○北陸先端科学技術大学院大学における人を対象とする研究の実施に関する規則
(平成19年10月18日北院大規則第74号)
改正
平成21年4月1日施行
平成24年4月1日施行
平成25年4月1日施行
平成27年4月1日施行
平成29年5月30日施行
平成31年4月26日規則第15号
令和3年9月17日規則第72号
令和6年4月1日規則第38号
令和7年2月18日規則第3号
(趣旨)
第1条 この規則は、北陸先端科学技術大学院大学(以下「本学」という。)における人を対象とする研究の適正な実施に必要な事項を定めるものとする。
(法令との関係)
第2条 人を対象とする研究は、この規則に定めるもののほか、ヘルシンキ宣言及び人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針(令和3年文部科学省・厚生労働省・経済産業省告示第1号)(以下「関係告示等」という。)の趣旨に沿って人間の尊厳及び人権を尊重し、社会の理解と協力を得て適正な実施を図るものとする。
(定義)
第3条 この規則において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 人を対象とする研究 人を対象として実施する生命科学・医学系研究及び人から取得した試料・情報を用いる研究であって、臨床上の医療及び治療行為以外のものをいう。
(2) 侵襲 研究目的として行われる、穿刺、切開、薬物投与、放射線照射、心的外傷に触れる質問等によって、研究対象者の身体又は精神に傷害又は負担が生じることをいう。
(3) 試料 血液、体液、組織、細胞、排泄物及びこれらから抽出したDNA等、人の体から取得されたものであって人を対象とする研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。
(4) 研究に用いられる情報 研究対象者の診断及び治療を通じて得られた傷病名、投薬内容、検査又は測定の結果等、人の健康に関する情報その他の情報であって人を対象とする研究に用いられるもの(死者に係るものを含む。)をいう。
(5) 多機関共同研究 一の研究計画書に基づき複数の研究機関において実施される研究をいう。
(6) 研究者等 研究責任者その他の人を対象とする研究に携わる関係者をいう。
(7) 研究責任者 本学において、人を対象とする研究を遂行するとともに、その人を対象とする研究に係る業務を統括する者をいう。
(8) 研究代表者 多機関共同研究を実施する場合に、複数の研究機関の研究責任者を代表する研究責任者をいう。
(9) 研究対象者 次のいずれかに該当する者(死者を含む。)をいう。
イ 研究を実施される者(研究を実施されることを求められた者を含む。)
ロ 研究に用いられることとなる既存試料・情報を取得された者
(10) 研究対象者等 研究対象者に加えて、代諾者等を含めたものをいう。
(11) インフォームド・コンセント 研究の実施又は継続(試料・情報の取扱いを含む。)に関する研究対象者等の同意であって、当該研究の目的及び意義並びに方法、研究対象者に生じる負担、予測される結果(リスク及び利益を含む。)等について研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者から十分な説明を受け、それらを理解した上で自由意思に基づいてなされるものをいう。
(12) 適切な同意 試料・情報の取得及び利用(提供を含む。)に関する研究対象者等の同意であって、研究対象者等がその同意について判断するために必要な事項が合理的かつ適切な方法によって明示された上でなされたもの(このうち個人情報等については、個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第57号。以下「個人情報保護法」という。)における本人の同意を満たすもの)をいう。
(13) 代諾者 生存する研究対象者の意思及び利益を代弁できると考えられる者であって、当該研究対象者がインフォームド・コンセント又は適切な同意を与えることができる能力を欠くと客観的に判断される場合に、当該研究対象者の代わりに、研究者等又は既存試料・情報の提供のみを行う者に対してインフォームド・コンセント又は適切な同意を与えることができる者をいう。
(14) 代諾者等 代諾者に加えて、研究対象者が死者である場合にインフォームド・コンセント又は適切な同意を与えることができる者を含めたものをいう。
(15) 試料・情報 人体から取得された試料及び人を対象とする研究に用いられる情報をいう。
(16) 既存資料・情報 試料・情報のうち、次のいずれかに該当するものをいう。
イ 研究計画書が作成されるまでに既に存在する試料・情報
ロ 研究計画書の作成以降に取得された試料・情報であって、取得の時点においては当該研究計画書の研究に用いられることを目的としていなかったもの
(17) 個人情報 個人情報保護法第2条第1項に規定する個人情報をいう。
(18) 仮名加工情報 個人情報保護法第2条第5項に規定する仮名加工情報をいう。
(19) 匿名加工情報 個人情報保護法第2条第6項に規定する匿名加工情報をいう。
(20) 個人関連情報 個人情報保護法第2条第7項に規定する個人関連情報をいう。
(21) 個人情報等 個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報及び個人関連情報をいう。
(ライフサイエンス委員会)
第4条 人を対象とする研究の倫理審査その他適正な実施に関する事項は、北陸先端科学技術大学院大学ライフサイエンス委員会(以下「委員会」という。)において審議するものとする。
(研究計画)
第5条 研究責任者は、人を対象とする研究を実施しようとするときは、人を対象とする研究計画書(別紙様式1)を学長に提出し、その承認を得なければならない。ただし、人を対象とする生命科学・医学系研究のうち、他の機関との共同によらずに単独で行う医学系研究(個人の健康に関する情報を用いた疫学的手法による研究及び質的研究を除く。次条において同じ。)及びヒトゲノム・遺伝子解析研究については、別に定めるところに基づき、実施するものとする。
2 研究責任者は、前項によって承認を受けた研究計画を変更しようとするときは、人を対象とする研究計画変更申請書(別紙様式2)を学長に提出し、その承認を得なければならない。
3 学長は、前2項の申請があったときは、当該研究計画の倫理審査並びに関係告示等及び学内規則等との適合性その他必要な事項について委員会に諮問し、その審査結果を尊重して実施の可否の判定を行うものとする。
4 学長は、前項の判定を行ったときは、速やかにその旨を研究責任者に通知するものとする。
(多機関共同研究)
第6条 多機関共同研究を実施しようとする場合は、各共同研究機関の研究責任者の役割及び責任を明確にした上で一の研究計画書を作成し、原則として、研究代表者の所属機関に設置された倫理審査委員会において当該研究の承認を受けなければならない。ただし、実施しようとする研究が医学系研究又はヒトゲノム・遺伝子解析研究の場合は、本学以外の共同研究機関に設置された倫理審査委員会において承認を受けなければならない。
2 前項により研究を実施しようとする研究責任者は、研究代表者の所属機関における倫理審査委員会に審査を依頼することについて事前に学長に申し出を行った上で、人を対象とする研究計画書(別紙様式1)に当該機関の倫理審査委員会による承認を受けたことがわかる資料を添えて委員会委員長(以下「委員長」という。)を通じて学長に報告し、本学における当該研究の実施について許可を得なければならない。
3 学長は、前項の報告があったときは、提出があった研究計画書等により、当該研究計画の実施の可否の判定を行い、速やかにその旨を研究責任者に通知するものとする。
4 学長は、前項の判定において、必要な場合は委員会に諮問し、その審査結果を尊重して実施の可否の判定を行うものとする。
5 研究責任者は、多機関共同研究(医学系研究又はヒトゲノム・遺伝子解析研究を除く。)について第1項の規定によらず本学の委員会の審査を求めるときは、第5条の規定を準用する。
(報告)
第7条 研究責任者は、当該研究の終了後遅滞なく当該研究の結果について人を対象とする研究終了報告書(別紙様式3)を学長に提出しなければならない。
2 研究責任者は、研究期間が数年にわたる場合には、毎年4月末までに人を対象とする研究実施状況報告書(別紙様式4)を学長に提出しなければならない。
3 研究責任者は、研究対象者に危険又は不利益が生じた場合は、直ちに学長に報告しなければならない。
4 学長は、前3項の報告があったときは、当該報告の内容について委員会に諮問し、研究計画の変更その他当該研究に関し必要な事項を決定するものとする。
(インフォームド・コンセント等)
第8条 研究者等は、人を対象とする研究を実施しようとするとき又は既存試料・情報を提供しようとするときは、あらかじめ研究対象者からインフォームド・コンセントを受けることを原則とする。
2 研究対象者からインフォームド・コンセントを受ける場合は、次に掲げる方法によるものとする。ただし、関係告示等においてインフォームド・コンセントを省略する手続が定められている場合又は法令の規定により既存試料・情報を提供する場合若しくは既存試料・情報の提供を受ける場合については、この限りでない。
(1) 文書により説明し文書により同意を受ける方法
(2) 前号の方法によりがたい場合は、研究対象者に対する説明の内容及び研究対象者から受けた同意に関する記録を作成する方法
3 研究者等は、次に掲げる全ての事項に配慮した上で、前項第1号に定める文書によるインフォームド・コンセントに代えて、電磁的方法によるインフォームド・コンセントを受けることができる。
(1) 研究対象者等に対し、本人確認を適切に行うこと。
(2) 研究対象者等が説明内容に関する質問をする機会を確保し、かつ、当該質問に十分に答えること。
(3) インフォームド・コンセントを受けた後も説明事項を含めた同意事項を容易に閲覧できるようにし、特に研究対象者等が求める場合には文書を交付すること。
(個人情報等の保護)
第9条 研究に関する個人情報等は、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学個人情報管理規則に基づき取り扱うものとする。
(試料・情報等の保存)
第10条 研究責任者は、人を対象とする研究に関して人体から取得された試料並びに人を対象とする研究に用いられる情報及び当該情報に係る資料を保存する場合には、個人情報の漏えい、混交、盗難又は紛失等が起こらないよう適切に、かつ、研究結果の確認に資するよう整然と管理しなければならない。
(既存試料・情報の提供)
第11条 研究者等は、他の研究機関に対して既存試料・情報の提供のみを行おうとする場合は、他の研究機関への既存試料・情報の提供に関する申請書(別紙様式5)を学長に提出し、その承認を受けなければならない。
2 学長は、前項の申請があったときは、当該申請の倫理審査並びに関係告示等及び学内規則等との適合性その他必要な事項について委員会に諮問し、その審査結果を尊重して実施の可否の判定を行うものとする。
3 学長は、前項の判定を行ったときは、速やかにその旨を申請者に通知するものとする。
4 研究者等は、他の研究機関に対して既存試料・情報の提供のみを行おうとする場合は、提供時までに研究対象者から既存試料・情報の提供に係る同意を受け、及び当該同意に関する記録を作成することを原則とする。
(試料・情報の提供に関する記録)
第12条 研究者等は、研究に関する試料・情報を他の研究機関へ提供しようとする場合は、別表に掲げる記録項目を記載した当該試料・情報の提供に関する記録を作成しなければならない。
2 研究責任者は、研究に関する試料・情報を他の研究機関へ提供しようとする場合は、他の研究機関への試料・情報の提供に関する記録(別紙様式6)を作成し、提供先の機関へ提出するものとする。ただし、提供先の機関において、別途定められた様式がある場合は、当該様式を使用することができる。
3 第1項に規定する試料・情報の提供に関する記録は、他の研究機関への試料・情報の提供に関する記録(別紙様式6)により作成及び保管することができるほか、別表に掲げる書類等をもって代用することができる。
4 研究責任者は、前項により研究者等が作成した記録を当該試料・情報の提供をした日から3年を経過した日までの期間保管しなければならない。
5 前各項に規定する試料・情報の提供に関する記録の作成及び保管について、提供先の研究機関が当該記録を保管することにより、本学における当該記録の作成及び保管を代行して実施することができる。
6 研究者等は、他の機関から研究に用いる試料・情報の提供を受ける場合は、当該試料・情報の提供を行う者によって適切な手続等がとられていること等を確認するとともに、別表に掲げる記録項目を含む当該試料・情報の提供に関する記録を作成しなければならない。
7 研究責任者は、他の機関から試料・情報の提供を受けようとする場合は、提供元の機関に対し、他の機関からの試料・情報の提供に関する記録(別紙様式7)の作成を求め、学長に提出するものとする。ただし、提供元の機関において、別途定められた様式がある場合は、当該様式を使用することができる。
8 第6項に規定する試料・情報の提供に関する記録は、他の機関からの試料・情報の提供に関する記録(別紙様式7)により作成及び保管することができるほか、別表に掲げる書類等をもって代用することができる。
9 研究責任者は、前項により研究者等が作成した記録を当該研究の終了について報告された日から5年を経過した日までの期間保管しなければならない。
10 第6項から前項までに規定する試料・情報の提供に関する記録の作成及び保管について、提供元の機関が当該記録を保管することにより、本学における当該記録の作成及び保管を代行して実施することができる。
(研究結果の公表)
第13条 研究者等は、人を対象とする研究の結果を公表するときは、個々の研究対象者を特定できないようにしなければならない。
(教育・研修)
第14条 研究者等は、人を対象とする研究の実施に先立ち、人を対象とする研究に関する倫理並びに当該研究の実施に必要な知識及び技術に関する教育・研修を受けなければならない。また、研究期間中も適宜継続して、教育・研修を受けなければならない。
(利益相反の管理)
第15条 研究者等は、人を対象とする生命科学・医学系研究を実施しようとする場合は、個人の収益等、当該研究に係る利益相反に関する状況について、その状況を研究責任者に報告するとともに、国立大学法人北陸先端科学技術大学院大学における利益相反マネジメントに関する規則の定めるところにより利益相反に関する申告を行わなければならない。
2 研究責任者は、前項の場合において、人を対象とする研究計画書(別紙様式1)に利益相反の状況について記載しなければならない。
3 研究者等は、前項の規定により人を対象とする研究計画書(別紙様式1)に記載された利益相反に関する状況を、インフォームド・コンセントを受ける手続において研究対象者等に説明しなければならない。
(事務)
第16条 人を対象とする研究に関する事務は、研究推進課において処理する。
(雑則)
第17条 この規則に定めるもののほか、人を対象とする研究の実施に関し必要な事項は、委員会の議を経て、学長が別に定める。
附 則
この規則は、平成19年10月18日から施行する。
附 則(平成21年4月1日施行)
この規則は、平成21年4月1日から施行する。
附 則(平成24年4月1日施行)
この規則は、平成24年4月1日から施行する。
附 則(平成25年4月1日施行)
この規則は、平成25年4月1日から施行する。
附 則(平成27年4月1日施行)
この規則は、平成27年4月1日から施行する。
附 則(平成29年5月30日施行)
この規則は、平成29年5月30日から施行する。
附 則(平成31年4月26日規則第15号)
この規則は、平成31年4月26日から施行する。
附 則(令和3年9月17日規則第72号)
この規則は、令和3年9月17日から施行する。
附 則(令和6年4月1日規則第38号)
この規則は、令和6年4月1日から施行する。
附 則(令和7年2月18日規則第3号)
この規則は、令和7年2月18日から施行する。
別表(第12条関係)
 記録項目別に作成される書類等をもって代用する方法
研究に関する試料・情報を他の研究機関へ提供しようとする場合一 提供先の研究機関の名称等
二 提供先の研究機関の研究責任者の氏名
三 試料・情報の項目
(1) 必要事項が記載された「研究計画書」を保管する。
(2) (既存試料・情報の提供のみを行う場合)「他の研究機関への既存試料・情報の提供に関する申請書(別紙様式5)」を保管する。
(3) 必要事項が記載された「提供に関する契約書(MTA(material transfer agreement)、DTA(data transfer agreement)等)」を保管する。
四 研究対象者等の氏名等
五 研究対象者等の同意を受けている旨
(1) (文書によりインフォームド・コンセントを受けた場合)「同意文書」を保管する。
(2) (適切な同意を受けた場合であって、研究対象者ごとに同意の内容に関する記録を作成した場合)当該記録を保管する。
他の機関から試料・情報の提供を受けようとする場合一 提供元の機関の名称等
二 提供元の機関の研究責任者の氏名等
三 試料・情報の項目
四 試料・情報の取得の経緯
(1) 必要事項が記載された「研究計画書」を保管する。
(2) 必要事項が記載された「提供に関する契約書(MTA(material transfer agreement)、DTA(data transfer agreement)等)」を保管する。
五 研究対象者等の氏名等
六 研究対象者等の同意を受けている旨
(本学において、特定の個人を識別できない試料・情報の提供を受ける場合、上記2項目の記入不要)
(1) 「提供を受けた試料・情報そのもの」を保管する。
(2) (同意文書(原本又は写し)の提供を受ける場合)「同意文書」を保管する。
別紙様式1(第5条、第6条、第15条関係)
人を対象とする研究計画書

別紙様式2(第5条関係)
人を対象とする研究計画変更申請書

別紙様式3(第7条関係)
人を対象とする研究終了報告書

別紙様式4(第7条関係)
人を対象とする研究実施状況報告書

別紙様式5(第11条関係)
他の研究機関への既存試料・情報の提供に関する申請書

別紙様式6(第12条関係)
他の研究機関への試料・情報の提供に関する記録

別紙様式7(第12条関係)
他の機関からの試料・情報の提供に関する記録