正行為の告発は,公益通報規程によって取り扱われるものとする。
(予備調査)
第4条 規則第6条に規定するコンプライアンス総括責任者(以下「総括責任者」という。)は,規則第10条第1項に規定する報告及び公益通報規程第5条に規定する通報のうち,不正行為の疑いがあるものについては,新潟大学における研究活動の不正行為に係る予備調査実施要項(平成19年1月26日学長裁定)に基づき予備調査を実施させるものとする。
2 被告発者が複数の研究機関に所属する場合又は本学を離職して他機関に所属している被告発者の告発対象となる研究活動に本学での研究活動が対象に含まれている場合は,原則として他機関と合同で予備調査を行うこととする。ただし,告発された事案によっては,本学と他機関で協議し,中心に調査を行う機関を決定し,予備調査を行うものとする。
3 本学を離職してどの機関にも所属していない者が,本学での研究活動を告発の対象として訴えられた場合は,原則として本学においてこれを処理する。
4 前2項に該当しない場合で本学での研究活動を告発の対象として訴えられた場合は,総括責任者がその都度決定するものとする。
(調査委員会)
第5条 総括責任者は,前条の予備調査の結果において,不正行為の可能性があり,本調査が必要と判定された場合は,本調査を実施させるため,不正行為調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置し,本調査の実施を指示するものとする。
2 調査委員会は,本調査において,前項で不正行為の可能性があると判定された事案(以下「調査事案」という。)について,第9条に規定する不正行為の判定,第10条に規定する再発防止策の策定及び第13条に規定する不服申立ての審査を行うものとする。
3 総括責任者は,告発者及び被告発者並びに被告発者が所属する部局長に対し,本調査の実施の決定を通知し,調査への協力を求めるとともに,速やかに規則第5条に規定するコンプライアンス最高責任者(以下「最高責任者」という。)に報告するものとする。
4 最高責任者は,報告のあった調査事案に係る研究資金配分機関等及び関係府省に本調査を行う旨を報告するものとする。
5 調査委員会は,総括責任者から本調査の実施を指示された日から30日以内に本調査を開始するものとする。
6 調査委員会は,次に掲げる委員をもって組織する。ただし,第4号に定める者の人数は,委員総数の半数以上とする。
(1) 規則第7条に規定する研究を担当するコンプライアンス責任者(以下「研究担当コンプライアンス責任者」という。)
(2) 規則第8条に規定するコンプライアンス部局責任者のうち告発を受けた者が所属する部局の者
(3) 調査事案に関連する研究を専門分野とする,又は当該分野に近い分野を専門とする大学教育職員 若干人
(4) 新潟大学に属さない有識者
7 前項第3号及び第4号の委員は,前項第1号及び第2号の委員並びに総括責任者で協議の上,選考する。
8 第6項第1号及び第2号の委員が告発者又は被告発者と直接の利害関係を有している者である場合は,同項第1号の委員については他のコンプライアンス責任者を,同項第2号の委員については当該部局の他の者をもって充てる。
9 第6項第3号及び第4号の委員は,告発者又は被告発者と直接の利害関係を有している者を充てることはできない。
10 調査委員会に委員長を置き,第6項第1号の委員をもって充てる。
11 総括責任者は,調査委員会を設置したときは,委員の氏名や所属を告発者及び被告発者に通知する。通知を受けた告発者及び被告発者は,委員の構成について異議がある場合は,通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に総括責任者に対し異議申立てをすることができる。
12 前項による異議申立てがあった場合は,総括責任者は,その内容の妥当性を審査し,その結果により,当該異議申立てに係る委員を交代させることができる。委員を交代させる場合は,第6項第1号から第3号までの委員と協議の上行う。委員を交代させた場合は,告発者及び被告発者並びに被告発者の所属する部局長に通知する。
13 第6項第1号の委員に事故があるときは,学長が指名する理事に代行させることができる。
14 委員長は,調査委員会を招集し,その議長となる。
15 委員の任期は,調査事案について本調査が終了するまでの期間とする。
16 調査委員会は,委員の総数の過半数が出席し,かつ,出席した委員の半数以上が第6項第4号の委員である場合に成立する。
17 調査委員会の議事は,出席した委員の3分の2以上の多数をもって決する。
18 委員長が必要と認めたときは,調査委員会に委員以外の者の出席を求め,説明又は意見を聴くことができる。
19 その他調査委員会の運営に関し必要な事項は,調査委員会が別に定める。
(本調査の実施)
第6条 調査委員会は,次に掲げる調査及び要請を行う。
(1) 被告発者及びその関係者(以下「調査対象者」という。)からの聞き取り調査
(2) 関係資料等の閲覧調査
(3) 指定する実験の追試又は再現の要請
(4) その他調査することが合理的と判断される事項
2 調査対象者は,調査委員会の調査及び要請に対し,誠実に協力しなければならない。
3 調査対象者は,告発された事案について疑惑を晴らそうとする場合には,科学的に適正な方法と手続にのっとって行われたこと,論文等もそれに基づいて適切な表現で書かれたものであることを,科学的根拠を示して説明しなければならない。
4 調査委員会は,被告発者が行う説明を受けるとともに,調査によって得られた,物的・科学的証拠,証言,諸証拠等を総合的に判断し,被告発者の自認を唯一の証拠とするのではなく,被告発者の研究体制,データチェックのなされ方など様々な点から客観的に不正行為事実及び故意性等を判断しなければならない。
5 調査委員会は,再現実験の必要性を認める場合は,調査委員会の指導・監督の下にその機会を被告発者に与えるものとする。
6 調査委員会は,告発された調査事案のほか,本調査に関連した被告発者の他の研究を本調査の対象に含めることができる。
(調査に必要な措置等)
第7条 委員長は,本調査にあたって他の方法による適切な資料の入手が困難な場合又は関係資料等の隠滅が行われる恐れがある場合には,調査対象者の研究室等において,調査事案に関連する場所の一時閉鎖又は証拠となるような資料等を保全する措置をとることができる。
2 委員長は,告発された事案に係る研究活動が行われた研究機関が本学以外の場合は,告発された事案に係る研究活動に関して,資料等を保全する措置をとるよう当該研究機関に要請するものとする。
3 委員長は,第1項の措置をとる場合には,必要最小限の範囲及び期間に止め,事前に当該部局の長の承認を得なければならない。
4 調査委員会は,第1項の規定により一時閉鎖した場所の調査又は保全された資料等の調査を行う場合には,調査対象者が所属する部局の長が指名する者2人を立ち会わせるものとする。
(研究情報等の保護)
第8条 調査委員会は,調査に当たっては,調査対象における公表前のデータ,論文等の研究情報又は技術上秘密とすべき情報が,調査の遂行上必要な範囲外に漏えいすることのないよう配慮しなければならない。
2 前項の場合において,調査事案の漏えいがあったときは,告発者及び被告発者の了解を得て,調査中であっても調査事案について公に説明することができる。ただし,告発者又は被告発者の責により漏えいしたときは,了解は不要とする。
(不正行為の判定)
第9条 調査委員会は,本調査の開始から原則として150日以内に調査結果をまとめ,不正行為の存在の有無について判定するものとする。ただし,150日以内に判定できない合理的な理由がある場合は,その理由及び判定予定日を付して総括責任者に申し出て,承認を得るものとする。
2 前項の判定は,不正行為に関する証拠が提出された場合において,被告発者の説明及びその他の証拠によって不正行為であるとの疑いが覆されないときは,不正行為と認定するものとし,被告発者が生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬等の不存在など,本来存在するべき基本的な要素の不足により,不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときも同様とする。ただし,被告発者が善良な管理者の注意義務を履行していたにもかかわらず,その責によらない理由(災害等)により,上記の基本的な要素を十分に示すことができなくなった場合等正当な理由があると認められる場合又は生データや実験・観察ノート,実験試料・試薬等の不存在などが,各研究分野の特性に応じた合理的な保存期間を超えると判断される場合はこの限りではない。
3 第1項の判定において,不正行為が存在すると判定したときは,不正行為に関与した者とその関与の度合い並びにその研究に係る論文等の各著者の当該論文等及び当該研究における役割についても判定するものとする。
4 第1項の判定において,不正行為が存在しないと判定したときは,その告発が悪意に基づくものであるか否かについても判定するものとする。
5 第2項の不正行為の認定又は前項の告発が悪意に基づくものであるとの認定をするためには,認定の前に被告発者又は告発者に対して弁明の機会を与え,調査等の公正性を確保しなければならない。
(再発防止策の策定)
第10条 調査委員会は,不正行為の認定を行った場合には,不正行為の発生要因の分析と再発防止策の策定を行う。
(調査結果の報告又は通知)
第11条 委員長は,第9条第1項から第4項までの判定及び前条の再発防止策の策定を終了したときは,直ちに全ての調査結果を,関係資料を添えて総括責任者に報告するものとする。
2 総括責任者は,前項の調査結果を最高責任者に報告するものとする。
3 最高責任者は,第1項の調査結果を別記第1により当該事案に係る研究資金配分機関等及び関係府省に報告するものとする。
第12条 総括責任者は,前条の調査結果を,次に掲げる者に通知するものとする。
(1) 被告発者
(2) 被告発者以外で不正行為に関与したと認定された者
(3) 前2号の者が所属する部局の長
(4) 告発者
2 総括責任者は,告発が悪意に基づくものであると認定された場合は,前条の調査結果を告発者が所属する機関にも通知する。
(不服申立て)
第13条 不正行為と認定された被告発者及び前条第2号の者又は告発が悪意に基づくものであると認定された告発者は,調査結果の通知を受理した日から起算して30日以内に,総括責任者に対して不服申立てをすることができる。
2 前項の規定にかかわらず,調査結果の通知を受理した日から起算して30日以内であっても,引き延ばし目的の不服申立て又は同一理由による不服申立てを繰返すことはできないものとする。
3 総括責任者は,被告発者から不正行為の認定に係る不服申立てがあった場合は告発者に,悪意に基づく告発と認定された告発者から不服申立てがあった場合は告発者が所属する機関及び被告発者に通知するとともに,速やかに最高責任者に報告するものとする。
4 最高責任者は,前項の不服申立てがあった場合は,当該事案に係る研究資金配分機関等及び関係府省に報告するものとし,第8項により被告発者からの不正行為の認定に係る不服申立ての却下又は再調査開始の決定の通知を受けたときも同様とする。
5 不服申立ての趣旨が,調査委員会の構成等その公正性に関わるものである場合又は趣旨が新たに専門性を要する判断が必要となるものである場合には,委員長及び総括責任者が協議し,調査委員の交代若しくは追加による審査又は調査委員会に代えて他の者に審査させることができる。
6 調査委員会又は調査委員会に代わる者(以下「調査委員会等」という。)は,不服申立ての趣旨,合理性等を検討し,再調査を行うか否かを速やかに決定し,総括責任者に報告するものとする。
7 調査委員会等は,再調査を行う決定を行った場合は,被告発者に対し,先の調査結果を覆すに足る資料の提出等,当該事案の速やかな解決に向けて,再調査に協力することを求めることができる。この場合において,被告発者から再調査の協力が得られないときは,再調査は行わず,審査を打ち切ることができるものとする。
8 総括責任者は,第6項の決定の報告を受けて,第3項の関係者に通知するものとする。
9 調査委員会等は,第6項の規定により再調査が決定された場合,速やかに再調査を実施し,再調査の実施の決定から原則として60日以内に調査結果を総括責任者に報告しなければならない。
10 総括責任者は,前項の調査結果を最高責任者に報告するとともに,前条第1項各号の者へ通知するものとする。
11 最高責任者は,第9項の調査結果を当該事案に係る研究資金配分機関等及び関係府省に報告するものとする。
(調査結果の公表等)
第14条 調査結果は,前条に規定する不服申立期間が終了したときをもって確定とする。
2 最高責任者は,調査事案について不正行為が行われたとの認定があった場合は,不正行為の内容及び本学がとった措置の内容を含む調査結果の概要を公表するものとする。
3 前項に規定するもののほか,最高責任者は,次の各号のいずれかに該当する場合は,当該各号に掲げることをするものとする。
(1) 対象となる不正行為が,研究発表に係るものである場合(不正行為が行われなかったとの認定があった場合でも,調査事案が既に外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合を含む。)は当該発表学会等の機関又は当該掲載学術誌等の発行機関へ通知すること。
(2) 悪意に基づく告発の認定があった場合は,認定の概要を公表すること。
(告発者及び被告発者に対する措置)
第15条 最高責任者は,次に掲げるいずれかに認定された者を,国立大学法人新潟大学職員就業規則(平成16年規則第20号。以下「就業規則」という。)その他の適用される就業規則の規定に基づく懲戒等の処分の対象とし,第1号又は第3号に該当する者に対しては,不正行為と認定された研究に係る論文等の取下げを勧告するものとする。
(1) 不正行為が認定された研究に係る論文等において,不正行為に関与したと認定された著者
(2) 不正行為が認定された研究に係る論文等の著者ではないが,当該不正行為に関与したと認定された者
(3) 不正行為に関与したとまでは認定されないが,不正行為が認定された研究に係る論文等の内容について責任を負う者として認定された著者
2 最高責任者は,告発が悪意に基づくものであると認定された告発者を,就業規則その他の適用される就業規則の規定に基づく懲戒等の処分の対象とする。
(守秘義務)
第16条 委員及び調査に関係する者(以下「調査関係者」という。)は,この規程に基づく調査及び審査により知り得た情報を他に漏らしてはならない。
(関係者の保護等)
第17条 総括責任者は,告発者及び調査関係者が不正行為告発や情報提供等を理由とする不利益を受けないよう十分な配慮を行うものとする。
第18条 総括責任者は,被告発者のプライバシー等の権利を不当に侵害することのないように配慮し,不正行為が存在しないとの認定があった場合は,被告発者の教育研究活動の正常化及び名誉回復の措置を講ずるものとする。
(事務)
第19条 調査委員会の事務は,研究企画推進部において処理する。
(雑則)
第20条 この規程に定めるもののほか,研究活動について不正行為が生じた場合等に関し必要な事項は,調査委員会が別に定める。
附 則
1 この規程は,平成19年1月26日から施行する。
2 この規程の制定後最初に選出される第6条第3項第4号に定める委員の任期は,同条第4項の規定にかかわらず,平成20年3月31日までとする。
附 則(平成24年3月30日規程第8号)
この規程は,平成24年4月1日から施行する。
附 則(平成26年3月31日規程第16号)
この規程は,平成26年4月1日から施行する。
附 則(平成27年3月31日規程第8号)
この規程は,平成27年4月1日から施行する。
附 則(平成29年3月6日規程第16号)
この規程は,平成29年3月6日から施行する。
附 則(平成30年8月3日規程第55号)
この規程は,平成30年8月3日から施行する。
附 則(令和元年7月30日規程第119号)
この規程は,令和元年7月30日から施行する。
附 則(令和2年2月26日規程第18号)
この規程は,令和2年2月26日から施行し,令和2年2月13日から適用する。
附 則(令和3年4月22日規程第41号)
この規程は,令和3年5月1日から施行する。
附 則(令和5年6月30日規程第91号)
この規程は,令和5年6月30日から施行する。
別記第1(第11条関係)