○岐阜大学病原体等安全管理規程
(平成21年4月1日規程第27号) |
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(目的)
第1条 東海国立大学機構病原体等安全管理規程(令和2年度機構規程第75号)第2条第2項の規定に基づき,岐阜大学(以下「本学」という。)において取扱う病原体等の安全管理に関し必要な事項はこの規程の定めるところによる。
2 この規程は,感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号。以下「感染症法」という。)に基づく,二種病原体等許可所持者が作成し厚生労働大臣に届出る感染症発生予防規程を含むものとする。
3 この規程は,家畜伝染病予防法(昭和26年法律第166号。以下「家伝法」という。)に基づく,家畜伝染病病原体許可所持者が作成し農林水産大臣に届出る家畜伝染病発生予防規程を含むものとする。
(定義)
第2条 この規程における用語の定義は,次のとおりとする。
(1) 「部局等」とは,学部,学環,研究科,高等研究院,糖鎖生命コア研究所及び医学部附属病院をいう。
(2) 「部局等の長」とは,前号に規定する部局等の長をいう。
(3) 「病原体等」とは,ウイルス,細菌,真菌,寄生虫,プリオン及びこれらの微生物の産生する毒素並びに同様の構造を有する人工物で,人体又は動物に危害を及ぼす要因となるものをいう。
(4) 「特定病原体等」とは,感染症法で規定する特定一種病原体等,二種病原体等,三種病原体等及び四種病原体等をいう。
(5) 「監視伝染病病原体」とは,家伝法で規定する家畜伝染病病原体及び届出伝染病等病原体をいう。
(6) 「家畜伝染病病原体」とは,家伝法で規定する重点管理家畜伝染病病原体及び要管理家畜伝染病病原体をいう。
(7) 「安全管理」とは,病原体等への曝露等を予防すること(バイオセーフティ)及びに病原体等の紛失,盗難,濫用・悪用等を防止すること(バイオセキュリティ)をいう。
(8) 「職員等」とは,本学に勤務する教職員及び学生で本学において病原体等を取扱う者,管理区域へ立ち入る者,その他病原体等に係わる業務等に従事する者をいう。
(9) 「病原体等取扱者」とは,病原体等を研究,教育,診療の目的で取扱う者をいう。
(10) 「病原体等取扱責任者」とは,病原体等取扱者のうち,病原体等取扱実験又は検査の実施に関する業務を統括する者をいう。
(11) 「病原体等取扱主任者」とは,感染症法及び家伝法が定める本学における病原体等の安全を管理する者をいう。
(12) 「病原体等安全管理区域」(以下「管理区域」という。)とは,病原体等取扱実験室,病原体等取扱検査室及びその他病原体等の安全管理に必要な区域をいう。この場合において,管理区域には,空調及び排水等に関わる設備区域及び病原体等を保管又は滅菌する区域が含まれる。
(13) 「病原体等取扱実験室」とは,別に定める病原体等を取扱う実験室をいう。
(14) 「病原体等取扱検査室」とは,医学部附属病院内の病原体等を取扱う検査室をいう。
(学長の責務)
第3条 学長は,本学における病原体等,特定病原体等及び監視伝染病病原体の安全管理に関する業務を総括する。
2 学長は,特定病原体等所持者及び家畜伝染病病原体所持者として感染症法及び家伝法に基づき,次に掲げる任務を行うとともに,病原体等を取り扱う部局等の長に対し,別に定める「施設の基準」及び「保管等の基準」に準拠した必要な措置を行うものとする。
(1) 特定病原体等及び監視伝染病病原体の所持に係る許可申請及び届出
(2) 病原体等の取扱に係る許可申請及び届出
(3) 安全管理規程の見直し及び届出
(4) 病原体等取扱主任者の任命及び届出
(5) 病原体等取扱者に対する教育訓練の実施
(6) 病原体等の取扱に係る実施状況及び結果の把握
(7) 病原体等の受入れ・払出し及び使用・滅菌等に係る記帳の義務化
(8) 事故発生時(盗取,所在不明等)の「事故届」の届出及び災害時の応急措置
(部局等の長の責務)
第4条 部局等の長は,当該部局等において取扱う病原体等の安全管理に関する業務を掌理する。
(委員会の設置)
第5条 学長は,第3条に規定する事項の適正な実施に関して報告又は助言を行う組織として,岐阜大学病原体等安全管理委員会(以下「管理委員会」という。)を設置する。
[第3条]
2 管理委員会に委員長を置き,特定病原体等及び監視伝染病病原体の病原体等取扱主任者は管理委員会の委員長となる。
3 管理委員会に関し必要な事項は,別に定める。
(病原体等取扱主任者)
第6条 病原体等取扱主任者は,病原体等取扱責任者及び病原体等取扱者に対し,感染症及び家畜伝染病の発生の予防及びまん延の防止について監督し,感染症法第56条の31第1項及び家伝法第51条第2項に定める立ち入り検査等への立会いを行い,感染症法及び家伝法に基づく命令又はこの規程の遵守を促す為の指示を行わなければならない。
(病原体等取扱責任者)
第7条 病原体等取扱責任者は,別表1の付表2,付表3及び付表4に定める病原体等取扱実験室の安全設備及び運営基準を病原体等取扱者に遵守させなければならない。
[別表1]
2 病原体等取扱責任者は,病原体等取扱主任者の指示に従わなければならない。
3 病原体等取扱責任者は,管理区域内で行われる実験及び検査等の業務の調整と統括を行わなければならない。
(病原体等取扱者)
第8条 病原体等取扱者は,取扱う病原体等に関し,その本質,人体及び動物に対する病原性,実験中に起こり得るバイオハザードの範囲及び安全な取扱い方法並びに実験室の構造,使用方法及び事故発生等の緊急時処置等について,十分な知識を有し,かつ技術的修練を積まなければならない。
2 病原体等取扱者は,第19条に定める教育訓練を受講する義務を負い,教育訓練受講前に病原体等を取扱う必要のある場合は,病原体等取扱責任者の監督・指導の下で取扱わなければならない。
[第19条]
(病原体等の取扱いのBSL分類及びABSL分類)
第9条 病原体等の取扱いに関わる基準は,別表1の付表1から4に定める。
[別表1]
2 病原体等のバイオセーフティレベル(以下「BSL」という。)の分類は,別表1に定める基準に基づいて,別に定める。
[別表1]
3 病原体等を用いた動物実験のバイオセーフティレベル(以下「ABSL」という。)の分類は,別表1に定める基準に基づいて,別に定める。
[別表1]
4 学長は,病原体等のBSL分類及びABSL分類を変更する必要が生じた場合,管理委員会に諮り,実験方法及び取扱いの量等により当該病原体等の取扱い分類を別に決定する。
5 本学において,分類の定めのない病原体等のBSL分類及びABSL分類については,管理委員会で審議し決定する。
(特定病原体等及び監視伝染病病原体の分類)
第10条 特定病原体等の分類は,厚生労働省令の定めるところによる。
2 監視伝染病病原体の分類は,農林水産省令の定めるところによる。
(実験室等の安全設備及び運営に関する基準等)
第11条 病原体等を取扱う実験室及び検査室は,別表1の付表2,付表3及び付表4に定める基準に従って必要な設備を備え,運営しなければならない。また,病原体等を用いた動物実験を行う実験室及び検査室は,別表1の付表3及び付表4に定める基準に従って必要な設備を整え,運営しなければならない。
2 特定病原体等の保管,使用,運搬又は滅菌等を行う実験室等については,厚生労働省令に定める施設の基準を満たし,かつ保管等の基準に従って運営しなければならない。
3 監視伝染病病原体の保管,使用,運搬又は滅菌等を行う実験室等については,農林水産省令に定める施設の基準を満たし,かつ保管等の基準に従って運営しなければならない。
4 病原体等取扱責任者は,所轄実験室又は検査室を,病原体等取扱実験室又は検査室として使用する時は,BSL2,3実験室承認申請書(別紙様式第1号)を用い,当該部局等の長を経て学長に申請し承認を得なければならない。
5 病原体等取扱責任者は,管理区域内の施設を一年に一回以上定期点検し,施設基準に適合していることを確認し,これを5年間保管しなければならない。
6 病原体等取扱主任者は,次に掲げる管理区域内の関連機器の,それぞれに規定する事項について一年に一回以上定期的に点検を行い,不都合等あれば交換や修理等の必要な措置を講じることにより,その機能の維持を図るとともに,その結果を記録し,これを五年間保存しなければならない。
(1) BSL3施設 空調,風量,フィルターなど
(2) 安全キャビネット 風速,風量,フィルターなど
(3) 滅菌設備 配管,安全弁,フィルターなど
(4) 保管庫 施錠器具,ドアパッキンなど
7 病原体等取扱責任者は,第3項の病原体等取扱実験室又は検査室としての使用を終了する時は,BSL2,3実験室使用終了届(別紙様式第2号)を用い,当該部局等の長を経て学長に届け出なければならない。
(特定病原体等及び監視伝染病病原体の取扱い,分与及び廃棄手続き)
第12条 本学では特定一種病原体等及び重点管理家畜伝染病病原体の所持及び取扱いはできないものとし,次に掲げる病原体等については,次項から第6項に定める取扱いによるものとする。
(1) 二種病原体等
(2) 三種病原体等
(3) 要管理家畜伝染病病原体
(4) 届出伝染病等病原体
2 病原体等取扱者は,前項に規定する病原体等を新たに保管し,実験を行なおうとする時は,二種・三種病原体等及び監視伝染病病原体取扱承認申請書(別紙様式第3号)を用い,当該部局等の長を経て予め学長に申請し承認を得なければならない。
3 病原体等取扱者は,第1項に規定する病原体等の本学以外の機関への分与(譲渡)については,二種・三種病原体等及び監視伝染病病原体分与(譲渡)承認申請書(別紙様式第4号)を用い,当該部局等の長を経て予め学長に申請し承認を得なければならない。
4 病原体等取扱者は第1項に規定する病原体等を廃棄する時は,病原体等滅菌・廃棄届(別紙様式第7号)を用い,当該部局等の長を経て学長に届け出なければならない。
5 病原体等取扱者は,第2項の申請事項に変更の必要が生じた場合は,新たに申請しなければならない。
6 学長は,前4項に関する承認をした場合,必要に応じて感染症法又は家伝法に基づく手続きを遅滞なく行わなければならない。
(特定病原体等及び監視伝染病病原体以外の病原体等の取扱い,分与及び廃棄手続き)
第13条 本学ではBSL4の病原体等の所持及び取扱いはできないものとする。
2 病原体等取扱者は,BSL3のうち前条第1項に掲げる病原体等以外の病原体等を新たに保管し,実験を行なおうとする時は,BSL3病原体等取扱届(別紙様式第5号)を用い,当該部局等の長を経て学長に届け出なければならない。
3 病原体等取扱者は,BSL3のうち前条第1項に掲げる病原体等以外の病原体等の本学以外の機関への移動(受入)については,BSL3病原体等移動(受入)届(別紙様式第6号)を用い,当該部局等の長を経て学長に届け出なければならない。
4 病原体等取扱者は,BSL3のうち前条第1項に掲げる病原体等以外の病原体等を廃棄する時は,病原体等滅菌・廃棄届(別紙様式第7号)を用い,当該部局等の長を経て学長に届け出なければならない。
5 病原体等取扱者は,第2項の申請事項に変更の必要が生じた場合は,新たに届け出なければならない。
6 BSL2のうち前条第1項に掲げる病原体等以外の病原体等を新たに保管し,実験を行なおうとする時,本学以外の機関への移動(受入)する時及び廃棄する時は,感染症法及び家伝法,その他の関係省令及び関係省庁等が定めるガイドラインに基づいて,適切に行わなければならない。
(病原体等の輸送・運搬の制限等)
第14条 特定病原体等の運搬については,感染症法及び厚生労働省令の規定に基づく運搬の基準,厚生労働省告示で定める特定病原体等の運搬に係る容器等に関する基準及び厚生労働省が定める特定病原体等の安全運搬マニュアルの基準に従うものとする。
2 二種病原体等及び三種病原体等の輸送・運搬に関して,届出対象病原体等の運搬の届出等に関する規則(平成19年3月9日国家公安委員会規則第5号)に従うものとする。
3 監視伝染病病原体の運搬については,家伝法及び農林水産省令の規定に基づく運搬の基準に従うものとする。
4 病原体等の運搬については,特定病原体等の運搬に準拠した三重包装の容器を用いて運搬しなければならない。
5 特定病原体等及び監視伝染病病原体の事業所内の運搬については,外部の不審者等による当該病原体等の奪取等を防止するために,運搬者以外のものが同行し複数のもので運搬しなければならない。また,当該病原体等の漏洩等による汚染及び感染防止のために,二重包装の容器を用いて運搬しなければならない。ただし,廊下を挟んで向かい側に運搬する等非常に隣接する場所に持ち込む場合は,必ずしも複数で運搬する必要はない。
(管理区域の表示)
第15条 管理区域の出入口には,法令で定める国際バイオハザード標識(以下「バイオハザード標識」という。)(別紙様式第8号)を表示しなければならない。
2 病原体等取扱実験室及び検査室の出入口には,バイオハザード標識を表示しなければならない。
3 特定病原体等及び監視伝染病病原体の保管施設の出入口及び保管庫にはバイオハザード標識を表示しなければならない。
(取扱い病原体等の滅菌等の処置)
第16条 特定病原体等及びこれらに汚染されたと思われる物品及び廃水の廃棄にあたっては,厚生労働省令の規定に基づく方法に従い処置しなければならない。
2 監視伝染病病原体及びこれらに汚染されたと思われる物品及び排水の廃棄にあたっては,農林水産省令の規定に基づく方法に従い処置しなければならない。
3 病原体等(これらに汚染されたと思われる物を含む。次項においても同じ。)の廃棄にあたっては,参考資料内表を参考に,前2項に準拠した方法に従い処置しなければならない。
4 二種病原体等及び家畜伝染病病原体について,所持を要しなくなった場合等においては,直ちに当該部局等の長を経て学長に届出のうえ,感染症法又は家伝法に基づく所定の届出(滅菌等の届出)を行ったうえで滅菌等を実施しなければならない。
5 三種病原体等及び届出伝染病病原体について,所持を要しなくなった場合等においては,直ちに当該部局等の長を経て学長に届出のうえ,滅菌等を実施し感染症法又は家伝法に基づく所定の届出(不所持の届出)を行わなければならない。
6 四種病原体等について,所持を要しなくなった場合等においては,直ちに当該部局等の長を経て学長に届出のうえ,滅菌等を実施しなければならない。
(記帳)
第17条 学長は,二種病原体等及び三種病原体等又は家畜伝染病病原体及び届出伝染病等病原体について保管,使用及び滅菌等に関する事項の帳簿を整え,実験室の入退室等,施設の点検,教育訓練の実施等の事項について記帳させ,それを5年間保存しなければならない。
(情報管理)
第18条 職員等は,特定病原体等及び監視伝染病病原体に係る情報をコンピュータ又はメモリーフラッシュカード等の電子媒体で管理する場合は,セキュリティ機能を有したものを使用し,当該情報の漏えい防止に留意しなければならない。
2 職員等は,前条に規定する帳簿その他特定病原体等及び監視伝染病病原体に係る書類及び前項に規定する電子媒体は,施錠のできる書庫等に保管し,厳重にこれを管理しなければならない。
(教育訓練)
第19条 学長は,病原体等取扱責任者及び病原体等取扱者を対象として,病原体等の安全管理に必要な知識及び技術の向上をはかり,さらに安全管理には社会的責任を伴うことを周知させるために,別に定める教育訓練を年1回以上開催しなければならない。
(曝露と対応)
第20条 次に掲げる場合は,これを曝露として取扱うものとする。
(1) 外傷,吸入,粘膜曝露等により,病原体等が教職員等の体内に入った可能性がある場合
(2) 実験室内の安全設備の機能に重大な異常が発見された場合
(3) 病原体等により,実験室内が広範に汚染された場合
(4) 教職員等の健康診断の結果,管理区域内で取扱う病原体等によると疑われる異常が認められた場合
2 前項第1号の曝露があった場合は,速やかに次の各号の措置を講じなければならない。
(1) 直ちに実験を中止し,病原体等は周囲を汚染しないよう安全キャビネット内に置くか,消毒槽に入れるとともに,曝露者本人の汚染を除去するため,次の初動措置を行う。
イ 速やかに70%アルコール等の適切な消毒剤の噴霧等により体表面,衣類の消毒を行う。
ロ 針刺し,怪我,咬傷等明らかな皮膚障害がある場合は,できるだけ速やかに血液を絞り出すようにし,大量の流水(あるいは滅菌生食水)で曝露部位を洗浄するとともに,10%ポピドンヨード溶液等の適切な消毒剤で消毒を行う。
(2) 曝露者は,実験室内の電話等により,病原体等取扱主任者,病原体等取扱責任者又は最寄りの教職員等に,事故の発生,原因及び取り扱った病原体等を速やかに連絡すること。連絡を受けた病原体等取扱責任者又は教職員等は速やかに病原体等取扱主任者及び部局等の長に報告し,病原体等取扱主任者は直ちに学長に報告する。
(3) 学長は,必要がある場合は,曝露者及びその曝露者に接触し感染したおそれのある者に対して医師の診断・治療を受けさせること,又は指定医療機関等へ搬送することなど指示を与えなければならない。なお,搬送する場合,必要に応じ曝露者には拡散防止のため防護服を着用させ,曝露者等を搬送する者及び同行者は事前にマスクや手袋等の個人曝露防止器具を装着することができる。
3 第1項第2号又は第3号の曝露があった場合は,必要に応じて前項の措置を講じるとともに,速やかに次の各号の措置を講じなければならない。
(1) 病原体等取扱主任者等は,直ちに管理区域内の職員等を管理区域外へ退去させるとともに,汚染区域の給排気系を閉じ,同区域を密閉しなければならない。
(2) 病原体等取扱主任者等は,取り扱っていた病原体等に対する適切な消毒剤を用いて管理区域の消毒を実施するとともに,実験室内の安全設備の機能に重大な異常のある場合には,設備の補修等を実施すること。なお,作業を行う場合は防護具の着用,曝露時間の短縮等により,曝露をできるかぎり少なくする措置を執ること。
(3) 病原体等取扱主任者が管理区域の設備が正常に作動することを確認するまで実験を再開してはならない。
4 第1項第四号の曝露があった場合は,病原体等取扱主任者は必要に応じて,医師の診断,治療を受けさせるように指示し,学長に報告しなければならない。
(事故と対応)
第21条 病原体等の盗取,所在不明等その他の事故を発見した者は,遅滞なく当該部局等の長,病原体等取扱主任者及び病原体等取扱責任者に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた病原体等取扱主任者は,直ちに学長及び管理委員会に報告しなければならない。
3 病原体等取扱主任者及び病原体等取扱責任者は,施設の破損等による二次被害を防止するために,該当区域の立入禁止等必要な措置を講じなければならない。
4 病原体等取扱主任者及び病原体等取扱責任者は,事故により病原体等による周辺区域の汚染が考えられる場合は,必要な拡散防止措置を講じなければならない。
5 学長は,第2項の報告を受けたときは,遅滞なく警察署等に届け,警察署等の到着まで,適切な現場の保全に努めなければならない。
6 学長は,前項の措置を講じたときは,委員会並びに当該部局等の長とともに,警察署等の指示に従い,原因の究明及び再発防止のための対策を講じなければならない。
(災害時の応急措置)
第22条 学長は,地震又は火災等による災害が発生し,病原体等の安全管理に関し,この規程の定めによることができないと認めたときは,直ちに緊急対策本部を設置するとともに,次の各号に定める応急措置を講じなければならない。
(1) 火災が起こり,又はこれらに延焼する恐れがある場合には,消火又は延焼の防止に努めるとともに,直ちにその旨を消防署に通報すること。
(2) 感染症及び家畜伝染病の発生を予防し,又はそのまん延を防止する必要がある場合には,病原体等取扱施設内にいる者,病原性輸送物の運搬に従事する者又はこれらの付近にいる者に避難するよう警告すること。
(3) 必要に応じて特定病原体等及び監視伝染病病原体を安全な場所に移すとともに,当該病原体等の周囲には,縄を張り又は標識等を設け,かつ見張り人を付けるなど,関係者以外の者が立ち入らないための措置を講ずるよう努めること。
(4) その他病原体等による感染症及び家畜伝染病の発生を予防するために必要な措置を講ずること。
2 各実験室において病原体等取扱者は,地震又は火災等の災害が発生したとき,又は警戒宣言が発せられたときは,直ちに次の各号に定める緊急時措置を講じなければならない。
(1) 直ちに実験を中止し,病原体等を高濃度消毒槽(2%次亜塩素酸ナトリウム溶液:使用する特定病原体等によっては次亜塩素酸ナトリウム溶液に抵抗がある病原体等もあるので注意すること)に投入殺菌又は高圧滅菌器に密封するとともに,火災の発生にあっては,備え付けの消火器で消火又は延焼防止に当たること。
(2) 直ちに脱出し実験室のドアの閉鎖を確認する。措置を講じた後病原体等取扱主任者へ災害の発生を通報すること。
(3) 通報を受けた病原体等取扱主任者は管理区域内の職員等を退去させるとともに管理区域内の給排気系を閉じ管理区域を密閉すること。
(4) 必要に応じて特定病原体等及び監視伝染病病原体を安全な場所に移すとともに,縄を張り又は標識等を設け,かつ見張り人を付けるなど,関係者以外の者が立ち入らないための措置を講ずるよう努めること。
3 前2項各号に掲げる緊急作業を行う場合には,防護服を装着すること,病原体等に曝露する時間を短くすること等により,緊急作業に従事する者の病原体等の曝露をできるかぎり少なくすること。
4 病原体等取扱主任者が,管理区域の設備が正常に作動することを確認するまで再開してはならない
(定期の健康診断及びワクチン接種)
第23条 学長は,職員等の健康管理について一年に二回の健康診断を実施し,病原体等を取扱う職員等はこれを受診しなければならない。
2 学長は,病原体等を取扱う職員等のうち,必要に応じ,ワクチン接種等の措置を行うものとする。
(臨時の健康診断)
第24条 学長は,必要と認める場合には,職員等に対して臨時の健康診断を受けさせなければならない。
(健康診断の記録)
第25条 学長は,健康診断の結果,健康管理上必要と認められる事項について,職員等ごとに記録を作成しなければならない。
2 前項の記録は,職員等の離職又は卒業若しくは退学後5年間,これを保存しなければならない。
(健康診断後の措置)
第26条 学長は,健康診断の結果,職員等に管理区域内の病原体等による感染が疑われるときは,直ちにワクチン接種等必要な措置を講ずるものとする。
(血清の保存)
第26条の2 学長は,BSL3の病原体等を取扱う病原体等取扱者に対して,実験開始前に血清を採取し,10年間これを保存しなければならない。
2 前項の場合において,3年を超えて実験を継続する病原体等取扱者については,3年ごとに血清を採取し,10年間これを保存するものとする。
(病気等の届出等)
第27条 BSL2及びBSL3の病原体等を取扱う職員等は,第20条第1項に該当しない場合においても,当該病原体等による感染が疑われる場合は,直ちに病原体等取扱責任者にその旨を届け出なければならない。
[第20条第1項]
2 前項の届け出を受けた病原体等取扱責任者は,直ちに当該部局等の長を経て病原体等取扱主任者に届け出るとともに,その指示に従って,直ちに当該病原体等による感染の有無について詳細な調査をしなければならない。
3 病原体等取扱主任者は,前項の調査の結果,当該病原体等に感染したと認められる場合又は医学的に不明瞭である場合は,直ちに学長に報告しなければならない。
4 学長は前項の報告を受けた場合,直ちにワクチン接種等適切な措置を講じなければならない。
(職務遂行上の遵守義務)
第28条 職員等のうち,特定病原体等の取扱い施設に立入る者は,感染症法の規定に基づき病原体等取扱責任者の指示に従わなければならない。
2 職員等のうち,監視伝染病病原体の取扱い施設に立入る者は,家伝法の規定に基づき病原体取扱責任者の指示に従わなければならない。
3 職員等は,この規程に反する重大な事項に気づいた場合は,管理委員会に報告しなければならない。
(その他の関係法令の遵守義務)
第29条 感染症法及び家伝法の他,植物防疫法,外国為替及び外国貿易法及びその他の関連法令等に留意し,必要な手続きを行わなければならない。
(罰則)
第30条 学長は,この規程の各条項に違反した職員等に対し,管理区域への立入及び実験室の使用等について禁止又は制限等の措置をとることができる。
附 則
1 この規程は,平成21年4月1日から施行する。
2 岐阜大学研究用微生物安全管理規程(平成19年岐阜大学規程第55号)は廃止する。
附 則(平成22年4月1日)
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この規程は,平成22年4月1日から施行する。
附 則(平成23年4月1日)
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この規程は,平成23年4月1日から施行する。
附 則(平成23年7月1日)
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この規程は,平成23年7月1日から施行する。
附 則(平成24年4月1日)
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この規程は,平成24年4月1日から施行する。
附 則(平成24年8月1日)
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この規程は,平成24年8月1日から施行する。
附 則(平成27年4月1日)
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この規程は,平成27年4月1日から施行する。
附 則(平成29年4月1日)
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この規程は,平成29年4月1日から施行する。
附 則(平成30年4月1日)
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この規程は,平成30年4月1日から施行する。
附 則(令和2年4月1日岐大規程第39号)
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この規程は,令和2年4月1日から施行する。
附 則(令和2年5月8日岐大規程第95号)
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この規程は,令和2年5月8日から施行し,令和2年4月1日から適用する。
附 則(令和3年1月1日岐大規程第121号)
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この規程は,令和3年1月1日から施行する。
附 則(令和3年3月19日岐大規程第145号)
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この規程は,令和3年4月1日から施行する。
附 則(令和6年3月28日岐大規程第60号)
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この規程は,令和6年4月1日から施行する。
別表1(第9条)
病原体等の取扱においては,病原体等のリスク群分類(付表1-1)を基準として,付表1-2に示した各項目をリスク評価し,病原体等のバイオセーフティレベル(BSL)分類を定め,これに対応する実験手技と安全機器(付表2)及び実験室の設備(付表3)を適用することで,取扱者と以下に掲げる関連者の安全が確保される。 |
別表1 付表1―1
病原体等のリスク群による分類
本表においては,検査・研究活動を行う実験室における通常の取扱量および取扱方法を考慮し,ヒトへのリスクを基準として,病原体等を4つのリスク群に分類した。家畜,環境,大量生産,バイオテロリズム対策など,それ以外の条件下における病原体等のリスク群分類としては利用できない。「病原体等取扱者」及び「関連者」(病原体等取扱者と感染の可能性がある接触が直接あるいは間接的に起こりうるその他の人々。)の健康への影響に基づき,WHOの「実験室バイオセーフティ指針第3版(2004年)」の考え方をもとにして分類されている。 |
リスク群1 |
(「病原体等取扱者」及び「関連者」に対するリスクがないか低リスク) |
ヒトあるいは動物に疾病を起こす見込のないもの。 |
リスク群2 |
(「病原体等取扱者」に対する中等度リスク,「関連者」に対する低リスク) |
ヒトあるいは動物に感染すると疾病を起こし得るが,病原体等取扱者や関連者に対し,重大な健康被害を起こす見込のないもの。また,実験室内の曝露が重篤な感染を時に起こすこともあるが,有効な治療法,予防法があり,関連者への伝幡のリスクが低いもの。 |
リスク群3 |
(「病原体等取扱者」に対する高リスク,「関連者」に対する低リスク) |
ヒトあるいは動物に感染すると重篤な疾病を起こすが,通常,感染者から関連者への伝幡の可能性が低いもの。有効な治療法,予防法があるもの。 |
リスク群4 |
(「病原体等取扱者」及び「関連者」に対する高リスク) |
ヒトあるいは動物に感染すると重篤な疾病を起こし,感染者から関連者への伝幡が直接または間接に起こり得るもの。通常,有効な治療法,予防法がないもの。 |
付表1-2
リスク評価項目
病原体等を実験室内で取扱う場合の病原体等の取扱の具体的なバイオセーフティレベル(BSL)分類は,付表1-1(病原体等のリスク群による分類)を参照に,WHOの「実験室バイオセーフティ指針第3版(2004年)」の考え方をもとにして,以下の各項目をリスク評価して決定する。 | |
1. | 取扱う病原体等の病原性(量,取扱条件も考慮する)。 |
2. | 病原体等の取扱様式(エアロゾルの発生の有無を考慮する)。 |
3. | 取扱う病原体等が国内に常在するか否か。 |
4. | 取扱う病原体等の伝播様式と宿主の種類(取扱病原体等に対する免疫状況,宿主の密度と移動,媒介動物の存在,衛生状況も考慮する)。 |
5. | 有効な予防対策法をとることができるか否か(予防接種等による予防,衛生対策,宿主動物又は媒介動物対策も考慮する)。 |
6. | 有効な治療法がありそれを受けることができるか否か(血清療法,曝露後ワクチン接種及び,抗菌剤,抗ウイルス剤,その他の化学療法剤も考慮する)。 |
7. | 薬剤耐性株の出現の可能性。 |
8. | 院内感染の重要な病原体等であるか否か。 |
註: | 本安全管理規程では, |
1) | 国内に常在しない病原体等についてはより高いBSLに分類する場合がある。 |
2) | 臨床検体及び診断用検体の取扱いは通常BSL2で行う。ただし,臨床診断等からよりリスクの高い病原体等が原因として疑われるときは,より高いBSLで扱うことを考慮する。 |
3) | この分類において,「動物」は実験動物とする。 |
付表1-3
動物実験におけるリスク評価項目
病原体等を用いた動物実験においては,付表1-2に以下の項目を加え,実験動物及びヒトへの感染のリスク評価を行い,実験動物用バイオセーフティレベル(ABSL)分類を決定する。 | |
1 | 取扱う病原体等の実験動物間での感染・伝幡様式 |
2 | 取扱う病原体等を実験動物に接種する場合の感受性 |
3 | 接種した病原体等の体外への排出機構及びその量 |
4 | 感染動物が野外へ出た場合,同種野生動物への感染及びヒトへの伝播 |
註: | 感染を伴わない毒素接種による検査については別途考慮する。 |
付表2(第7条第1項,第11条第1項)
病原体等のリスク群分類と,実験室のBSL分類,実験室使用目的,実験手技及び安全機器との関連性
病原体等の取扱う実験室は,基本的なバイオセーフティレベルである実験室(BSL1及びBSL2)と,封じ込め実験室(BSL3),高度封じ込め実験室(BSL4)のいずれかに分類される。BSL1~4実験室の分類は,実験室の設計上の特徴,建築法,封じ込め設備,実験室内に設置される機器,実験手技や機器の運用方法に基づき決定される。付表2については,病原体等を取扱う際に必要な実験室のBSLを決定するための基準と,病原体等のリスク群との関連性を示したものである。ただし,病原体等の取扱BSLは複数の要因を複合的に判断して決定するため,病原体等のリスク群と使用すべき実験室のBSLは,厳密に1対1対応するものではない。 |
病原体等のリスク群 | 実験室のBSL | 実験室の使用目的 | 実験技法及び運用 | 実験室の安全機器 |
1 | 基本実験室-BSL1 | 教育,研究 | GMT | 特になし(開放型実験台) |
2 | 基本実験室-BSL2 | 一般診断検査,研究 | GMT,防護服,バイオハザード標識表示 | 病原体等の取り扱いはBSCで行う。 |
3 | 封じ込め実験室-BSL3 | 特殊診断検査,研究 | 上記BSL2の各項目,専用防護服,立ち入り厳重制限,一方向性の気流 | 病原体等の取り扱いの全操作をBSCあるいは,その他の一時封じ込め装置を用いて行う。 |
4 | 高度封じ込め実験室-BSL4 | 高度診断検査 | 上記BSL3の各項目,エアロックを通っての入室,退出時シャワー,専用廃棄物処理 | クラスIIIBSCまたは,陽圧スーツと,クラスIIIBSCに加え,両面オートクレーブ,吸排気はフィルター濾過 |
※
GMT:標準微生物学実験手技
BSC:生物学用安全キャビネット
付表3(第7条第1項,第11条第1項)
各BSL実験室の安全設備基準
BSL | ||||
1 | 2 | 3 | 4 | |
実験室の独立性※1 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
汚染除去時の実験室気密性 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
換気: | ||||
内側への気流 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
制御換気系 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
廃棄のHEPA濾過 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
入口部二重ドア | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
(インターロック※2) | ||||
エアロック※3 | 不要 | 不要 | 不要 | 必要 |
エアロック+シャワー | 不要 | 不要 | 不要 | 必要 |
前室※4 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要※5 |
排水処理 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
オートクレーブ: | ||||
前室あるいはその周囲※6 | 不要 | 必要 | 必要 | 必要 |
実験室内 | 不要 | 望ましい | 必要 | 必要 |
両面オートクレーブ | 不要 | 不要 | 望ましい | 必要 |
生物学用安全キャビネット | 不要 | 必要※7 | 必要 | 必要 |
作業従事者の安全監視機能※8 | 不要 | 不要 | 必要 | 必要 |
*1 施設内の通常の人の流れからの実質的,機能的隔離
*2 二重ドアで構成される部屋は前室に相当する。なお,インターロックドアとは同時に2枚の扉が開放されないような機構を有するドアのことをいう。
*3 エアロックとは気圧を保つために設ける機構のこと。通常は複数の扉を設け,インターロックドアとなっている。
*4 実験室につながる隣室
*5 BSL4の前室は,入口部二重ドア,エアロック,エアロック+シャワーが相当。
*6 その周囲とは,前室に隣接する管理区域をいう。
*7 エアロゾル発生のおそれがある場合は,安全キャビネットが必要。
*8 たとえば,観察用窓,監視カメラ,インターフォン,双方向性モニター設備など
補足1) 実験計画の段階で,実験室の仕様が本表の基準を満たしているかどうかの判断が困難な場合は,取扱主任者の助言・指導を受けて実験室の仕様を決定し,管理委員会の審議を受けるものとする。
補足2) 本表はあくまで最低限満たすべき安全基準である。特殊な周辺状況を考慮して実験室の仕様を決定する必要が有る場合も,上記と同様に取扱主任者の助言・指導を受けて事件室の仕様を決定し,管理委員会の審議を受けるものとする。
付表4(第7条第1項,第11条第1項)
病原体等取扱い動物実験施設のABSL分類,実験手技,安全機器及び設備基準
ABSL1~4の動物実験を実施し,また動物実験施設を運営するために,各ABSLに対応する実験手技,安全概算及び設備基準について下表にまとめた。なお細則については岐阜大学動物実験取扱規程に従うものとする。 |
ABSL | 実験手技 | 安全機器 | 設置基準 |
1 | 通常の動物実験の条件として,標準動物実験手技,標準微生物実験手技,立入制限,専用服を要する。 | 特になし | 通常の動物実験施設の条件として,独立性,立入社の管理・記録,動物逸走防止対策,昆虫・野鼠等の侵入防止,室内・飼育施設など洗浄・消毒可能な仕様を要する。 |
2 | ABSL1の用件に加え,防護服,国際バイオハザード標識表示,糞尿・ケージ等の滅菌処理,移動用密閉容器を要する。 | エアロゾル発生のおそれがある場合は陰圧飼育装置及びBSCを設置すること。また動物実験施設内にはオートクレーブを設置すること。 | ABSL1の要件に加え,立入者の制限,動物安全管理区域からの動物逸走防止対策を要する。 |
3 | ABSL2の用件に加え,専用防護服及び履物,2重以上の気密容器による移動を要する | 全操作にBSCを使用すること。また飼育には動物飼育用BSC,グローブボックス又はアイソレーションラックを使用し,動物安全管理区域内にオートクレーブを設置すること。 | ABSL2の要件に加え,立入者の厳重制限,出入口インターロック,前室の設置,気流の一方向性,排気のHEPAろ過,作業者の安全監視機能を要する。 |
4 | ABSL3の要件及びその他はBSL4に準じる | ABSL3の要件及びその他はBSL4に準じる。 | ABSL3の要件及びその他はBSL4に準じる。 |