○北海道国立大学機構における研究活動の不正行為防止に関する規程
(令和4年4月1日機構規程第87号)
改正
令和4年9月15日機構規程第112号
令和5年5月25日機構規程第2号
令和5年6月22日機構規程第11号
令和6年2月22日機構規程第42号
令和6年3月15日機構規程第48号
令和6年3月21日機構規程第59号
令和6年9月26日機構規程第21号
第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は、北海道国立大学機構(以下「機構」という。)における研究活動等の不正行為防止に関し必要な事項を定め、その運営及び管理の適正化を図ることを目的とする。
(定義)
第2条 この規程において「公的研究費」とは、府省等の公的機関から配分される競争的研究費を中心とした研究費、運営費交付金、寄附金、補助金並びに委託費等を財源として機構が扱う全ての経費をいう。
2 この規程において「不正行為」とは、研究の立案、計画、実施、成果の取りまとめ(外部資金等を用いた場合の支援者への申請、報告を含む。)及び公的研究費の使用において、故意又は研究者として基本的な注意義務を著しく怠ったことによる、次の各号に掲げる行為(第1号から第5号までに掲げるものについては、その意義は、それぞれ当該各号に定めるものとする。)をいう。
(1) 捏造 存在しないデータ、研究結果等を作成すること。
(2) 改ざん 研究資料、研究機器及び研究過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。
(3) 盗用 他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語の使用に関し、当該研究者の承諾又は適切な表示を行うことなく流用すること。
(4) 公的研究費の不正使用 法令、研究費を配分した機関(以下「資金配分機関」という。)の規程及び機構の規程等に反した不適切な研究費の受給、管理及び執行
(5) その他 研究成果の二重投稿、不適切なオーサーシップ等
(6) 第1号から第5号に掲げる行為の証拠隠滅又は立証妨害
(7) 第1号から第5号以外の研究活動上の不適切な行為であって、科学者の行動規範及び社会通念に照らして研究者倫理からの逸脱の程度が甚だしいもの
3 この規程において「特定不正行為」とは、前項第1号、第2号及び第3号に規定する行為をいう。
4 この規程において「構成員」とは、機構に属する役員、職員その他の機構において身分を有する者をいう。
5 この規程において「コンプライアンス教育等」とは、コンプライアンス教育及び研究倫理教育をいう。
(1) コンプライアンス教育 機構の不正防止に関する方針及び関係規則(機構の不正防止に関して定める機構規則及び機構が設置する国立大学(以下「大学」という。)の規則をいう。以下同じ。)等を構成員に周知するための教育をいう。
(2) 研究倫理教育 論文及び研究成果を発表する研究活動に携わる者が、知っておくべき内容及び倫理観について周知するための教育をいう。
6 この規程において「研究データ」とは、論文及び研究成果等(以下「研究成果」という。)を導出するために必要とした次の各号に掲げるもの(その意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。)をいう。
(1) 資料 文書類(実験・観察記録ノートを含む。)、プログラム及び入出力データ、インタビューデータ、実験データ、数値等のデータ及び画像等をいう。
(2) 試料及び装置等 実験試料及び標本等並びに実験装置及びデータベース装置等の有体物をいう。
7 部局等 次に掲げる組織をいう。
(1) 機構本部の事務局各課室、監査室、教育研究支援組織及び運営支援組織
(2) 小樽商科大学の事務部各課室、学部、研究科、附属図書館、言語センター、保健管理センター、情報総合センター、アドミッションセンター、グローカル戦略推進センター、国際連携本部及びDX推進室
(3) 帯広畜産大学の事務部各課室、各部門、大学情報分析室、グローバルアグロメディシン研究センター、原虫病研究センター、産学連携センター、畜産フィールド科学センター、動物医療センター、動物・食品検査診断センター、農学情報基盤センター、高度人材共創センター、次世代農畜産技術実証センター、保健管理センター、大学教育センター及び別科
(4) 北見工業大学の事務部各課室、各学科、各系、各機構、各センター、AIコモンズ、図書館及び技術部
第2章 組織の責任体制
(最高管理責任者)
第3条 機構における不正行為防止等に関する総括を行い、公的研究費の運営・管理における最終責任を負う者として最高管理責任者を置き、理事長をもって充てる。
2 最高管理責任者は、不正防止対策の基本方針を策定・周知するとともに、それらを実施するために必要な措置を講じる。また、法人統括管理責任者、統括管理責任者及びコンプライアンス推進責任者が責任を持って公的研究費の適切な運営・管理を行えるよう、必要な措置を講じるものとする。
3 最高管理責任者は、法人統括管理責任者、統括管理責任者及びコンプライアンス推進責任者から当該年度の不正防止に関する取組状況等について報告を求め、その進捗を把握するとともに、必要に応じて基本方針の見直しを図るものとする。
(法人統括管理責任者及び統括管理責任者)
第4条 機構に、最高管理責任者を補佐し、研究活動等の不正行為防止について機構全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者として、法人統括管理責任者を置き、最高管理責任者が指名する理事をもって充てる。
2 法人統括管理責任者は、不正行為防止対策の組織横断的な体制を統括する責任者であり、基本方針に基づき、機構全体の具体的な対策を策定及び実施するとともに、その実施状況を確認し、最高管理責任者に報告するものとする。
3 大学に、法人統括管理責任者を補佐し、研究活動等の不正行為防止について大学全体を統括する実質的な責任と権限を持つ者として、統括管理責任者を置き、次の各号の者をもって充てる。
(1) 小樽商科大学 小樽商科大学長
(2) 帯広畜産大学 帯広畜産大学長
(3) 北見工業大学 北見工業大学長
(コンプライアンス推進責任者)
第5条 機構本部及び大学に、研究活動等の不正行為防止について実質的な責任と権限を持つ者としてコンプライアンス推進責任者を置き、次の各号の者をもって充てる。
(1) 機構本部 事務局長
(2) 小樽商科大学 小樽商科大学の副学長のうち小樽商科大学長が指名した者
(3) 帯広畜産大学 帯広畜産大学の副学長のうち帯広畜産大学長が指名した者
(4) 北見工業大学 北見工業大学の副学長のうち北見工業大学長が指名した者
2 コンプライアンス推進責任者は、法人統括管理責任者又は統括管理責任者の指示の下、次に掲げる事項を実施するものとする。
(1) 機構本部及び当該大学における対策を実施するとともに、その実施状況を確認し、法人統括管理責任者又は統括管理責任者に報告するものとする。
(2) 研究活動等の不正行為防止を図るため、機構本部及び当該大学内の公的研究費の運営・管理に関わる全ての構成員に対し、コンプライアンス教育等を実施し、受講状況を管理監督する。
(3) 機構本部及び当該大学における公的研究費の運営・管理が適正であるかモニタリングし、必要に応じて改善を指導する。
3 機構本部及び大学に、コンプライアンス推進副責任者を置くことができる。
4 コンプライアンス推進副責任者は、コンプライアンス推進責任者の職務を助けるものとする。
5 第1項に定めるコンプライアンス推進責任者をもって、機構本部及び当該大学の研究倫理教育について指揮監督を行う研究倫理教育責任者とする。
第3章 適正な運営・管理のための環境整備と構成員の意識向上
(環境整備の指針)
第6条 研究活動等の不正行為防止に関する各種規程等及び体制の整備にあたっては、業務の実態と職務権限等に乖離がないか、構成員にとってわかりやすいルールであるかを定期的に確認し、必要に応じて適切に見直しを行い、構成員に周知を図るものとする。
2 研究活動等の不正行為防止に関する取組及び関係規則等について、機構内外からの相談に迅速かつ適切に対応するため、相談を受け付けるための窓口(以下「相談窓口」という。)を設置し、これを公開するものとする。
3 研究活動等の不正行為防止に関する機構の管理運営体制、関係規則等並びに各種取組等については、積極的にホームページ等により機構内外に情報を公開するものとする。
(経理事務)
第7条 公的研究費に係る契約、旅費支給、給与及び謝金支給等の経理に関する取扱いは、資金配分機関の規程及び機構の規程等により取り扱うものとする。
(行動規範)
第8条 不正行為を防止するため、研究活動に係る行動規範を公開するものとする。
(コンプライアンス教育等の実施)
第9条 不正行為を防止するため、構成員に研究活動等の不正行為防止のための教育研修を定期的に受けさせるものとする。この場合において、その教育研修の実施時期については、各大学が判断することができるものとする。
(構成員の責務)
第10条 構成員は、機構における研究活動に係る行動規範及び北海道国立大学機構役職員倫理規程(令和4年度機構規程第46号)を遵守し、研究及び職務に係る高い倫理観を保持し不正行為を行ってはならない。
2 不正行為を防止するために関係規則等を遵守するとともに、コンプライアンス推進責任者の指示に従わなければならない。
3 構成員は、機構が定める不正行為防止のための教育を必ず受けるものとする。
4 前条で定める教育を受ける際に教育内容を理解し不正を行わないこと等を明記した誓約書(別記様式第1号)を最高管理責任者に提出しなければならない。
5 構成員は一定期間研究データを保存し、開示の必要性及び相当性が認められる場合は開示しなければならない。
6 研究者は一定期間研究データを保存せずに、故意に破棄したり、不適切な管理により紛失してはならない。
(懲戒処分等)
第11条 最高管理責任者は、構成員が前条に規定する事項に反した場合、北海道国立大学機構職員就業規則(令和4年度機構規則第1号。以下「職員就業規則」という。)第39条から第41条までの規定に基づき、懲戒処分等を行うものとする。
(取引業者からの誓約書の徴取)
第12条 構成員と取引業者の癒着を防止するため、取引業者に誓約書(別記様式第2号)を提出させ、原則当該誓約書の提出があった業者を対象として取引を行うものとする。
第4章 不正行為に係る通報、調査及び処分
(通報窓口の設置)
第13条 不正行為に関する通報又は相談(以下「通報等」という。)を行う者(以下「通報者」という。)からの通報等は、通報窓口で受け付けるものとする。
2 通報窓口は、総務課長とする。
3 理事長が必要と認めたときは、前項に規定するもののほか、第三者機関に通報窓口を設置することができる。
4 前項の規定により通報窓口を設置したときは、適切な周知に努めるものとする。
(通報等の取扱)
第14条 不正行為があると思料する者は、通報窓口を通じ、通報等を行うことができる。
2 通報等は、電子メール、書面、電話又は面談によるものとする。
3 通報等は原則として通報者の氏名、所属、住所等並びに不正行為の存在を客観的な根拠とともに示されるもののみを受け付ける。ただし、通報者はその後の調査において氏名の秘匿を希望することができるものとする。
4 通報者に対する本規程に基づく通知及び報告は通報窓口を通じて行うものとする。
5 通報窓口は、匿名による通報があったときは、不正行為の存在を客観的な根拠とともに示されるもののみ受け付けるものとする。この場合において、当該通報者に対する本規程に基づく通知及び報告は行わないものとする。
6 報道、会計検査院及び学会等の研究者コミュニティ等の外部機関から不正行為の疑いが指摘されたとき並びに他機関から通報等が回付されたときは、第3項に規定する通報を受け付けたものとして取扱うものとする。
7 インターネット上に機構に係る不正行為の疑いが掲載されていることを機構が独自に把握した場合は、第3項に規定する通報を受け付けたものとして取扱うものとする。
8 機構以外の機関に係る内容の通報等があった場合には、当該機関へ回付するものとする。
9 通報の意思を明示しない相談の場合、通報に準じてその内容を確認・精査し、相当の理由があると認めた場合は、相談者に対して通報の意志があるか否か確認するものとする。これに対して通報の意思表示がなされない場合にも、最高管理責任者の判断で調査を開始することができる。
10 不正行為が行われようとし、又は不正行為を求められているという通報・相談については、その内容を確認・精査し、相当の理由があると認めたときは、被通報者に警告を行うものとする。
11 本規程対象外の通報内容については、しかるべき組織等に回付するものとする。
(通報者・被通報者の取扱)
第15条 通報等の受付に当たっては、通報等の内容及び通報者等の秘密を守るため、個室での面談、電子メール、電話等の内容を通報窓口以外の者が見聞できないように考慮する等適切な方法を講じなければならない。
2 最高管理責任者は、通報内容や通報者の秘密を守るとともに、通報等についての調査結果の公表まで、通報者及び被通報者の意に反して調査関係者以外に漏えいしないよう、関係者の秘密保持を徹底する。
3 最高管理責任者は、通報内容が漏えいした場合は、通報者等及び被通報者の了解を得て、調査の状況にかかわらず調査事案について公に説明することができる。ただし、通報者又は被通報者の責により漏えいした場合は、当人の了解は不要とする。
4 最高管理責任者は、悪意(被通報者を陥れるため、被通報者が行う研究を妨害するため等、専ら被通報者に何らかの損害を与えること及び被通報者が所属する機関・組織等に不利益を与えることを目的とする意思をいう。以下同じ。)に基づく通報であることが判明しない限り、単に通報したことを理由に、通報者に対し審査終了までは、解雇、配置転換、降格、減給その他の不利益な取扱は行わないものとする。
5 最高管理責任者は、審査終了までの間、相当な理由なく、単に通報がなされたことのみをもって、被通報者に対し研究活動を全面的に禁止してはならず、解雇、配置転換、降格、減給その他の不利益な取扱は行わないものとする。
(通報等の報告及び予備調査)
第16条 通報窓口担当者は、通報等を受け付けた場合、速やかに最高管理責任者及び法人統括管理責任者又は統括管理責任者へ報告する。
2 最高管理責任者は、前項の報告に係る事案について受け付けることが妥当と判断した場合は、法人統括管理責任者又は統括管理責任者、被通報者の所属する部局等の長その他最高管理責任者が指名する者に予備調査を行わせるものとし、最高管理責任者が研究費の不正使用に関する通報と判断した場合は、事務局長を予備調査の実施者に加える。ただし、通報者、被通報者と利害関係がある者は、調査の実施者から除外する。
3 最高管理責任者から予備調査を行うよう指示があった場合は、当該通報等の信憑性、内容の合理性、研究データの保存期間を超えるか否か等調査可能性等について調査を行い、速やかにその結果を最高管理責任者に報告するものとする。
4 最高管理責任者は、第1項及び前項の報告に基づき、通報等の受付から30日以内に通報等の内容の合理性を確認の上、調査の要否を判断するものとする。この場合において、特定不正行為の調査を実施することを決定したときは、特定不正行為の調査の実施について資金配分機関及び文部科学省に報告するものとし、公的研究費の不正使用については、調査の要否を資金配分機関に報告するものとする。
5 最高管理責任者は、前項の規定に基づき、調査を実施することを決定したときは、調査の開始を通報者及び被通報者に通知し、調査への協力を求める。この場合において、被通報者が機構以外の機関に所属している場合は、当該機関にも通知する。
6 最高管理責任者は、調査を実施しないときは、調査しない旨をその理由と併せて通報者に通知するものとする。この場合、予備調査に係る資料等を保存し、資金配分機関及び通報者の求めに応じ開示するものとする。
(不正調査委員会)
第17条 最高管理責任者は、前条第5項において調査の実施を決定したときは、その決定の日から30日以内に最高管理責任者のもとに不正調査委員会(以下「委員会」という。)を設置し、速やかに事実関係を調査させなければならない。
2 委員会は、法人統括管理責任者又は統括管理責任者及び次の各号に掲げる委員をもって組織する。ただし、委員の半数以上は機構に属さない外部有識者とし、機構と直接の利害関係のない者とする。
(1) 機構役員及び職員の中から最高管理責任者が指名する者 若干名
(2) 弁護士、公認会計士、当該被通報者に係る分野の研究経験を有する者等、最高管理責任者が指名する外部有識者 若干名
3 前項に掲げる全ての委員は、通報者及び被通報者と直接の利害関係がない者とする。
4 委員会に委員長を置き、第2項の委員の中から最高管理責任者が指名する者をもって充てる。
5 最高管理責任者は委員会を組織した後、被通報者を含む調査の対象者等(以下「調査対象者」という。)及び通報者に委員の氏名、所属等を含む委員会構成を通知することとする。
6 調査対象者及び通報者は、委員会構成の公正性に問題があると判断した場合、委員会構成の通知日から7日以内であれば異議の申立てができる。最高管理責任者はその内容を確認し、妥当と認めた場合委員会の委員を変更するとともに、その旨を調査対象者及び通報者に通知する。
7 委員会は、本調査を行う告発に関する全ての処理の終了をもって解散する。
(守秘義務)
第18条 委員会の構成員及びその他本規程に基づき、不正行為等の調査に関係した者は、その職務に関し知り得た情報を他に漏らしてはならない。
(調査の実施)
第19条 委員会は、不正行為について、不正行為の事実の有無、その内容、関与した者及びその関与の程度、公的研究費の不正使用の相当額等を調査するものとする。内容により調査対象者の他事案における不正行為の有無について調査すべきと思料される場合は、通報等があった事案以外の調査も行うものとする。
2 委員会は、公的研究費の不正使用の調査の実施に際し、調査方針、調査対象、調査方法等について資金配分機関に報告し、協議しなければならない。
3 委員会は、調査対象者に対し関係資料の提出、事実の証明及びその他事項について必要な調査を行うものとする。この際、調査対象者の弁明の聴取が行われなければならない。
4 委員会が被通報者に再実験等により再現性を示すことを求めた場合又は被通報者自らの意志によりそれを申し出て委員会がその必要性を認めた場合は、委員会は、合理的に必要と判断される範囲内においてそれに要する期間及び機会(機器、経費等を含む。)を保証のうえ、委員会の指導及び監督のもとで行うものとする。
5 委員会は、関連する部局等に対し、調査協力等適切な対応を指示することができる。
6 委員会は、必要な範囲で、調査対象者に対し調査事案に関係する公的研究費の使用停止や研究活動の停止を命ずることができる。
7 委員会は、調査にあたって、調査事案に係る資料等を保全する措置をとる。
8 前項の資料等が他の機関にあるときは、機構は、直ちに当該機関に対して資料等の保全を要請するものとする。
9 委員会は、調査にあたっては、公表前のデータ、論文等の研究又は技術上秘密とすべき情報が、調査の遂行上必要な範囲外に漏えいすることのないよう十分配慮する。
(調査への協力等)
第20条 調査対象者は、委員会による事実の究明に協力するものとし、虚偽の申告をしてはならない。退職後においても同様とし、機構の要請に対し誠実に対応しなければならない。
2 機構が調査機関とは異なる研究機関で、調査事案に係る研究活動が行われた研究機関であった場合、当該機関の要請に応じ、調査事案に係る資料等を保全するものとする。
(調査の対象となる研究)
第21条 委員会の調査の対象には、通報に係る研究のほか、委員会の判断により、調査に関連した被通報者の他の研究を含めることができる。
(証拠の保全措置)
第22条 委員会は、調査に当たり通報に係る研究に関して、証拠となるような資料等を保全する措置をとるものとする。
2 委員会は、関係資料の隠蔽が行われるおそれがあるなど、必要と認められる場合は、必要最小限の範囲で通報に係る研究活動の停止、調査に関連する場所の一時閉鎖又は実験機器等の使用禁止措置等を行うことができる。
3 委員会は、前2項の措置に影響しない範囲内であれば、被通報者の研究活動を制限しないものとする。
(悪意に基づく通報)
第23条 委員会が、調査の過程において当該通報が悪意に基づくものであったと判断した場合は、直ちに調査を中止し、当該通報を悪意に基づくものと認定のうえ、最高管理責任者に報告しなければならない。この認定を行うにあたっては、当該通報者に弁明の機会を与えなければならない。
2 最高管理責任者は、前項の報告を受けた場合、通報者(当該通報者が機構以外の機関に所属する者であった場合はその所属機関への通知を含む。)、被通報者並びに資金配分機関がある場合はその機関に通知するものとする。
3 第1項及び第19条による調査の結果、悪意に基づく通報であると認定された場合は、最高管理責任者は、必要に応じて、当該通報者の氏名の公表、懲戒処分及び刑事告発等適正な措置をとるものとする。
(認定)
第24条 委員会は、調査の結果に基づき、不正行為の事実の有無、その内容、関与した者及びその関与の程度、公的研究費不正使用の相当額等について、本調査の開始から、研究における不正行為にあっては150日以内、公的研究費の不正使用及び不適切使用にあっては90日以内に認定を行い、調査結果(認定を含む。以下同じ。)を最高管理責任者に報告しなければならない。ただし、150日以内に認定できない合理的な理由がある場合は、その理由及び認定予定日を最高管理責任者に申し出て、承認を得るものとする。
2 前項の認定にあたっては、委員会は、調査対象者の自認等を唯一の証拠とせず、第19条第3項に定める調査対象者からの説明及び調査によって得られた物的・科学的証拠、証言、調査対象者の自認等の諸証拠を総合的に判断して行うものとする。
3 委員会は、被通報者の説明及びその他の証拠によって、不正行為であるとの疑いを覆すことができないときは、不正行為とみなす。
4 委員会は、第31条に定める保存期間の範囲に属する生データや実験・観察ノート、実験試料・試薬及び関係書類等の不存在等、本来存在するべき基本的な要素が不足していることにより、被通報者が不正行為であるとの疑いを覆すに足る証拠を示せないときは、不正行為とみなす。ただし、被通報者が善良な管理者の注意義務を履行していたにも関わらず、その責によらない理由により十分な証拠を示すことができなくなった場合等、正当な理由があると認められる場合はこの限りではない。
5 最高管理責任者は、第1項の報告に基づき、調査対象者(当該調査対象者が機構以外の機関に所属する者であった場合はその所属機関への通知を含む。)、及び通報者に対し、調査結果を通知するものとする。
6 最高管理責任者は、前項に定めるもののほか、特定不正行為の調査結果について資金配分機関及び文部科学省に報告するものとし、公的研究費の不正使用の調査結果については、資金配分機関に調査結果を報告するものとする。
(不服申立て)
第25条 不正行為と認定された調査対象者及び悪意に基づくものと認定された通報者は、前条第5項の調査結果の通知日から14日以内に最高管理責任者に不服申立てを行うことができるものとする。
2 最高管理責任者は、前項の不服申立てがあった場合は、最高管理責任者の判断により委員会に対し、再調査の実施を指示することができるものとする。この場合において、不服申立ての趣旨が新たに専門性を要する判断が必要となるものである場合には、最高管理責任者は、調査委員の交代若しくは追加、又は委員会に代えて他のものに審査をさせることができるものとする。
3 最高管理責任者は、第1項の不服申立てがあったときは、調査対象者又は通報者に通知し、特定不正行為の調査結果に対する不服申立てについて資金配分機関及び文部科学省に報告するものとし、公的研究費の不正使用の調査結果に対する不服申立てについては、資金配分機関に報告するものとする。不服申立ての却下及び再調査開始の決定をしたときも同様とする。
4 第2項の再調査の指示があった場合、委員会は再調査を行い、30日以内にその結果を最高管理責任者に報告するものとする。
5 委員会(第2項後段の規定により委員会に代えて審査させるものを含む。)は、再調査を行うことを決定した場合は、被通報者に対し、先の調査結果を覆すに足る資料の提出等、当該事案の速やかな解決に向けて、再調査に協力することを求めるものとし、その協力が得られない場合には、再調査を行わず、審査を打ち切ることができる。その場合においては、直ちに最高管理責任者に報告するものとし、最高管理責任者は被通報者に当該決定を速やかに通知するものとする。
6 最高管理責任者は、前項の報告に基づき、不服申立てに対する決定を行い、その結果を調査対象者、通報者に通知し、特定不正行為の調査結果に対する不服申立てについての決定は、資金配分機関及び文部科学省に報告するものとし、公的研究費の不正使用の調査結果に対する不服申立てについての決定は、資金配分機関に報告するものとする。
7 最高管理責任者は、再調査を実施しないことを決定した場合は、再調査をしない旨をその理由と併せて不服申立てをした者及び委員会に通知するものとする。
8 不服申立てをした者は、前2項の決定に対して、再度不服申立てをすることはできない。
(調査結果の報告)
第26条 委員会の委員長は、第24条による調査結果の通知後、調査対象者及び通報者から不服申立てがなく、その内容が確定した場合、又は前条第1項による不服申立てに対し、同条第6項若しくは第7項の決定が行われた場合は、最終報告書を作成し、関連資料を添えて速やかに最高管理責任者に提出しなければならない。
(措置)
第27条 最高管理責任者は、前条による報告に基づき、その調査結果を調査対象者及び通報者に通知するとともに、資金配分機関に対して、原則として告発等の受付から210日以内に不正行為の発生要因、調査対象者が関わる他事案の状況、再発防止策等必要事項をまとめ報告しなければならない。なお、上記の期限までに調査が完了しない場合であっても、調査の中間報告を資金配分機関に提出しなければならない。
2 最高管理責任者は、調査の過程であっても、公的研究費の不正使用の事実が一部でも確認された場合には速やかに認定し、資金配分機関へ報告しなければならない。
3 前2項のほか、資金配分機関の求めに応じ、調査の終了前であっても、調査の進捗状況の報告及び中間報告を提出しなければならない。また、調査に支障がある等、正当な事由がある場合を除き、当該事案に係る資料の提出、閲覧又は現地調査の求めがあった場合は、これに応じなければならない。
4 最高管理責任者は、前3項による報告の結果、当該資金配分機関から公的研究費の返還命令を受けたときは、調査対象者に当該金額を返還させるものとする。
5 最高管理責任者は、前条による報告に基づき、不正行為の関与を認定した者及び関与したとまでは認定されないが、不正行為が認定された論文等の内容に責任を負うものとして認定された著者が機構に属する研究者の場合は、職員就業規則等に定めるところにより必要な措置を行うとともに、論文等の取下げを勧告するものとする。
6 最高管理責任者は、前条による報告に基づき、不正行為が認められなかったときは、研究活動の制限及び証拠保全の措置を解除するとともに、その旨を調査関係者に通知し、必要に応じて通報者及び調査対象者への不利益発生を防止するための措置を講じるものとする。
7 当該事案の内容について悪質性が高い場合は、必要に応じて法的措置を講じるものとする。
(調査結果の公表)
第28条 最高管理責任者は、前条の規定による措置のほか、不正行為があったと認められたときは、合理的な理由のため不開示とする必要があると認めた場合を除き、次の調査結果を速やかに公表するものとする。
(1) 不正行為に関与した者の氏名、所属及び職名
(2) 不正行為の内容
(3) 調査結果の公表時までに行った措置の内容
(4) 委員会委員の氏名、所属及び職名
(5) 調査の方法及び手順
(6) その他最高管理責任者が必要と認めた事項
2 最高管理責任者は、不正行為があったと認められなかったときは、調査結果を公表しない。ただし、調査事案が外部に漏えいしていた場合及び論文等に故意によるものでない誤りがあった場合は、不正行為がなかったことその他の必要な事項を公表するものとする。
3 最高管理責任者は、調査事案が学外に漏えいしていた場合及び社会的影響の大きい重大な事案の場合については、必要に応じて当該調査の途中であっても中間報告として公表することができるものとする。ただし、通報者又は被通報者の責により漏えいした場合は、当人の了解は不要とする。
第5章 研究データの保存及び公開
(機関としての取組)
第29条 機構の構成員が発表した研究成果に対する第三者の検証可能性を担保するとともに、不正が指摘された際に対応できるよう、構成員に対し研究データの保存及び公開を義務付ける。
(保存する研究データ)
第30条 保存対象とする研究データは、構成員及び学生が外部に発表した研究成果に関するものとする。
2 構成員の研究成果に関する研究データとして保存するデータは、研究活動の正当性の証明手段を確保するとともに第三者による検証可能性を担保できると考えられるものを構成員が自ら決めるものとする。
3 学生の研究成果に関する研究データとして保存するデータは、前項の観点に準じ、指導教員の責任のもと決めることとする。
4 複数の研究者と共同で行った研究成果の研究データについては、第2項の観点に準じ、構成員が担当した部分について証明が可能な研究データを保存するものとする。
(研究データの保存期間)
第31条 前条で規定する研究データの保存期間は、研究成果の発表時点から、資料においては原則10年とし、試料及び装置等の有体物においては原則5年とする。
2 研究分野の特性により、前項に定める保存期間を超えた保存期間の設定が必要な場合は、研究成果の発表時点で構成員が自ら期間を定めることができる。
3 保存する研究データの中に、法令等により保存期間が規定されるものがある場合には、当該データについてはその法令等の定める期間に合わせて保存期間を定めることとする。ただし、法令等の保存期間が第1項に定める保存期間未満で期間満了後の即時破棄が明記されていない場合には、第1項の期間に準じて保存期間を定めることとする。
4 共同研究や外部から研究データを受領するにあたり、データの保存期間に関する契約若しくは定めが別途ある場合は、契約等で定められた期間に合わせて保存期間を定めることとする。
(研究データの公開等について)
第32条 構成員が発表した研究成果に対し、第三者より検証等の目的で研究成果及びその研究データ等に関して問い合わせがあった場合、構成員の責任で誠実かつ適切に対応する。
第6章 モニタリング等
(監査)
第33条 公的研究費の適正な管理のため、北海道国立大学機構監査室内部監査規程(令和4年度機構規程第25号。次条において「内部監査規程」という。)に基づき、公正かつ的確な監査を実施するものとする。
2 監査室は、研究活動等リスク別対応計画の不正が発生しやすいリスクに着目し、監査計画を適切に立案し、実効性のあるモニタリング体制及び方法により監査を実施するものとする。
(体制の検証)
第34条 監査室は、内部監査規程に基づき、業務監査及び会計監査を実施するほか、監事及び行動計画推進部署等と連携して研究活動等の不正防止を推進するための体制について検証するものとする。
第7章 庶務
(庶務)
第35条 この規程に定める事務は、関係部署の協力を得て総務課が行う。
第8章 その他
(その他)
第36条 この規程に定めるもののほか、この規程の実施に関し必要な事項は、理事長が別に定める。
附 則
この規程は、令和4年4月1日から施行する。
附 則(令和4年9月15日機構規程第112号)
この規程は、令和4年9月29日から施行する。
附 則(令和5年5月25日機構規程第2号)
この規程は、令和5年5月25日から施行し、令和5年4月1日から適用する。
附 則(令和5年6月22日機構規程第11号)
この規程は、令和5年7月1日から施行する。
附 則(令和6年2月22日機構規程第42号)
この規程は、令和6年2月22日から施行し、令和6年2月1日から適用する。
附 則(令和6年3月15日機構規程第48号)
この規程は、令和6年4月1日から施行する。
附 則(令和6年3月21日機構規程第59号)
この規程は、令和6年4月1日から施行する。
附 則(令和6年9月26日機構規程第21号)
この規程は、令和6年10月1日から施行する。
別記様式第1号
誓約書

別記様式第2号
誓約書