○名古屋大学研究用微生物等安全管理規程
(平成20年3月24日規程第107号)
改正
平成25年5月13日規程第5号
平成27年9月15日規程第52号
令和2年4月1日名大規程第36号
令和3年3月31日名大規程第155号
令和6年3月26日名大規程第67号
目次

第1章 総則(第1条・第2条)
第2章 安全管理体制(第3条-第19条)
第3章 健康管理(第20条-第25条)
第4章 雑則(第26条)
附則

第1章 総則
(目的)
第1条 この規程は,名古屋大学(以下「本学」という。)の実験室等において取り扱う研究用微生物等の安全管理に関し必要な事項を定め,もって本学における研究用微生物等による汚染を防止し,その適正な管理を図ることを目的とする。
2 本学における研究用微生物等の取扱いに関し必要な事項は,東海国立大学機構病原体等安全管理規程(令和2年度機構規程第75号。以下「機構規程」という。)第2条第2項の規定に基づき,この規程の定めるところによる。
(定義)
第2条 この規程において,次の各号に掲げる用語の定義は,当該各号に定めるところによる。
(1) 微生物等 ウイルス及びプリオン,細菌,真菌,寄生虫及び原虫を含む微小な生物等をいう。
(2) 病原性 微生物等が何らかの機構により,人若しくは動物又は植物に危害を及ぼすことをいう。
(3) 指定実験室 別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等を用いて実験を行う室をいう。
(4) 微生物等管理区域(以下「管理区域」という。) 別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等の安全管理に必要な指定実験室その他の室を含む特定の区域をいう。
(5) 職員等 本学の職員及び学生並びに他機関から受け入れた研究員等で,この規程に従い職務上又は教育研究上研究用微生物等を取り扱う者をいう。
(6) 法令等 機構規程第1条に定める法律,輸出貿易管理令(昭和24年政令第378号),遺伝子組換え生物等の使用等の規制による生物の多様性の確保に関する法律(平成15年法律第97号)等をいう。
第2章 安全管理体制
(総長の責務)
第3条 総長は,本学における研究用微生物等の安全管理に関する事務を総括する。
(部局の長の責務)
第4条 部局の長は,当該部局における研究用微生物等の安全管理に関する事務を処理する。
(職員等の責務)
第5条 職員等は,管理区域において微生物等を取り扱うときは,この規程に定める方法に従うものとし,法令等及び本学の諸規程に定める事項を遵守しなければならない。
(委員会)
第6条 本学における研究用微生物等の安全管理に関する事項は,名古屋大学バイオセーフティ委員会(以下「委員会」という。)において審議する。
(危害防止主任者)
第7条 総長は,各指定実験室ごとに,第10条第2項の規定により承認を得た職員等のうちから,研究用微生物等の安全管理を行う危害防止主任者(以下「危害防止主任者」という。)を指名する。
2 危害防止主任者は,この規程及び第9条第2項に規定する微生物管理区域安全運営要領に定める業務を行うとともに,当該指定実験室の業務の調整及び統括について責任を負うものとする。
(微生物等のBSL及びABSLの分類)
第8条 微生物等の危険性のレベル(以下「BSL及びABSL」という。)を分類する基準は,別冊のとおりとする。
2 微生物等のBSL及びABSLの分類は,別冊に定める基準に基づいて行うものとする。
3 総長は,微生物等のBSL及びABSLの分類が第1項の基準によることが適切でないと認めた場合は,前項の規定にかかわらず実験の方法及び用いる微生物等の量により当該微生物等のBSL及びABSLの分類基準を別に定めることができる。
(実験室の安全設備及び運営に関する基準等)
第9条 微生物等を用いる実験室は,用いる微生物等のBSL及びABSLの分類に応じ,別表1の付表2及び付表3並びに別表2に定める基準に従って必要な設備を備え,運営するものとする。
2 総長は,前項に定める基準のほか,管理区域の運営に関し必要な事項について微生物管理区域安全運営要領(以下「運営要領」という。)を別に定めるものとする。
(微生物等の取扱い)
第10条 職員等は,別冊に定めるBSL2及びABSL2の微生物等を新たに用いて実験しようとするとき又は新たに保管しようとするときは,微生物等利用・保管届(別記様式第1号)により,あらかじめ所属部局の長を経由して,委員会に届け出なければならない。ただし,既に届け出た菌種の微生物等については,病原性に大きな違いがない場合は,新たな届出は不要とする。
2 職員等は,別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等を新たに用いて実験しようとするとき若しくは新たに保管しようとするとき又は別の機関へ供与しようとするときは,微生物等利用・保管申請書(別記様式第2号)又は微生物等供与申請書(別記様式第3号)により,あらかじめ所属部局の長を経由して,委員会に申請し,承認を受けなければならない。
3 前項の申請事項について変更の必要が生じた場合は,新たに微生物等利用・保管申請書又は微生物等供与申請書により,所属部局の長を経由して,委員会に申請し,承認を受けなければならない。
4 別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等を破棄したときは,微生物等廃棄届(別記様式第4号)により,所属部局の長を経由して,委員会に届け出なければならない。
(承認)
第11条 委員会は,前条第2項及び第3項の申請があったときは,当該申請の実施について承認を与えるか否かの決定を行うものとする。
2 委員会は,当該申請の内容の一部を変更して承認することができる。
(通知)
第12条 委員会は,前条の決定を行ったときは,速やかに申請のあった部局の長を経由して,当該申請者にその旨を通知するものとする。
(病原性の微生物等の運搬)
第13条 病原性の微生物等を運搬する場合は,法令等,厚生労働省令等において定める運搬の基準に従い,当該微生物等の散逸を防止できる専用の容器,包装及び外装により,これを実施しなければならない。
(指定実験室の表示)
第14条 管理区域の出入口には,厚生労働大臣が指定する国際バイオハザード標識(以下「バイオハザード標識」という。)を表示しなければならない。
2 各指定実験室の出入口には,別に定めるバイオハザード標識に必要な事項を記載し,これを表示しなければならない。
(BSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等を用いる職員等)
第15条 指定実験室において別冊に定めるBSL3及びABSL3及びBSL4,ABSL4の微生物等を用いる職員等は,次の各号のいずれにも該当する者でなければならない。
(1) 用いる微生物等の病原性,起こり得る汚染の範囲及び安全な取扱方法,指定実験室の構造及び使用方法,事故及び災害の発生時における措置等について,十分な知識を有し,かつ,技術的修練を経ている者
(2) 第20条に規定する定期の健康診断を受け,異常の認められなかった者
(微生物等の処理)
第16条 別冊に定めるBSL1及びABSL1並びにBSL2及びABSL2の微生物等(これらに汚染された可能性があるものを含む。次項において同じ。)は,当該微生物等に最も有効な消毒滅菌方法により処理しなければならない。
2 別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等は,第10条第2項の承認に係る消毒滅菌方法により処理しなければならない。
(ばく露及びその対応)
第17条 次の各号に掲げる場合は,これをばく露として取り扱う。
(1) 外傷,吸入その他の事由により別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等が人体の内部に入った可能性がある場合
(2) 職員等が第20条又は第21条による健康診断の結果,別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の実験に用いた微生物等による健康障害と認められた場合並びに同表に定めるBSL2及びABSL2の微生物等を用いた実験にあっても,当該実験に用いた微生物等による健康障害であることがばく露直後の報告等により明確に特定できる場合
(3) 別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等により管理区域内が広範に汚染された場合又は当該微生物等に感染した動物の逸走により学内が広範に汚染された可能性がある場合
(4) 管理区域内の安全設備の機能に重大な欠陥が発見された場合
(5) 第25条第3項に規定する報告があった場合
2 ばく露を発見した者は,直ちに当該部局の長及び危害防止主任者に通報しなければならない。
3 部局の長は,前項の通報を受けたときは,直ちに総長及び委員会に報告するとともに,委員会及び危害防止主任者と協力し,必要な応急措置を講じなければならない。
4 委員会は,前項の報告を受けたときは,必要に応じて当該部局の長及び危害防止主任者と協力し,必要な応急措置を講じなければならない。
5 総長は,第3項の報告を受けたときは,必要な処置を講じるとともに,必要に応じて危険区域を指定することができる。
6 総長は,前項の危険区域の指定を行ったときは,事故及び当該指定の内容を職員等に通知するとともに,当該危険区域への関係者以外の立入りの禁止,機器等の使用制限等必要な措置を講じなければならない。
7 総長は,前2項の措置を講じたときは,委員会,当該部局の長,危害防止主任者その他適当と認める者とともに原因の究明及び再発防止のための対策を講じなければならない。
8 総長は,危険区域の安全性の回復を確認したときは,速やかに当該危険区域を解除し,職員等にその旨を通知しなければならない。
(災害時の応急措置)
第18条 総長は,地震,火災等の災害(以下「災害」という。)による重大な被害が発生し,微生物等の安全管理に関しこの規程及び運営要領に定める措置のみでは十分でないと判断したときは,直ちに緊急対策本部を設置しなければならない。
2 委員会は,前項の緊急対策本部が設置されるまでの間,緊急事態に即応した所要の措置を講じるとともに,緊急事態及び講じた処置の内容等を速やかに総長に報告しなければならない。
3 災害による重大な被害が発生した場合及び大規模地震対策特別措置法(昭和53年法律第73号)第9条第1項に規定する警戒宣言(以下「警戒宣言」という。)が発せられた場合に各指定実験室において講じなければならない処置は,この規程に定めるもののほか,運営要領に定めるところによる。
4 各指定実験室において微生物等を取り扱う職員等は,災害による重大な被害が発生したとき,又は警戒宣言が発せられたときは,直ちに運営要領に定める処置を講じなければならない。
(緊急対策本部の構成等)
第19条 前条第1項の緊急対策本部は,本部長,当該部局の長,委員会委員長その他の委員をもって構成する。
2 緊急対策本部の本部長は,総長をもって充てる。
3 緊急対策本部は,次の各号に掲げる事項について指揮又は処理する。
(1) 微生物等の逸出の防止対策に関すること。
(2) 汚染防止並びに汚染された場所及び物の処置に関すること。
(3) 被汚染者の処置に関すること。
(4) 危険区域の指定に関すること。
(5) 危険区域の安全性調査及び危険区域の解除に関すること。
(6) 広報活動に関すること。
(7) その他緊急事態における微生物等の安全管理に関し必要なこと。
4 緊急対策本部は,微生物等に関する安全性を確認し,緊急事態が解消したときに,解散する。
第3章 健康管理
(健康診断)
第20条 総長は,取り扱う微生物等が人体に病原性があるとされている場合には,委員会の判断に基づき,必要に応じて,管理区域で業務に従事する職員等に対し,次の各号に掲げる事項の健康診断を実施し,当該職員等に受診させなければならない。
(1) 取り扱う特定の微生物等に対する検査等
(2) 取り扱う微生物等により発症するおそれのある症状の臨床的診断
(臨時健康診断)
第21条 総長は,必要と認める場合には,臨時の健康診断を実施し,職員等に受診させなければならない。
(健康診断の記録)
第22条 総長は,健康診断の結果,健康管理上必要と認められる事項について,職員等ごとに記録を作成しなければならない。
2 前項の記録は,職員等の異動又は退職の後,原則として,10年間保存しなければならない。ただし,取り扱った微生物等の潜伏期間が短いものについては,この限りでない。
(健康診断後の措置)
第23条 総長は,健康診断の結果,職員等に別冊に定めるBSL2及びABSL2からBSL4及びABSL4までの微生物等による感染が疑われる場合には,直ちに安全確保のために必要な措置を講じなければならない。
(血清の保存)
第24条 総長は,特定の微生物等を取り扱う職員等の健康管理のため,血清の保存に関し必要な事項を別に定めるものとする。
(病気等の報告等)
第25条 別冊に定めるBSL3及びABSL3並びにBSL4及びABSL4の微生物等を取り扱う職員等は,自己に当該微生物等による感染が疑われる場合は,直ちに所属部局の長及び危害防止主任者にその旨を報告しなければならない。
2 部局の長は,前項の報告を受けたときは,直ちに当該職員等の感染の有無について検査しなければならない。
3 部局の長は,第1項の報告を受けた場合において,前項の検査の結果,当該職員等が微生物等に感染したと認められるとき,又は医学的に不明瞭であるときは,直ちに総長に報告しなければならない。
第4章 雑則
(雑則)
第26条 この規程に定めるもののほか,研究用微生物等の安全管理に関し必要な事項は,委員会の議を経て,別に定める。
2 医学部附属病院の微生物検査施設における微生物等の安全管理に関する実施要領については,別に定める。
3 医学系研究科の病理解剖室等における病原微生物等に関する安全管理及び医学附属病院における病院内感染対策等の取扱いについては,別に定める。
附 則
1 この規程は,平成20年3月24日から施行する。
2 名古屋大学研究用微生物安全管理要項(平成16年度要項第7号)は,廃止する。
附 則(平成25年5月13日規程第5号)
この規程は,平成25年5月13日から施行する。
附 則(平成27年9月15日規程第52号)
この規程は,平成27年9月15日から施行する。
附 則(令和2年4月1日名大規程第36号)
この規程は,令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和3年3月31日名大規程第155号)
この規程は,令和3年3月31日から施行する。
附 則(令和6年3月26日名大規程第67号)
この規程は,令和6年3月26日から施行する。
別表第1(第9条関係)

別表第2(第9条関係)

別記様式第1号(第10条第1項関係)
微生物等利用・保管届

別記様式第2号(第10条第2項関係)
微生物等利用・保管申請書

別記様式第3号(第10条第2項関係)
微生物等供与申請書

別記様式第4号(第10条第4項関係)
微生物等廃棄届